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Disc Review 1962-1966: The Red Album + 1967-1970: The Blue Album (2023 Remixed and Expanded Edition) / The Beatles (Apple Records/Universal Music Group International) 1962-1966(赤盤)+1967-1970(青盤)/ザ・ビートルズ 昔、大滝詠一さんから聞いた話。細部までは思い出せないのだけれど。確か高校生のころ、オーディオ系の部活に入っていた時期が一瞬あって。ステレオセットを自作したものの。時間がなかったのかお金がなかったのか、スピーカーをひとつしか作れず、とりあえずのそのひとつだけのスピーカーでビートルズの「オール・マイ・ラヴィング」を再生してみたら、ステレオの左チャンネルしか聞こえず、歌のないカラオケ状態の演奏にな
追悼:高橋幸宏 内外の素晴らしいミュージシャンたちの訃報が相次いで。寂しい限りです。 高橋幸宏さん。享年70。長い闘病でした。誰もが奇跡を願っていました。祈っていました。でも、かないませんでした。 昨夜、ノージくんもnoteのほうに書いていたことだけれど、ユキヒロさんのことを思い出すと楽しいシーンしか浮かんできません。クールで、おしゃれで、でもすごくこまやかな気遣いの人で、とてもやさしくて。「スイミングスクールの美人教師」が大好きなんです、自分のバンドでもカヴァーしてました…というぼくのひとことをきっかけに、ベンチャーズについて熱く語り合った夜のこととか、忘れられません。 去年の9月、FMヨコハマでぼくがDJを担当している『otonanoラジオ』に高野寛くんを招いてユキヒロさんの特集をしたとき、番組ホームページ用にぼくがセレクトしたプレイリストがふたつ残っています。ひとつはソングライターと
Disc Review The Mothers 1971 (8CD Super Deluxe Edition) / Frank Zappa & The Mothers (Zappa Records/UMe) ザ・マザーズ1971(50周年記念8CDスーパー・デラックス・エディション)/フランク・ザッパ&ザ・マザーズ 3月21日発売の『ナイアガラ・トライアングルvol.2』40周年記念リリース。例の超マニアックなボックス(Amazon / Tower)とか、通常盤2枚組(Amazon / Tower)とか、アナログ(Amazon / Tower)とか、もろもろ、休日の関係とかあって、今日あたりお店行けばフラゲできるはず。いやー、大変だ。ソワソワしている人も多いことでしょう。 40年前に『ナイトラ2』が出たころ、ぼくは出版社をやめたばかりで。こういう音楽関係の仕事を見よう見まねで始めてまだ1年
アット・マイ・ピアノ/ブライアン・ウィルソン マジカルなコーラス・ハーモニー。驚きに満ちたアンサンブル。そんな魅力を誇るブライアン・ウィルソン、6年ぶりの最新ソロ・アルバムは、なんと自ら奏でるピアノだけによる、歌声いっさいなしのソロ・インストゥルメンタル作品だった。 あー、驚いた。 本作の国内盤のライナーノーツにも書かせていただいたことだけれども、ご存じの通り、ブライアンはけっして名ピアニストというわけではない。近年のライヴ・ステージでは確かにステージ中央に置かれたピアノの前に鎮座してパフォーマンスしてはいるけれど。実際のところ彼は気まぐれに時折鍵盤に触れる程度。そんなブライアンがたったひとりでピアノを弾いたという触れ込みのインスト・アルバムなのだ。大丈夫かな、と。まじ思った。偉そうな言い草ではあるけれど、心配になった。 でも、OK。杞憂だった。やっぱりブライアンの魔法は健在。ここには超絶
追悼:マーゴ・ガーヤン 1960年代後半のサンシャイン・ポップ/ハーモニー・ポップ/バロック・ポップ。日本では独自に“ソフト・ロック”とか呼ばれるタイプの音楽のことだけれど。そうした音楽が1990年前後に後追いで再評価されることになった際、ブームを牽引する立役者的存在となったアーティストというと、ロジャー・ニコルス、カート・ベッチャー、ハーパース・ビザール、サークル、リズ・ダモン、クロディーヌ・ロンジェ…。 そして、マーゴ・ガーヤンだ。 1968年に彼女がたった1枚、自らパフォーマーとしてベル・レコードに残した名盤『テイク・ア・ピクチャー』はオリジナル・リリース当時、ほとんど売れなかったアルバムではあったのだけれど。それが後年、新世代のポップ・リスナーたちの耳に届き、1960年代サンシャイン・ポップ〜バロック・ポップの歌姫のひとりとして大いに再評価されることになった。特に日本ではいち早く『
Disc Review A LONG VACATION 40th Anniversary Edition / Eiichi Ohtaki (Sony) ロング・バケイション 40周年エディション/大滝詠一 久々にお客様を迎えてのCRT&レココレ・イベント、あさってに迫ってまいりました。まだまだ警戒感の抜けない日々ではありますが、ちょっと広さに余裕のある会場で、ディスタンスを保ちつつ、みんなで同じ音楽を共有する、あの楽しみを取り戻しましょう! 再開にあたってのテーマは、かねてから予定されながら延び延びになっていた、われらが“ねやぽん”、祢屋康くんのレコード・コレクターズ誌・新編集長就任お祝いの会。ねやぽんの旧友、双六亭のニシイケタカシくんもギター抱えて駆けつけてくれます。二人の青春時代のサウンドトラック的な洋邦エイティーズ・ポップの雨アラレになる予感。 あと、祢屋編集長の下、今月出たレコード
Blog Phil Spector, a monumentally influential “Wall of Sound” producer died at the age of 81. フィル・スペクター、死去 数日前、ヴァニラ・ファッジ、カクタス、ベック・ボガート&アピスなどで活躍したティム・ボガートが亡くなった。去年、こちらで書かせてもらった通り、ぼくはヴァニラ・ファッジに思い入れが強いもんで。また時の流れを否応なく思い知らされていたところへ、昨夜さらなる衝撃——。 フィル・スペクターの訃報が届いた。 フィル・スペクター。1960年代の米ポップ・シーンきっての奇才/鬼才プロデューサー。ご存じの通り、2007年に第2級殺人罪で有罪の評決を受け、カリフォルニア州立刑務所で禁固刑に服していたのだけれど。獄中で新型コロナウイルスに感染。医療施設と監獄とを行き来する中、2021年1月16日、新
マーダー・モスト・ファウル/ボブ・ディラン アラン・メリル、マヌ・ディバンゴ、志村けん…。エンタテインメント界でも新型コロナ・ウイルスを巡る悲報が続く。やりきれない。未知のウイルスは、今やずいぶんと具体的な手触りをもってぼくたちを追い詰め、脅かし始めた。でも、相変わらずぼくたちにできることは限られていて。なのに、国は頼りなく。各自がんばってくれ的な、ぼんやりしたこと言うばかり。何か早急にしてくれそうな感触もなくて。 なので、自分でできることをやり続けるしかない。出かけるときはできるだけ混み合ったところには行かないようにして、全然買えないけどなんとかマスクをして、うがい・手洗いして。あとはおうちにこもる。 いろいろなアーティストが、YouTubeとかを通して、それぞれのおうちからパーソナルなパフォーマンスをぼくたちにプレゼントしてくれたりしているので、この機会をポジティヴにとらえ、そういうの
Disc Review The Hot Rats Sessions (6CD) / Frank Zappa (Zappa Records/UMe) ザ・ホット・ラッツ・セッションズ/フランク・ザッパ 奇才、異才、革新的、破壊的…。 フランク・ザッパを語るときに使われる一般的なキーワードといえば、そうしたものだろうか。確かに。間違いなく彼は革新的で、斬新で。デビューと同時にとんでもない衝撃を音楽シーンにもたらした奇才だった。けれども、破壊的ではなかったと思う。ロックからクラシックまで、彼がぶちこわしたと言われることも多い既存の様々な音楽に関して、しかし彼は存分に知り抜き、愛していた。 愛ゆえの狼藉。既成の価値観に対してひたすらヒステリックに、やみくもにアンチをとなえるだけの“反逆者もどき”とはワケが違う。筋が違う。覚悟が違う。彼が52歳という若さで亡くなるまでの精力的な活動を、もし破壊的だっ
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