日常の変容。異世界への到達。 上遠野浩平によるブギーポップシリーズは俺に大きな衝撃を与えた。 彼が物語を通して描いたもの。彼の提示するひとつの世界観は俺の原風景となっている。 打ち捨てられ忘れられた開発区。静かな静寂と闇に包まれ置き去りにされた地下街。 歴史を刻むことなく、時代に取り残された寂しい廃墟。 中心の存在しない大きな流れ。その余波により起こった事件に巻き込まれ、状況を何一つ理解しないまま命を落とす登場人物たち。勝手に真実を解釈し納得し、自分自身でけりをつける主人公。最後まで本当のことはわからないまま終わる物語。 それは俺にとって心地よい救いだった。 俺の中にある漠然とした感覚。俺が触れていたのにまったく気がついていなかったことを物語にして描いてくれた。 熱狂した。これは俺のための物語だ。 目の前に現れたもう一つの日常。それは俺の日常と隣り合わせにあり確かな存在感を持っていた。 こ