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橋本 町田さんはさまざまなメディアで、著作権に関する啓蒙活動を行なっていらっしゃいます。そもそも、なぜ著作権に興味を持たれたのですか? 町田 大学の卒論のテーマに選んだのが、フィギュアスケートと音楽著作権の関係でした。フィギュアスケートは音楽を使わなくては成り立たないスポーツですし、「白鳥の湖」や「カルメン」など、バレエやオペラの二次創作のようなプログラムもよくつくられます。 私も恥ずかしながら高校生の頃までは無自覚に音楽を使ってしまっていましたが、あるとき著作権との関係はどうなっているのだろうと興味を持ったんです。調べていくうちに、フィギュアスケート界では音楽の著作権が軽視されていると感じるようになりました。 作曲者の意図を尊重しないような編曲が行なわれていたり、使用した音楽の作曲者名が表示されなかったり。著作物を、意に反して勝手に改変されない権利「同一性保持権」、著作者の意志に沿って氏
Appleのクラシック音楽専門アプリ「Apple Music Classical」。アメリカやヨーロッパでは先行サービスを開始していましたが、待望の日本版がついに、1月24日リリースされます。 リリースを記念して、Apple表参道にて発表会が開催されました。「Apple Music Classical」の気になる仕様を、イベントの模様を交えつつお伝えします。 Apple Musicの利用者(月額料金学生580円、個人1,080円、ファミリー1,680円)は追加料金なしで利用できる「Apple Music Classical」。iPhoneとiPad(iOS)、Androidで利用することができます。 もちろん従来の「Apple Music」でも、500万曲を上回る膨大なクラシック音楽の録音を楽しむことはできました。しかし、他のジャンルと違い、1曲に対してたくさんのアーティストによる録音が存
——小幡さんは、幼少期からずっとハープを学ばれていたのでしょうか? 小幡 実は、私も呂武くんと同じくヴァイオリンを先に習い始めました。幼稚園の頃に桐朋学園の音楽教室でヴァイオリンを始めて、ハープは中学1年から。母がハープ奏者で、家に楽器があったので自然な流れで弾き始めました。ヴァイオリンは伴奏者がいないと音楽として完成しない部分がありますが、ハープはピアノなどと同じで、ひとりで演奏できます。ハープを選んだのは、そこに魅力を感じたからかもしれません。 町田 ハープの音の魅力はどんなところですか? 小幡 やはり、グリッサンド(伊glissando/音階的な走句を滑るように急速に奏すること)でしょうか。弦の上に指を滑らせるハープならではの奏法で、スケール(音階)だけでなく、ペダルを使うことでコード(和音)のグリッサンドも演奏できるところが魅力ですね。 町田 グリッサンド奏法にはとても幻想的な響き
——まずは作品制作のいきさつについて教えてください。 青柳 ある日、僕の公式サイト経由で突然メールをいただいて。どこかで見たことのある名前だなと思いつつ読み進めたら「フィギュアスケートの振付をしつつ大学で教えている者ですが……」と書いてあるので、えっ、あの町田さん!?とびっくりしたのが率直な感想です。口笛とのコラボ作品をつくりたいというお話で、戸惑いと驚きと嬉しさが入り混じって、ものすごくビビりながら返信しました。 町田 制作陣と共にさまざまな口笛の演奏を聴き比べたのですが、(青柳)呂武さんの演奏はメロディアスで情感がこもり、フィギュアスケートにいちばん合うと感じてご連絡しました。すぐにお返事をいただけて嬉しかったです。直接お会いしたのは今年の初めでしたね。 青柳 はい。カフェで待ち合わせて、企画を説明していただきました。 町田 アイディアのもとになったスヌーピーのアニメでは、口笛の伴奏と
3月28日に71歳で亡くなった坂本龍一さん。自身の葬儀のために編集していたプレイリスト「Funeral」が公開されました。バロック、ジャズ、生前のコラボレーターの作品など、さまざまなジャンルから選曲されていますが、その中でも目を引くのは全33曲中14曲も選ばれているフランス音楽。東端哲也さんが、坂本さんのその作品への発言なども引用しながら解説してくれました。
坂本龍一さんが亡くなった。もう世界は、坂本龍一のいない世界、だ。 ☆ 「坂本龍一のいなかった世界」を想像してみたら、どうだろう。 YMOはあったか、なかったか。あったとしてもほかのひとがやっている。 《い・け・な・いルージュマジック》はつくられただろうか。80年代の(もしかしたら早すぎた)ジェンダー・レスなイメージはCFにながれたろうか。歌謡番組に忌野清志郎は出演したか。 『戦場のメリークリスマス』や『ラスト・エンペラー』は撮影される、が、音楽とともに出演した「ヨノイ大尉」や「甘粕正彦」は別人だ。 今井美樹や中谷美紀のオリジナル・アルバムは、リリースされたとして、違っている。 バルセロナ・オリンピック開会式、マス・ゲームの音楽はないかもしれない。 「アダージョ」ブームの余韻はあっても、《energy flow》に代わるものはどうだろう。 『坂本龍一 スコラ 音楽の学校』は制作・放送されない
クラシックコンサートやオペラに出かけてみたいけど、何を着ていったらいい? そんな悩みに答えるべく、ONTOMOはコンサートホールや劇場の広報担当の皆さんにアンケートを実施! 実はぜんぜん堅苦しくない、リアルなドレスコードを教えていただきました。着ていく服をばっちり決めて、さりげなくクロークも利用すれば、快適な音楽観賞・観劇が待っています。
歴代最長となる70年にわたって君臨してきたエリザベス女王が9月8日、96歳の生涯を閉じました。19日には、ロンドンのウェストミンスター寺院で国葬が執り行なわれます。この国葬や戴冠式をはじめ、王室の重要な行事の音楽を作曲する「王室音楽師範」という役職が英国王室にはあり、これまで多くのクラシック音楽の作曲家がこの名誉職を担ってきました。この記事ではエリザベス女王の少女時代までさかのぼり、女王の生涯を彩ってきたクラシックの名曲の数々をご紹介します。
「ミニマル・ミュージック」は現代音楽の中でもひときわ聴きやすく、ポピュラー音楽のように親しみやすい音楽。その特徴は? どういう音楽のしくみになっているの? 作曲家の系譜は? この分野に詳しい音楽学者の柿沼敏江さんがわかりやすく整理して解説します!
2018年にハロー!プロジェクト(略称ハロプロ)から生まれた12人組のグループBEYOOOOONDS。この3月にリリースされた3rdシングル『英雄〜笑ってショパン先輩〜』は、なんとショパンの《英雄ポロネーズ》がベースになっていて、一度聴いたら忘れられない、かつ中毒性のあるいわゆる“スルメ曲”。 ここでグランドピアノを弾きこなし、《英雄ポロネーズ》の各フレーズを見事に披露してくれているのが小林萌花(ほのか)さん。なんと音大でピアノを学んでいる現役の大学4年生だという小林さんに興味を持った私、室田尚子。 早速、小林萌花、愛称「ほのぴ」の“音楽家のタネ”を探りに行ってまいりました。教えて、ほのぴ♪
音楽プロデューサーの野崎洋子さんが、北欧・ケルトの音楽や取り巻く文化をガイドする連載。第10回の題材は、神秘的なアニメーションと透明感のある音楽で話題性が高まっているアイルランドの映画。そのケルト三部作を、10月30日公開の最終章『ウルフウォーカー』を中心に、音楽とともに紐解きます。
アルゼンチン出身の作曲家アストル・ピアソラ(1921~1992)は、2021年に生誕100周年、2022年に没後30周年を迎えます。 その節目である11、12月に、2枚のアルバム——チェロ奏者・宮田大の『Piazzolla』、原田慶太楼指揮・NHK交響楽団がバンドネオン協奏曲《アコンカグア》を収録した『Aconcagua(アコンカグア)〜ピアソラ、ファリャ、ヒナステラ、グアルニエリ』がリリース。そして、その両方にバンドネオン奏者の三浦一馬が参加しています。 前編では、CD収録に熱量高く取り組まれた3名に、ピアソラ作品にどう向き合ったか、独特の編成のためのアレンジの方向性、N響とのやりとりなど、収録裏話を語っていただきました。
左上:第1位のBruce (Xiaoyu) Liu、左下:第2位のAlexander Gadjiev、右上:第2位の反田恭平、右下:第3位のMartín García García 写真提供:ポーランド国立ショパン研究所
第18回ショパン国際ピアノコンクールのセミ・ファイナリスト、角野隼斗。会場のワルシャワ・フィルハーモニーホールで取材中の高坂はる香さんが、20分にわたってインタビューし、コンクールで変わったと感じた弾き方や、この大舞台に出場した理由などを伺いました。
予備予選:7月12日~23日 ステージ1:10月3日~7日 ステージ2:10月9日~12日 ステージ3:10月14日~16日 ファイナル:10月18日~20日
1952年、石川県七尾市生まれ。国立音楽大学楽理科卒業、同大学大学院修士課程修了。専攻は音楽学。尚美学園大学 芸術情報学部 音楽表現学科 名誉教授。クラシックからビー... ビートルズが登場した時、聞いたこともないサウンドに世界が衝撃を受けた。当時はいわゆるポップスが全盛だった。アメリカで50年代からローティーン向けに商品化された音楽であり、遠いルーツはヨーロッパのクラシック音楽にあった。旋律美を武器とし、いわゆる古典和声にもとづき、歌い上げるサビをもつ構造で、少年・少女の心を鷲づかみにした。たとえば、これらの楽曲の大量生産の基盤ともいえるコード進行は、C→Am→F→Gといった和声法の根幹をなす終止形(カデンツ)そのものだった。 ビートルズの出現前夜はアメリカを中心に、フランスのシャンソンやイタリアのカンツォーネなども巻き込み、ポップスの黄金時代を迎えていた。「ヘイ・ポーラ」「悲しき雨音」
第17回ショパン国際ピアノコンクール本選より(2015年10月15日) ©Wojciech Grzedzinski 写真提供:ポーランド国立ショパン研究所 2021年7月12日、ついに第18回ショパン国際ピアノコンクール予備予選がスタートしました。1年の延期を経て、満を持しての開催となった5年に一度のショパンコンクール。 予備予選はすべてYouTubeでライブ配信され、アーカイブも残っているので、こちらのページでは演奏者と配信リンクを一覧にしました。予備予選通過者は太字で記載しています。 連載「じっくりショパコン」では、今回の審査委員長カタリーナ・ポポヴァ=ズィドロンをはじめ、審査委員へのインタビューで、「ショパンらしい演奏とは何か」「コンクールでどのようなピアニストを求めているか」などを深堀り! ぜひ配信を見ながら読んでみてください。 課題曲や審査の流れについては、「ショパン国際ピアノコ
「タタタタ」という8分音符を「タッタタッタ」とハネて演奏してください、という指示の記号。確かに8分音符はハネ気味に演奏されるし、スウィングのリズムには三連符が常に流れている。 しかし、これを額面通りに受け取って、「タッタタッタ」と演奏してはいけない。これが屈指の破壊力を誇る、ダサい演奏の元凶のひとつなのだ。 スウィングのリズムで演奏するときには常に三連符を感じていたほうがいい。しかし、8分音符をそれに合わせて演奏するわけではない。前回も少し言及したが、ジャズは「ズレる」音楽。全員の8分音符がぴったり合ってる演奏には、推進力が生まれない。ズレの中から、波やウネりのようなエネルギーが生まれ、独特のあの気持ちいい「スウィング感」が得られる。 息を合わせて、アタックも音を切る位置もみんなで合わせて演奏してきたプレイヤーは、「ズレて演奏するなんて……!」と抵抗を感じるかもしれない。かくいう私も、未だ
——お久しぶりです。1998年に小松さんがデビューされた頃に『音楽の友』で取材させていただいたときのことを今でもよく覚えています。あの頃すでに小松さんは、ピアソラとかバンドネオンを、決して一過性のブームにしてはいけない、継続しなければという危機感を強くお持ちでした。 小松亮太(こまつ・りょうた) 1973年 東京生まれ。98年、ソニーミュージックよりCDデビューを果たして以来、国内はもとより、カーネギーホールやタンゴの本場ブエノスアイレスなどで、タンゴ界における記念碑的な公演を実現している。アルバムもすでに20枚以上を制作。「ライブ・イン・TOKYO〜2002」がアルゼンチンで高く評価され、03年にはアルゼンチン音楽家組合(AADI)、ブエノスアイレス市音楽文化管理局から表彰された(授与者はレオポルド・フェデリコとカルロス・ガルシーア)。 小松 ピアソラのおかげで、首の皮一枚で何とかなって
教科書に書いてあることが、いつも正しいとは限らない。どんなジャンルであっても、常に史実や過去は、問い直されなければいけない。 昨年、第30回吉田秀和賞を受賞した『〈無調〉の誕生』は、これまで音楽史の常識とされてきた「調性音楽から無調音楽へ」という20世紀音楽の主流とされた物語に対して、根本的な疑問を投げかけた一冊だ。 当たり前とされてきたこの物語は、果たして今もなお有効なのだろうか? 著者・柿沼敏江さんに、昨今の音楽事情も含めて、ざっくばらんに話をうかがった。
音楽を怖がってください。『シャイニング』『2001年宇宙の旅』『アイズ・ワイド・シャット』……巨匠キューブリックが愛した恐怖クラシック 「別に怖い音楽を書いたわけじゃないんだけどね?」という作曲家たちの声が聞こえてきそう。なぜか、ホラー映画御用達の現代音楽。巨匠キューブリックは、バルトークやリゲティ、ペンデレツキといった作曲家を愛し、偏執的に映画の中で用いました。とっつきにくいと思われがちな現代音楽、こうなったら「怖がる」楽しみ方はいかがですか⁉ キューブリック・ファンに嬉しいプレイリスト付きでご紹介します。
3月の寒空の下、長く連なる2万人の葬列の先にある棺に納められているのは、国王でも政治家でもありません。1人の音楽家、今となっては世界でもっとも有名な「楽聖」であるルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンでした。 当時のウィーン市民のじつに14人に1人が参列したと記録されているベートーヴェンの死は当時の一般市民にとって、そして、ベートーヴェンを身近に感じていた人にとってどんな意味をもっていたのでしょうか? 『ベートーヴェン捏造 ―名プロデューサーは嘘をつく―』(柏書房)の著作が話題の、かげはら史帆さんが描き出す、19世紀の社会と音楽の関わりにまつわる歴史の1ページをお楽しみください。
異なるバックグラウンドをもつ二人の政治家、元内閣総理大臣の小泉純一郎氏と、衆議院議員で日本共産党委員長の志位和夫氏による貴重な対談が実現! あふれるほどの音楽愛と最近のお気に入り、そして今後の音楽界のために政治がなすべきことについて語っていただきました。音楽文化の維持発展のためには政治的立場の違いは関係ない、と話す力強いメッセージは印象的です。
ついに、ウィーン・フィルが来日した。 11月4日(水)17時より、到着地の福岡で、「ウィーン・フィルハーモニー ウィーン イン・ジャパン2020」の主催者サントリーホールによるオンライン記者会見がおこなわれ、ダニエル・フロシャウアー楽団長、ミヒャエル・ブラーデラー事務局長が出席し、今回の来日に至るまでの経緯、PCR検査の徹底と感染症対策の内容、そして来日公演に寄せる抱負が述べられた。 ロックダウン後の6月から演奏活動を再開したウィーン・フィルが、公演ごとに毎回検査をおこなってからステージに立っていること、夏のザルツブルク音楽祭では7万6千枚のチケットが販売され、楽団員は、のべ750回もの検査を実施し、すべてが陰性だったこと、今回の来日を控えた先週だけでも4回もの検査をおこなっていたこと、出発前日に判明した1名の無症状陽性者と接触者を除外し、全員が健康な状態を確認したうえで来日したことが、明
とりわけ藤井聡太が世間を賑わすたびに、各種メディアに引っ張りだこ。Twitterのフォロワーは18万人を超え、将棋という枠や世代を問わずに親しまれ、尊敬されている唯一無二の存在であることは皆さま御存知の通りである。 14歳7か月でプロ棋士となり、18歳3か月でA級八段、20歳3ヶ月で名人挑戦……と、加藤がモーツァルトに匹敵するほどの神童であったことは疑いようがない。歴代最強の棋士との呼び声もある大山康晴(1923~1992)をして「大神武以来の天才」「加藤一二三は大天才である」と、これ以上ないほどの最大級の賛辞を惜しまなかったほどなのだから。 しかしながら、早世してしまったモーツァルトと大きく違うのは、長く天才であり続けたこと。「神童も二十歳過ぎれば、ただのひと」という言葉もあるように、持って生まれた才能だけで60年以上にわたって第一線で活躍し続けることなど不可能だろう。 長いプロ棋士生活
皆さんはラ・プティット・バンドという団体をご存知でしょうか? 古楽復興運動のパイオニアの一人、ヴァイオリニストのシギスヴァルト・クイケンが立ち上げたベルギーの名門古楽オーケストラです。 多くの若手古楽器奏者がそこで演奏し実力をつけ、巣立っていきました。例えるならば、ラ・プティット・バンドは老舗のお寿司屋さん。多くの板前さんが憧れて弟子入りし、そこで修行を積み、将来的には自分のお店を構えるために独立する、と言ったような感じでしょうか。 ところで、シギスヴァルト・クイケンの残した功績は? 一言で答えるならば、現在、古楽のヴァイオリン奏法として一般的な「顎当てなし(チン・オフ)で演奏を始めた人」です。そんな彼へのインタビューです。 ——顎当てなし(チン・オフ)で演奏し始めたきっかけを聞かせてください。 クイケン 私がチン・オフで演奏し始めたのは、私が20歳、1969年ごろだったと思います。その当
かげはら史帆さんが本を「音楽」から読み解く連載。第3回は初のノンフィクションを取り上げます。暴力団関連の潜入ルポで知られるベストセラー・ライターが、とあるきっかけでピアノを習うことに。数多の「ヤクザ」を取材し、その身を置いてきた筆者の眼に映る「音楽の世界」とは?
2020年7月6日、イタリア作曲界の巨匠エンニオ・モリコーネ氏がローマの病院で逝去されました。映画音楽において、セルジオ・レオーネ監督と組んだマカロニ・ウェスタンや、『ニュー・シネマ・パラダイス』など数々の名旋律を残しました。彼の人々の心を掴んで離さない音楽の魅力は、映画音楽だけでは語れない! 小室敬幸さんがモリコーネの溢れる才能を紹介します。
先日、NHK総合テレビで放送されているクイズバラエティ番組「チコちゃんに叱られる」を見ていると、お題に「年末にベートーヴェンの第九を演奏するのはなぜ?」というものが出た。 筆者は以前交響曲第9番(以下、第九)を演奏する際に調べていたので、オーケストラ団員の年末かき入れのためということは知っていた。もとの理由はそうであるにせよ、ここまで続くのはやはりベートーヴェンの曲の力である。 そういった理由で年末によく演奏される第九は、歌唱部分は4人のソリストと4声の合唱からなっている。はっきりいってソリストよりも合唱がメインで、演奏を聴いても合唱部分に圧倒され、感動させられる。日本での第九の初演は諸説あるし、どの形式のものが初演かなどと議論を呼んでいるが、約90年もの間、日本人に親しまれてきた演目だ。 私は2001年から2014年の13年間ドイツに留学していたが、その間に第九の演奏に関わることは1度も
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