『ミシンと金魚』永井 みみ (著)集英社文庫あらすじヘルパーのみっちゃんに病院へと連れて行ってもらったある日、こう尋ねられた。 「カケイさんは、今までの人生をふり返って、しあわせでしたか?」正直考えたことがないからわかんなくて、仕方がないから自分の来し方を話すことにした。 自分を産んで母はすぐに死んだこと、結婚して子供が産まれるとすぐに姿を消した夫、赤ん坊を背中におぶって毎日ミシンを踏んでいたこと。 認知症となり、諦めと後悔を行きつ戻りつする老女が最後に見た幸福とは。 認知症のカケイさんが送ってきた人生老女のカケイさんは認知症で一人暮らし。 デイサービスと訪問介護、息子の嫁らの力を借りて生活しています。 歩くことも、食べることも、排泄することも難儀になってきたカケイさん。 最近のことはすぐに忘れてしまいます。 例えば息子が2年前に死んだことを忘れ、息子の嫁に何度もたずねてはああそうだった、