8月24日取次搬入で『埴原一亟 古本小説集』 という本を刊行いたします。 埴原一亟と聞いて知っている人は、よほどの 文学通だと思います。 読み方は、はにはら・いちじょう。 戦前に3度も芥川賞にノミネートされるも いずれも受賞を逃し、古本屋や保育園を 経営しながら、ずっと小説を書き続けました。 この作家を知ったのは『昔日の客』のときと同じく、 京都の古書店「善行堂」主人、山本善行さんが きっかけです。 「埴原はいいよ」と聞き、さっそく古本屋さんで この作家の短編集を買い求め、そして作家の 実直な小説世界に夢中になりました。 小説は、おそらく埴原の実生活がベースになっており、 主人公は東京のはずれで小さな古本屋を営んで その経営に四苦八苦したり、または「せどり生活」に 思い悩んだりします。 大傑作だとはいいません。 しかし、埴原一亟が描く小説世界にひたっていると、 文学はいいなあ、本はいいなあ