サラブリー県のとある農園で、20人近くの少年が大豆や綿を収穫する作業に従事している。歳の頃は12、3歳の彼らは、ロイエット県から集団で出稼ぎに来ているのだ。 1970年代、今でもロイエット県などのイサーン地方(タイ東北部)は貧しいと言われているが、当時はさらにひどく、小学校を卒業した少年でさえも近県やバンコクに出稼ぎに出なければならないほど、慢性化した貧困にあえいでいた。 農園で働く少年たちは小学校を卒業したばかりの年齢である。出稼ぎに来た少年たちは3ヶ月ほどこの農園で働き、家族への仕送りを持って帰郷を予定していた。しかし実際そうはいかなかった。彼らのほとんどが、働き始めて2週間ほどでロイエット県へ帰ってしまったのだ。 帰郷した理由とは、乾季ならではの”冷え込み”が我慢できなかったためである。 当時、サラブリー県の農場では15時ごろになると冷え込み始め、20度以下になる時季があった。日本で