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前作「風立ちぬ」から10年の時を経て、宮崎駿監督の12本目の劇場用長編映画、「君たちはどう生きるか」が封切られた。内容を事前に明かさないという、大胆な広報戦略で世間を驚かせたが、公開から4日間で観客動員135万人、興行収入21.4億円を記録するなど、好調な成績を示している。 本作に対する批評として多数派を占めるのは、その物語が難解であるということだ。ほとんど場合、それは批判的に語られている。本作を評価する者であっても、物語そのものよりも、それを構成する個別の表現手法に焦点を定めるものがほとんどである。 しかし、あえてこう言いたい。本作の最大の魅力は、何よりもまず物語にある。たしかにそれは混沌としている。だがその混沌こそが、その物語を成り立たせているのだ。それを味わうことなく、安易に非難したり絶賛したりすることは、もったない。 このような観点からこの記事では、本作の物語を読み解きつつ、それに
「アクセシビリティ」と聞いて何を思い浮かべるだろうか。身近な例としては、スマートフォンの設定にある「アクセシビリティ」の項目があるだろう。ただ、多くの人にとってそれはおまけの機能に過ぎず、自分とは関係のないものだと思っているかもしれない。 しかし、高齢者や障害者などの当事者にとっては必要な情報にアクセスするために不可欠な機能であり、アクセシビリティは死活問題や人権問題とも言える重要な問題になり得る。そのため、ウェブ業界ではWCAG(Web Content Accessibility Guidelines)というガイドラインがある。 ただし、その項目は膨大で目を通すのも一苦労という代物。重要な問題にもかかわらず取り組みづらいというのが、ウェブにおけるアクセシビリティの現状だ。 アクセシビリティという人権問題に挑む「LIFULLアクセシビリティガイドライン」 この現状を打破すべく、株式会社LI
世界を見渡せば、そこには数多くの社会課題を解決するための取り組みが存在している。それらの原動力の一つに、「利他」の姿勢があるのではないだろうか。 社会に「利他」の姿勢がさらに浸透することで、どのような課題が解決されうるのか。それを紐解くカギは、「『利他』とは何か」という問いへ向き合い続けることにあるかもしれない。 一人ひとりが生き方に対する姿勢や態度を見つめ、暮らしや仕事のヒントを探るイベント「Lifestance EXPO」が2023年3月に開催された。初日は計3つのトークセッションがひらかれ、「なぜ今、『人助け』が広がっているのですか? ―ともに生きる社会をつくる、デザインと利他の幸せな関係」をテーマに、この問いを共に考え、深め合うためのセッションが設けられた。 登壇したのは「まほうのだがしやチロル堂」共同代表の吉田田タカシ氏と、東京工業大学「未来の人類研究センター」で「利他」の概念研
1995年のテレビアニメ放映以降、日本カルチャー史に鮮烈な印象と議論を与え続けてきたエヴァンゲリオン。2007年に始まったリメイク「新劇場版」の第3作「Q」から9年、ついにシリーズ完結作『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』が公開された。 テレビアニメ〜旧劇場版の「旧シリーズ」、そして今回完結した「新劇場版」の両者で物語の軸になっていたのが「自己」と「他者」。この描かれ方はリメイクを通してどのように変わったのか? 原子力からポップカルチャーまで広大なテーマを扱う気鋭の哲学者・戸谷洋志が「責任」をキーワードにその変化と意味を論じる。 2021年3月『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』(以下、「シンエヴァ」)が公開され、大きな話題を集めている。四半世紀にわたるエヴァンゲリオン・シリーズの完結編である本作は、公開初日の興行収入は8億277万4200円、観客動員数53万9623人を記録した。 作
UNLEASH×ANONによるSFプロトタイピング特集第二回。今回は、SF研究者・分析美学者であり、最近は座談会「SFプロトタイピング未来学会議」を企画した【難波優輝氏】に寄稿いただいた。「SFは未来なんか知らない」、ただ「多岐する世界を言いまくる」のだと喝破するアツい論考を、心してお読みいただき、あなたもぜひともアツくなっていただきたい。 ─SFプロトタイピング特集編集長・樋口恭介(SF作家) SFは未来を「予測」するのに役に立つ文学なのだ、と科学的技法による未来予測の分析と評価を身上とする未来学(Futurology)は言った。なるほど、SFが描く未来にわたしたちは間違いなく魅惑されてきた。東京の都市のビル群を計算資源として活用される青々とした植物たちが覆い繁茂する。植物たちと人間が言葉の向こうでコミュニケーションを交わそうとする津久井五月『コルヌトピア』(2017年)。資本主義の加速
「いつか書店をやるとしたら」 1冊の本を売る「森岡書店」、本と恋に落ちる書店「文喫」など、ユニークなお店を取材すると、つい妄想してしまう。本好きな友人とあれこれ想像を膨らませたことも一度や二度ではない。 少し調べてみると、いかに書店が参入障壁の高い商売かを知って驚いた。多くの書店は、出版社と書店をつなぐ「取次」から、本を仕入れる。大手の取次会社ほど、取り揃えられる本の種類も多く、本が届くスピードも早い。 しかし、大手の取次会社と契約を結ぶには、一定規模の売上が見込めることが条件になる。そのうえ、決して少なくない額の信任金や、保証人も必要だ。個人でゼロから書店を始める際に、どちらの条件も完璧に満たすのは簡単ではない。 誰でも本屋になれる仕組み『Foyer』 書籍の売上数が減少し、書店が一軒もない「書店空白地」が広がるなか、新規参入が難しい仕組みを刷新していこうとする動きもある。 2016年、
英国内務省がウェブアクセシビリティを高めるための啓蒙ポスターを発表し、日本語訳も登場した。障害者にも健常者にもやさしいウェブのために、まずは「知ること」から始めたい。 この夏の参議院選挙で、重度障害者の国会議員が誕生した。快挙に喜ぶのも束の間、「国会議員が国会に登庁する」ために、参議院のバリアフリー化が進められた。 大型の車椅子で利用できるスロープや車いす用トイレの設置、パソコンの持ち込みや、本人の代わりに挙手や投票を行う介助者の付き添い。一連の合理的配慮の実施を報じるニュースを通して、健常者が日頃は気づかない「不自由さ」の数々に気づかされた。 オンラインにおける健常者と障害者の壁 こうした「不自由さ」は、私たちが毎日のように利用しているインターネット上にも無数に存在する。障害のある人のうち、半数以上がインターネットを利用しているが、彼らが私たちと同じ体験を得られているわけではない。 例え
新海誠監督の新作アニメ映画『天気の子』は公開と同時に大きな反響を呼び、すぐさま賛否様々な議論が交わされるようになった。「天気」をキーワードとした本作からは強い物語と批評性を読み取れ、そこには個人と社会との現代の構造を垣間見ることが可能だ。 この記事は、新たな「自然」の概念を浮かび上がらせる、哲学者・戸谷洋志による新機軸の『天気の子』批評である。 新海誠監督の最新作『天気の子』が話題を呼んでいる。2016年に公開された同監督の『君の名は。』が大ヒットになり、社会現象を巻き起こしたことは記憶に新しい。そうした事情も手伝って、すでに『天気の子』には賛否両論を含めて様々な批評が交わされている。 『君の名は。』と同様に、本作にもたくさんの魅力が詰まっている。気象を表現する圧倒的な映像美、新宿・池袋・代々木といった東京の都市景観のディティール、「Yahoo!」や「マクドナルド」などの実在するサービス・
「今働いているオフィスは、思考やイノベーションを刺激する空間ですか?」 これを読んでいるあなたならどう答えるだろう。2016年の調査によると「はい」と答えた人の割合はたったの5%だった。 また「会社の提供する職場で効率的に働けていますか?」という質問に対しても、「はい」と回答した人の割合は他国の平均が52%だったのに対し、日本は37%にとどまっている。 どうやら日本で働く人にとって、オフィスはクリエイティビティを発揮する上でも、効率的に仕事をする上でも、優れた環境とは言い難いようだ。日本人の働き方を改善するならば、私たちは長時間労働だけでなく、働く環境についても考えなければいけない。 日本の働き方やワークプレイス変革に向けた知見を共有するフォーラム『WORKTECH19 Tokyo – Unwired Ventures』では、オランダのワークプレイス戦略コンサルティング企業『Veldhoe
NPO法人D×P代表理事の今井紀明氏を中心に、CAMPFIRE代表取締役の家入一真氏、リブセンス共同創業者の桂大介氏らが、カテゴリで寄付先が選べるプラットフォーム「SOLIO」を立ち上げた。 日本人にはまだ馴染みの薄い寄付。彼らの目指す「寄付によるなめらかな社会」とはどんな社会なのだろうか。 139ヶ国中111位。イギリスのチャリティ団体Charities Aid Foundationが、毎年発表している「世界寄付指数ランキング」における、2017年度時点での日本の順位だ。3つの質問の中でも、「見知らぬ他人を手助けしたか?」に対する順位は135位とかなり低い。 データが表すように、日本人が極端に他人に対して冷たいかというと、そうではないだろう。昨年の東日本大震災の時、一時的に日本全体で寄付について考える機運も高まっていた。しかし、日常的に寄付をする文化かというと、そうとも言いにくい。 なぜ
ヴィラ鴨川滞在中は、伝統的な箒などの道具やその製作過程についてリサーチし、日本の職人と共に新しいデザインを制作することを目指した。その過程で、日本の掃除文化全般に関わる歴史や伝統、精神的な意味を深く探求することになったという。 「掃除という行為は人間の生活にとって非常に重要な意味を持ちます。忙しい現代人では、掃除は汚いものを効率的に綺麗にするという単なる義務になってしまいがちです。しかし、自身の環境との関わりのなかで行われる掃除という行為には、それ以上の意味があると気づいたのです」 と彼らは語る。 日本の掃除の歴史を辿っていくと、仏教、神道などの宗教にルーツがあることに気が付いた。 「神道は『清め』に密接に関わっています。神社に入る前に手を洗ったり、お清めの一環として火を焚いたりしますよね。仏教では、掃除は一種の瞑想としても説かれています。宗派を超えた共通の美意識があり、それが現代の日本人
街を歩くとき、私たちの五感はフル稼働している。仕事の帰り道に嗅ぐ中華屋さんの匂い、高架下の電車の音、昔友達と喧嘩をした場所の公園。 もし、普段の生活のなかで感じる、何てことのない感想や経験の記された地図があったら?Googleマップや観光地図など、一般的な地図からはこぼれ落ちてしまう何かをすくい上げられるかもしれない。 バンコクを初めて訪れたとき、どこをどう歩けば良いかわからなくて、途方にくれた。 Googleやガイドブックで名所を調べて、有名な寺院やマーケットに足を運んだけれど、いまいちピンとこない。 そこに、街のリアルな日常や乱雑さはなかった。なんとなく、自分が宙に浮いているようで、「その場所にいる感じ」を掴むことができなかった。 もやもやとしながら数日を過ごしたのち、地元の本屋で、非常にヘンテコな地図を見つけた。見つけた瞬間の「これだ!」という感覚は、今でも忘れられない。 見つけたの
──書物が数学的構造物であるために、私たちは書物よりも高次元の宇宙から、低次元の宇宙において実際に発生した実在として、書物の世界のできごとを認識することができる(本文より) SF小説では、テクスト論的な立場から「なぜここに今小説があるのか」を問うような作品が多く見られ、SF作家・樋口恭介もまたそのような問題意識を内に秘めた作品『構造素子』でデビューした。 宇宙と文章。抽象的な次元で両者に見られる構造、そしてそれを記述する「数学」という言語。 連載7回目となる今回は、マックス・テグマーク『数学的な宇宙』を取り上げる。 故郷の宇宙で送った人生のほかのあらゆる部分は、とてつもないスケールの旅の中に拡散して意味を失っていたけれど、時間を超越したこの世界は、いまも完璧に意味のあるものだった。つまるところ、すべては数学なのだ。 ──グレッグ・イーガン『ディアスポラ』 0.すべての可能な宇宙 宇宙は一つ
大阪を拠点としてホームレス支援を行う認定NPO法人Homedoorが、ストックフォトを活用した新たな支援の仕組み「Snapshot taken by Homeless.」をスタートした。 1991年、ロンドンで『ビッグイシュー』の第1号が発行された。 「問題」と「出版物の発行」の二つの意味がある「イシュー (issue)」を冠したこの発行物は、チャリティではなく、ホームレスの人に仕事を提供し自立を応援する事業として生まれている。日本には2003年に上陸。今では日本のあちこちで変えるようになった。 チャリティではなく、自立を促す。こうしたアプローチはビッグイシュー以外にも広がっている。 ストックフォトを活用した新たなホームレス支援の仕組み 大阪を拠点としてホームレス支援を行う認定NPO法人Homedoorが、ストックフォトを活用した新たな支援の仕組み「Snapshot taken by Ho
「資本主義リアリズム」とは要するに、生きることの不可避な売春性について、不可避であると信じさせられていることを指す。 そして『資本主義リアリズム』という本は、そうしたリアリズムの欺瞞を暴く/暴こうとする──抵抗のための書物である。 2017年に48歳の若さで自ら命を絶った著述家マーク・フィッシャーが発した「警告」とは。 6回目となるSF作家・樋口恭介による連載書評。 資本主義の終わりより、世界の終わりを想像する方がたやすい。 ──マーク・フィッシャー 世界の終わり、失われた未来の亡霊 K-Punk。横に並んだ6つの記号。一見すると無意味な文字列。 解を急げばKはKyberの頭文字、KyberはCyberの起源となったギリシャ語で、つまるところK-Punkとは「サイバー・パンク」を意味している。Kyber-PunkとしてのCyber-Punk。さしずめそれは「真のサイバー・パンク」、あるいは
情報管理と創造性は関係する。だから、人は昔から知的生産に熱心に取り組んできた。 情報が膨大になった現代において、私たちの創造性を引き出してくれる救世主「Notion」を紹介したい。 ジェームズ・W・ヤングは著書『アイデアのつくり方』で、「アイデアは既存の要素の新しい組み合わせ」だと語った。1940年のことだ。 ヤングの言葉を信じるなら、現代は最も創造的な時代を迎えている。変化が激しく、情報が溢れている現在は、これまで以上にアイデアの元となる要素に溢れているはずだからだ。 現代人を悩ます「情報の散らかり」が私たちの時間を奪う 「そういえば、あの情報ってどこに残しておいたんだっけ?」 通勤途中に読んだWebの記事や、仕事中に思いついたアイディアのメモ、友人から聞いた美味しいレストランの名前。どこかに記録したはずなのに、見つからないことがよくある。 メモアプリに書いたのか、写真で撮っておいたのか
給水・配管を必要としない自動食洗機「Tetra(テトラ)」を開発したことで一躍脚光を浴びたHeatworks社が、キッチンに新たな革命を起こそうとしている。注ぐ瞬間にお湯を沸かす電気ケトル「DUO Carafe(ドゥオ・カラフェ)」を開発したのだ。 待ち時間は一度短くなると、長かったころにはもう戻れない。 お湯を沸かす時間もそうだ。 1分14秒。 朝起きて紅茶を飲もうと思った私が、電気ケトルのスイッチを入れ、150mlのお湯を沸かすのにかかった時間。 国内において業界最速の沸騰スピードを誇る電気ケトルは、カップ一杯分のお湯(140ml)を約45秒で沸かす。電気ケトルや電気ポットなどの湯沸かし器が主流である今、1分あれば温かい紅茶を入れるだけの、5分あればカップ麺を入れるだけのお湯を用意することができる。 この便利さを知ってしまった以上、やかんでお湯を沸かす生活に戻るのは難しい。 だが、これ
霞む視界。闇雲な盲信。 黒い雪が降ってくる。テレビで見たんだ。 無情報。不協和音。押し寄せる黒い雪。押し寄せる黒い雪。 何も生まれない。黒い雪からは。何も得られない。 ──Oneohtrix Point Never “Black Snow” 最初に本書の流れを示す。 流れ。一言で言えばそれはこうなる──独立、統制、逃走。 あるいはこうとも言える──暗闇から生まれること、光の中で育つこと、ふたたび暗闇へと帰っていくこと。 本書『ダークウェブ・アンダーグラウンド』は、そのタイトルから、「ダークウェブ」の(さらなる)「アンダーグラウンド」、「アンダーグラウンド」である「ダークウェブ」、または「アンダーグラウンド」にある「ダークウェブ」、あるいは「ダークウェブ」と「アンダーグラウンド」についての本である、と思われる向きが多いかもしれない。しかし、それを字義通りとらえると本書の内容を読み誤る。本書が
音楽は社会にどう関われるのか? 音楽を愛し、その思いを形にしようとしたことがある人ならば、一度は向き合う問いかもしれない。オランダ、アムステルダムの外れにある「地域活性の起点となるクラブ」は、その問いに答えるヒントを教えてくれる。 「編集者は、他人と同じことをしても何の意味もない仕事」と言われることがあるが、なるべく足(とお金)を使って、世界の面白い都市や地域を訪ねるように務めている。 昨年末の旅行の目的地に選んだのが、アムステルダムだった。「アムステルダムは社会のOSが違う次元にあるような印象」と、世界のさまざまな都市についてリサーチを重ねる『WORKSIGHT』編集長の山下正太郎氏に言わしめるほどの魅力とは、一体どのようなものなのか。その都市がもつ秘密を少しでも解き明かそうと、現地のアートやデザイン、クラブカルチャーにまつわる場所を訪ね歩いた。 たとえば、メディアアーティストが運営する
「老い」と聞いて、どんなイメージを思い浮かべるだろうか。漠然と、ネガティブなイメージを抱いている人は少なくないだろう。それも仕方がない。歳を重ねるにつれ、脳や身体の動きは衰えていくのだから。 20代の私は「若いうちにやりたいことをやらなければ」と自分に言い聞かせる。周囲も「まだ若いのだから何でもできる」と言う。まるで、老いたら何もできなくなってしまうかのように。 けれど、本当にそう言い切れるのだろうか? 老いをポジティブに捉える合同展示『Aging』 そんな、宛てのない問いに私たちを誘うのが、早稲田大学のドミニク・チェンゼミと橋田朋子研究室による合同展示、『Aging』だ。老いることを、「物体の経年変化」といったポジティブな意味を含む「Aging」という言葉から捉え直すために、学生たちが作品制作を行った。 12月14日には、美学者の伊藤亜紗さんをゲストに迎え、「Aging」という概念を探る
デザインはビジネスを越えられるのか、わかりやすく言えば、これがこの企画の中心を貫くテーマである。 デザインが本当に成し遂げたいことは何なのか。デザインがビジネスに取り込まれようとしている今だからこそ、我々は、デザインの持つ大きな可能性について考えなくてはならない。 同時期に東京から脱出した、──つまり、ビジネスの中心から距離を置いた──2人のデザイナーのやり取りを通じて、デザインの「夢」について考える試みを始めてみようと思う。 川地真史様 あけましておめでとうございます。 今年もよろしくお願いいたします。 こちらは暖冬と言われていますが、それでも毎日厳しい寒さが続いています。 川地くんは、いかがお過ごしでしょうか。 さて、せっかくご質問いただいたので、「デザインを開く」ということについて、ぼくなりの考えをお答えをしようかと思います。 デザインを「開く」ということは、つまり、「いま、デザイン
毎日、私たちは凄まじい数のメールやチャットを書いている。ライターでありながら、ビジネスにおける「書く」に苦手意識をもっていた筆者が、読みづらいチャットを卒業するために意識したことを紹介してみたい。 ビジネスにおいて良い文章を書くためのコツがわからなかった 新卒1年目の頃、メールやチャットのやりとりがとにかく苦手だった。 担当するプロジェクトチームのチャットでは、先輩から次々に新しいメッセージが飛んでくる。それに対し、「どう返事しよう」と考えるだけで15分経過。考えがまとまっていないので、書いては消しを繰り返して更に15分。 最終的には、長文かつ、何が言いたいかわからない文章が仕上がった。これでいいのか確証はないままに送る。その後、「先ほどチャットした件ですが、」と言っても、先輩からは「あれ?何だっけ」という言葉が返ってきた。恐らく、あまりちゃんと読まれていなかったのだと思う。 あれから2年
「UNLEASH」は“しなやかな社会をつくる”を掲げ、ビジネスやテクノロジー、カルチャー、文学など、領域を横断して情報を発信してきました。 そんな「UNLEASH」には、異なるテーマに関心をもつ編集者やライターが集っています。今年が終わる前に、それぞれが読者の皆さんと共有したい1冊を選びました。 ぜひ、年末年始の課題図書に加えてみてください。 モリジュンヤ(@JUNYAmori) 『未来をはじめる: 「人と一緒にいること」の政治学』/宇野重規 「政治とは何か」 この問いとともにある時間が増えた。きっと、それは僕だけに限らないのだろう。ずっと人々と共にあるはずなのに、どこか遠い存在になってしまっている。この本は、遠くに感じていた政治というものを、グッと引き寄せてくれる。東京大学社会科学研究所教授で政治思想史・政治哲学を専門とする著者によれば、政治とは「人と一緒にいるということ」なのだという。
事業への熱意や想いは、どのように形成されていくのだろう。 どんなに熱い炎も、最初はともしび程の小さな熱量かも知れない。その火を絶やさず、燃やし続けたことが、大きな熱意を生み、その人の人生を変え、社会をも変える。それを証明する人物が、日本酒スタートアップClearの生駒龍史さんだ。 市場動向や規模はもちろん、日本酒の楽しみ方、他の酒類と比べたときの価値、ビジネストピック、業界動向、etc…。日本酒にまつわる情報であれば、あらゆる問いに即答してくれる、頼もしい男がいる。日本酒スタートアップ株式会社Clear 代表取締役CEO生駒龍史さんだ。 生駒さんとはじめて出会ったのは1年ほど前。何人もの経営者や起業家にインタビューをしてきたけれど、ここまであらゆる問いに即答できる人は珍しい。 日本酒に対する知識と熱、そして思い入れの深さがとにかく印象的だった。なぜここまで日本酒に熱意を傾け続けられるのか。
知人が来年から海外を旅しながら1年間生活すると言っていた。もちろん、会社の仕事は続けながら。 「どこの国を回るの?」と聞いたら、「WeWorkのある都市を中心に巡ろうと思うんだ」という。 WeWorkに在籍している知人は、WeWorkのある都市に行けば働く上でのインフラに困ることはない。 「そうか、そういう旅しながらの働き方もあるのか」と考えさせられた。 旅をするように働く 旅行先のリゾート地などで休暇を兼ねて仕事をする「ワーケーション」という考え方が生まれたり、出張ついでに休暇を楽しむ「ブリージャー」というスタイルも登場している。 「そこまでして仕事をするのか?」という人もいるかもしれないが、生活と仕事の境が曖昧になり,仕事が苦じゃないという人も増えているということなのかもな、と感じる。 新たなスタイルが登場してくると、そのニーズに応えるようにサービスも登場してくる。日本でも、新しいサー
「コワーキング」という言葉が日本に輸入されて、数年が経過した。コワーキングスペースのパイオニアとなり、言葉を流通させた存在が「co-ba shibuya」だった。 こちらも輸入されたばかりのクラウドファンディングという新しい手法を用いて資金を集めて、コワーキングスペースという新しい価値観を渋谷の街に持ち込んだ。 時が経ち、「コワーキング」の潮流は新しい局面を迎えようとしている。 神南に生まれたスタートアップに特化したワークプレイス 10月11日(木)、渋谷・神南エリアにスタートアップに特化したコワーキングスペース「co-ba jinnan」がオープン。オープニングイベントには、大勢の人が詰めかけた。 co-ba jinnanは、ツクルバが展開する全国に広がるワーキングコミュニティ「co-ba NETWORK」の一員だ。co-ba jinnanには、個人から使えるフリー席、3人〜10人までの
自国の政府、企業、メディア、NGO。これらのうち、あなたがもっとも「信頼していない」のはどの組織だろうか。 エデルマンの実施した調査によると、日本人が最も信頼していないのは「メディア」だった。「信頼している」と答えた人は32%にとどまり「フェイクニュースが武器として使われること」を危惧している人は62%に上る。 こうした傾向は他国にも共通している。とりわけアメリカを筆頭に、ソーシャルメディアのフィードや検索、ニュースアプリに対する信頼は、調査対象28ヶ国のうち21ヶ国で低下した。日本は前年比で1%増加しているが、数値自体は28ヶ国のなかで5番目に低い。 読者とメディア、ジャーナリストの間の溝が深まるなか、新たな接点を生み出そうとするスタートアップもある。誰でも簡単にニュースレターを発行できるプラットフォームを開発する『Revue』だ。 オランダ発の“エディトリアルニュースレター”プラットフ
フリーランスとして活動していると、ポートフォリオの重要性を実感する。新しい取引先に営業をかけると必ずポートフォリオの提出を求められ、メールに添付したURLが合否を決定的に分ける。 しかし、筆者のように、デザインの素養もプログラミングの素養もほぼない人間がウェブサイトを一から作るとなると、なかなか骨が折れる。かと言って、零細フリーランスライターとしては、お金をかけてプロに依頼するのも難しい。 多少の手間は惜しまないので、簡単に、安価で見栄えのいいウェブサイトを作りたい。そんな人にとって便利なサービスが、2018年4月にリリースしたばかりのWebデザインプラットフォーム「STUDIO(スタジオ)」だ。 コードいらずで、画像やテキストをブロックのように積み重ねることでウェブサイトを構築できる。これまでSTUDIOで作ったウェブサイトは、有料版でのみ公開可能だった。しかし、2018年9月25日より
世に何か新しいものを生み出す存在として、「起業家」が挙げられる。Google、Apple、Facebook、Amazonなど「GAFA」と呼ばれる企業たちのように、急激に成長して世界に影響をもたらすスタートアップもいる。 一方で、起業家はハードシングスの連続で、その両肩にかかるプレッシャーは非常に大きい。経営上のストレスを抱えやすく、なかなかそれを表に出すことも難しい。投資を受けていると、株主からのプレッシャーもある。 こうしたことは起業家である以上、不可避だ。だが、起業家のメンタルをサポートするための仕組みはもう少し整備されてもいいかもしれない。 「起業家のメンタルヘルス」という課題 起業家のメンタルヘルスという課題については、度々議論されてきた。以前には、UNLEASHでも起業家のメンタルヘルス事情について紹介している。 成功話の裏側は語られない ── 世間には知らされない起業家のメン
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