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衆院選
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2006年01月03日 第八回 投資家のための「行動ファイナンス」の基礎理論(1) カテゴリ: 「ホンネの投資教室」 2005年6月3日 投資にご関心のある方の多くが、「行動ファイナンス」という言葉をお聞きになったことがあると思います。2002年には、行動ファイナンスの代表的な研究者であるダニエル・カーネマンがノーベル経済学賞を受賞したこともあり、日本でも、ここ数年幅広く紹介されている研究分野です。「行動ファイナンス」という言葉そのものはお聞きになったことがなくても、「相場には人間の心理の研究が重要だ」ということは多くの投資家が感じておられるのではないでしょうか。行動ファイナンスは、簡単にいえば、認知心理学の研究成果をファイナンスの研究に応用したものです。 投資やファイナンスに関係した理論としては、数年前に「金融工学」と呼ばれるような分野(代表的な業績としてはオプション価格を計算するブラッ
第八回 投資家のための「行動ファイナンス」の基礎理論(1) [ 「ホンネの投資教室」 ] 2005年6月3日 投資にご関心のある方の多くが、「行動ファイナンス」という言葉をお聞きになったことがあると思います。2002年には、行動ファイナンスの代表的な研究者であるダニエル・カーネマンがノーベル経済学賞を受賞したこともあり、日本でも、ここ数年幅広く紹介されている研究分野です。「行動ファイナンス」という言葉そのものはお聞きになったことがなくても、「相場には人間の心理の研究が重要だ」ということは多くの投資家が感じておられるのではないでしょうか。行動ファイナンスは、簡単にいえば、認知心理学の研究成果をファイナンスの研究に応用したものです。 投資やファイナンスに関係した理論としては、数年前に「金融工学」と呼ばれるような分野(代表的な業績としてはオプション価格を計算するブラック・ショールズ式
2011年11月04日 第160回 ネット証券の投資信託販売に何を期待するか カテゴリ:カテゴリ未分類 読者の多くは、株式会社SBI証券、カブドットコム証券株式会社、マネックス証券株式会社、および楽天証券株式会社の4社による投資信託の販売協力プロジェクトがあることをご存じだろう(「資産倍増プロジェクト」という名前が付いている)。 このプロジェクトにあって、上記4社は、協同で各種の広報宣伝活動を行ったり、ネット証券専用ファンドの選定を行ったり(第一回、第二回、各3本ずつ)、ネット証券を通じた顧客の投資信託運用を拡大しようとする活動を行っている。 筆者は、楽天証券の一社員として同プロジェクトの関連書籍の作成に協力したし(ダイヤモンド社より刊行予定)、4社協同での公開セミナーに参加する予定になっている(大阪では2011年11月7日、東京では2012年3月18日開催予定)。 投資信託及び投資信託ビ
2011年10月21日 第159回 60分で説明するアセットアロケーション カテゴリ:カテゴリ未分類 持ち時間60分で何を伝えるか 今回は、「60分でアセットアロケーションの要点を伝える」という課題を考えてみたい。実は、筆者は、ある教育機関でインターネット配信する動画の 形で、ざっと60分の持ち時間でアセットアロケーションを伝える番組を来週収録しなければならない。60分は、ある程度オーバーしても構わないのだが、番 組があまり長くなると、受講生にとって負担が重くなる。なるべく時間を超過しないように構成したい。 視聴者は主にビジネスパーソンで、自分の費用と時間で勉強する気持ちのある真面目な人達で、収録はテレビのスタジオのような場所で行われ、女性のア ナウンサーが進行役でつくが、ほぼ私が一人で授業を行うように進行することになる(掛け合い形式の台本を作ることは可能だが、事前に打ち合わせる時間がな
2011年09月02日 第156回 読書のすすめ「となりのバフェットがやっている凄い投資」 カテゴリ:カテゴリ未分類 脱初級者を目指す投資家に 投資、特に株式投資が好きで、自分の投資の腕前を上げたいと願っている投資家に新刊書籍を一冊お勧めしよう。マシュー・シフリン「となりのバフェットがやっている凄い投資」(小野一郎訳、ダイヤモンド社。以下「となりのバフェット」と略記する)がなかなか面白い。 この本では、フォーブス・メディア副社長で投資編集者のキャリアが長い著者が、あらかたのプロを上回る投資パフォーマンスを上げたアマチュア投資家を10人取り上げて、彼らの投資手法とライフスタイルを紹介している。 登場するアマチュア投資家の中にはトラックの運転手もいれば、引退した元ビジネスマンもいるし、投資の実績を買われてファンドを運用し始めた今やプ ロと呼ぶべき投資家もいる。彼らが、どのような手法を使って、プ
2011年06月17日 第151回 個人の運用計画は「比率」よりも「金額」が簡単 カテゴリ:カテゴリ未分類 個人の資産配分「簡便法」の追求 一般的な個人が、無理なく本人の手で実行できる資産配分の方法はどのようなものであるか。筆者は、ここ数年このテーマについて試行錯誤している。 機関投資家の場合、キャッシュのインフローとアウトフローが比較的はっきりしていることが多いので、ALM(資産負債マネジメント)的な要素を考慮 しながらも、「リスク拒否度」を明確化させて、資産の中で、何に何%運用資金を投じるかと考えることで答えを出すことが一般的だ。 そもそも機関投資家の資金は「運用のため」であることがはっきりしているので、運用資金を何に何%に配分するかという意思決定方法が馴染みやすい。 たとえば、運用資産が120兆円以上に及ぶ日本の公的年金のような運用でもこうしたアプローチで「基本ポートフォリオ」を決め
2011年02月18日 第144回 株式ポートフォリオの銘柄数について カテゴリ:カテゴリ未分類 株式ポートフォリオの運用について、最初に二つほど簡単な問題を考えてみて欲しい。以下の文章(A)、(B)の内容は、運用として正しいか? (A) 100以上も銘柄を持つとほとんどインデックス運用と同じだ。(B) 運用資産額は同じでも、運用期間が長くなると銘柄数は増えるのが自然だ。 読者のご見解はいかがだろうか。 銘柄数が多くてもアクティブ運用は可能 文章(A)は、運用会社ではさすがに少ないかも知れないが、証券マンやベテランの投資家でも、同様のことを言う方は少なくない。しかし、これは、明らかな間違いだ。 たとえば、日経平均は225銘柄のポートフォリオだ。2010年の日経平均の変化率は-3.01%だが、TOPIXの変化率は-0.97%だった。 仮に、日経平均がTOPIXのインデックス・ファンドであれば
2011年05月06日 第148回 学生に教える金融商品概観(預金と債券)その1 カテゴリ:カテゴリ未分類 運用教育の構成 筆者は、昨年から獨協大学で、学部の学生向けに「金融資産運用論」というタイトルで、お金の運用全般に関する知識を教える授業を担当している。 運用の講義は、内外の定番のテキストを見ると、まず、投資の理論を概観し、アセットアロケーションの方法を述べて、個々の商品の性格や分析方法などを説明する構成が多く、筆者も、過去、ほぼこの構成を踏襲してきた。 昨年の春学期の授業でもそうしたのだが、一部の学生から「難しい」という声を聞いた。学生の場合、そもそも債券とか株式といったものがどのようなものなのか、具体的なイメージを持っていない場合があり、この状態で最初に理論の話に入ると、話が必要以上に抽象的に聞こえるのだろう(加えて、簡単ではあっても、理論を説明すると、先に数学が出てきてしまうとい
2011年05月06日 第148回 学生に教える金融商品概観(預金と債券)その2 カテゴリ:カテゴリ未分類 (「第148回 学生に教える金融商品概観(預金と債券)その1」からの続きです) 債券 板書は以下の通り。 ---------- 債券 「金利が上がると価格が下がる、キャッシュフローの受け取り権利書」 “fixed income” (関連用語) クーポン、元本、長期国債利回り(長期金利)、社債、スプレッド、格付け、デフォルト、店頭取引、割引債、変動利付債、仕組み債、個人向け国債 ---------- 一般に、金融リテラシーのない人の喩えとして「金利が上がると、債券価格が下がるということすら分からない人」というポイントがよく使われる。筆者の授業を聞いた学生さんには、この分類に入って欲しくない。 単利と複利のちがいや割引現在価値の「数式による定義」をスキップしながら、「金利が上がると、債券
2011年04月15日 第147回 投資主体別、アセットアロケーションの方法論(下) カテゴリ:カテゴリ未分類 前回に引き続いて、投資主体別に、適切だと思われるアセットロケーションの方法を考えてみよう。今回は、個人投資家を取り上げる。個人投資家といっ ても、機関投資家並みに巨額の資産を運用していたり、運用のプロ(あるいは元プロ)であったり、といったケースでは、機関投資家と同等の考え方や方法でア セットアロケーションを行えばいいが、それ以外の「一般的な」個人投資家の場合は、何らかの簡便法を用いることが現実的な選択肢になることが多いだろう。 運用好きの個人:M-V法 個人投資家の中でも、自分で株式のポートフォリオを(注:数銘柄でも立派な「ポートフォリオ」だ!)運用しているような方には、一般的な年金基金が 使っているような、期待リターンと、標準偏差・相関係数で表されたリスクを使ってポートフォリオ
2011年04月01日 第146回 投資主体別、アセットアロケーションの方法論(上) カテゴリ:カテゴリ未分類 アセットアロケーション(資産配分)は、投資の結果に対して重大な影響を及ぼすが、答えとなる配分をクリアに示すことができて「こうすればいい!」と主張できる決定的な方法がない。 決定的な答えに自信を持つことができず、しかし、投資家本人にとっては重要であるため、専門家といえども、投資家に対して「答え」をアドバイスすることはできない。良心的にやろうとすると、自分でアセットアロケーションを決めるための方法をアドバイスして、投資家が自分でアセットアロケーションを作ることを手助けするのがせいぜいだ。 他人のお金を扱う以上、たとえば株式の運用でも同様なことがいえる。しかし、アセットアロケーションの決定は、投資家の運用パフォーマンスに対して(時には人生に対しても)、株式ポートフォリオのベンチマークに
2011年03月04日 第145回 機関投資家の失敗を教訓にしよう カテゴリ:カテゴリ未分類 筆者が運用業界に入ってざっと四半世紀が過ぎたが、この間、日本の機関投資家は数々の大失敗を繰り返してきた。機関投資家、即ち運用のプロといえども失敗することはあり、それは日本の機関投資家に限らないが、過去の日本の機関投資家の失敗の多くが、少々形を変えて現在の日本の個人投資家に引き継がれつつあるように見える。投資の失敗にも、国民性というものがあるのかも知れない。 一方、人間は、自分の誤りを指摘されるよりも、他人の誤りの方が素直に直視できる。個人投資家が、機関投資家の失敗について知ることは有意義だ。しかも、親切なことに、日本の機関投資家の失敗は多岐にわたる。妙な話だが、失敗なりにバランスが取れている。そこからくみ取ることのできる教訓を並べると、投資の基礎が網羅できるのではないかと思うくらいのものだ。 日本
2011年01月21日 第142回 高齢者のアセットアロケーション カテゴリ:カテゴリ未分類 今回は、読者の方からのご質問に答えてみる。 お手紙の文面から、質問者は、自称「高齢者」で、月々の収入のない年金生活者であるらしい。金融資産は、主にインデックスファンドで運用されていて、日本の資産と海外資産の比率が50:50だという。 ご質問の内容をまとめると、以下の二点だ。 月々の収入がないのでドルコスト平均法が使えないが、アセットアロケーションは内外の資産を半々といった通常のものでいいか。リーマンショックのような30%~40%も下がるような時にも、長期保有を奉じてリスク資産を持ち続けていていいのか。一定の基準を設けて、たとえば、10%下がったらいったん現金化し、上がりだしたらまた再開する、というような方法を考えるべきではないのか。 高齢者の特色 一口に高齢者といっても様々な境遇の人がいるが、最も
2010年12月17日 第140回 「素人の株式投資」が陥りやすい10の難点その1 カテゴリ:カテゴリ未分類 あるライターの方(マネー運用がご専門ではない)と話をしていたら、架空のケースなのだが、次のようなケースについてどう考えるべきか、教えて欲しいと質問された。 Q.ライターさんの質問 ある投資家が10銘柄の株式に投資している。10銘柄のうち、4銘柄の値動きが悪いので、彼は、これらを売却して、その資金を、残りの6銘柄のうち、値動きのいい銘柄2つに追加投資しようとしている。彼の判断は正しいか? 答えを考えてみるうちに、彼の質問の中には、素人投資家が陥りやすい誤りが満載されていることに気づいた。 一般論として、素人は下手で、プロは上手いと、運用成績面で言えるわけではない。しかし、素人投資家の一定割合には、「いかにも素人的」で明らかに不合理、又は、非合理的である可能性が大きな、共通の投資の癖が
2010年12月17日 第140回 「素人の株式投資」が陥りやすい10の難点その2 カテゴリ:カテゴリ未分類 8)素人の難点8:過去の株価の動きが将来の株価に影響すると思っている 6) も7)も、そもそも過去の株価の動きが、将来の株価の動き(より正確には「投資収益率」)に影響すると思っていることが原因だといえる。し かし、過去の値動きのパターンで将来のリターンは有効に予測できないと考えるのが、運用業界、あるいはファイナンス研究の常識だ。 だが、素人投資家の中には、過去の値動きこそが主要な投資判断の要素だと思っている投資家が少なからず混じっている。たとえば、チャート分析だけで投資している投資家がいないわけではない。 こ れには、チャート分析は誰にでも手軽にできるので、未経験者を投資の世界に引きずり込むにはチャートを教えるのがてっとり早いと考える証券業界側 のたくらみが影響しているかもしれない
2011年01月07日 第141回 ほどよいオーバーコンフィデンスは可能か? カテゴリ:カテゴリ未分類 行動経済学で研究されている興味深いテーマの一つに、「オーバーコンフィデンス」(over-confidence)という現象がある。オーバーコンフィデンスとは、一言で言うと「自信過剰」のことだ。人間とは、自信過剰気味の生き物なのだ。 オーバーコンフィデンスは資産運用及び運用ビジネスに深い関係がある。投資家が自己チェックをする上でも、オーバーコンフィデンスを理解しておくことが有効だ。 自分の判断は投資を改善する? オーバーコンフィデンスとは人間の非合理的なバイアス(偏り)として報告されている現象で、人間が、実際にそうである以上に自分の判断・関与などに自信を持つ傾向があることを指す。 たとえば、ある調査によると、自動車を運転する人のざっと8割は、自分が「全ドライバーの平均以上に運転が上手い」と思
2010年12月03日 第139回 「市場の効率性」を考える5つの質問 カテゴリ:カテゴリ未分類 今回は「市場の効率性」について、質問を発しながら段階的に考えてみたい。市場が効率的であることを、どのように確かめることができるのかをはっきりさせておきたい。 暫定的に市場の効率性の定義を与えておこう。市場が効率的であるとは、 (1)情報が効率的に伝わり、 (2)市場参加者が正しく解釈するので、 (3)正しい価格が実現している状態のことだとする。 つまり、株式市場でいえば、正しい株価が常に形成されているということだと考えよう。この定義は、正しい資産価格の下に資金・資源が配分されるので、 (4)資産市場は、経済の資源配分の効率性にも貢献している、 という含意を持っている。 では、質問その1。 質問 1 市場が効率的なら、プロが運用するアクティブ・ファンドも市場平均に勝てない、というのは確からしいか
2010年11月19日 第138回 日本版ISAと確定拠出年金がある運用計画の作り方 カテゴリ:カテゴリ未分類 確定拠出年金と日本版ISA 通称「日本版401k」こと確定拠出年金は、従来の企業年金の運用リスクが企業にとって過大な負担であることもあって近年普及拡大している。読者の中には、確定拠出年金を用意してくれている会社にお勤めの方も少なくないだろう。 また、案外気づかれていないが、サラリーマンであっても、加入しているのが厚生年金のみで、企業独自の加算年金がない場合は、個人として「個人型」の確定拠出年金に加入できる(月額上限2万3千円)。自営業者など、厚生年金に加入していない場合は、もっと大きな金額(月額上限6万8千円)で利用できる。 確定拠出年金は、何といっても掛け金が所得控除できるので、利用可能な枠一杯まで利用することが得になるケースが多いはずだ。確定拠出年金の制度や、確定拠出年金向け
2010年11月05日 第137回 インデックス・ファンドのアセット・アロケーション カテゴリ:カテゴリ未分類 本連載の第108回「投資信託の入門(下)」に、日本株、先進国株、新興国株のアセット・アロケーションに関する試算を載せた。あれから、1年半程度が経過して、その間にデータが増えた。 そこで、新しいデータを加えてリスク値の前提を計算し直して、改めて、個人投資家向けの主にリスク資産部分のアセット・アロケーションについて考えてみたい。 過去データは、リターンにはそのまま使えない 今回も、日本株はTOPIX、先進国株はMSCI-KOKUSAI、新興国株はMSCI-EMをそれぞれのアセットクラスのベンチマークとして使用する。 今回は、データの始点は前回の計算同様1999年2月だが、データの終点として直近の2010年9月のリターンまでを含めてみた。11年8カ月分のデータである。 まず、初歩的な注
2010年09月17日 第134回 「バブル」を中心とする経済・相場のサイクル カテゴリ:カテゴリ未分類 必ず、ではないがバブルは起こる 今回は図を中心に考えてもらおう。まず、図1を見て欲しい。 <図1> “バブル”のサイクル 過去25年くらいの経済を観ていると、資産市場がバブル化して、バブルであるからにはこれが崩壊し、金融緩和から景気が回復する、そしてまた、何らかのきっかけがあって再びバブルが形成される、といったプロセスが繰り返されてきた。 この場合、バブルとは、合理的に正当化できないくらい高く、長期的に継続できないような資産価格の高騰、としておこう。その対象は株式であったり、不動産であったりするし、それ以外のものになる可能性もある。 循環プロセスとして考えると、不況→景気回復→ブーム→不況、あるいは不況→景気回復→不況といった、図1の左下側を中心に小さく循環する可能性もあるが、何らかの
2010年09月03日 第133回 インデックス運用の強味とその理由 カテゴリ:カテゴリ未分類 インデックス運用は「負けない」 プレゼンテーションについて書かれた本を読むと、プレゼンテーションではポイントを三つ挙げて説明するといいらしい。 筆者、早速これを取り入れて、インデックス・ファンドの長所について説明する際には、(1)分かりやすい、(2)手数料が安い、(3)負けない、の三点がポイントだ、と説明することにしている。 分かりやすい、というのは、株価指数を見ていると自分のポートフォリオのパフォーマンスがよく分かるし、過去のパフォーマンスやリスクを知る上で も、メンテナンスに連続性のある指数であれば、具合がいい。これらが運用プロセス上どのように長所であるかという点については、前回書いた、ベンチマーク についての拙稿を読んでいただけると、ご理解いただけると思う。 手数料が安いことは、決定的な長
2010年07月16日 第130回 大学の「金融資産運用論」の春学期授業が終わった カテゴリ:カテゴリ未分類 リターンとリスクは自分で計算せよ! 既報の通り、筆者は、今年の春から、獨協大学で「金融資産運用論」と題する授業を担当してきた。対象は学部の学生達で、2年生から4年生までの学生 だった。多少は予備知識があった方がいいだろうということで、1年生を外した。春学期は、全部で14回の授業予定があったが、全ての授業を7月15日に終 了した。 大学の学生の場合、一般の大人向けよりは、理屈っぽい内容でよかろうとも思ったが、運用業界の人と同じ前提知識はないはずなので、どのくらいの難し さがいいかの加減が難しかった。 授業では、大まかに、投資に関する理論を理解するための基礎知識を教えた後で、「市場の効率性」に関する現実的な姿や、行動ファイナンスによるモダ ンポートフォリ理論への批判を教えて、合理的な人
2010年06月18日 第128回 インデックス運用とCAPM カテゴリ:カテゴリ未分類 インデックス運用は「理論的」か インデックス運用、特に、TOPIX(東証株価指数)、MSCI、S&P500といった時価総額ウェイトの株価指数に対するトラッキングを目指す運 用を、CAPM(Capital Asset Pricing Model:資本資産価格モデル)に基づく理論的な運用ないしは、理論の応用だと主張する向きがある。 これらの株価指数は、時価総額加重のポートフォリオである点で、CAPMでいう「マーケット・ポートフォリオ」と似ている。確かに、それぞれをマー ケット・ポートフォリオだと考えると、「インデックス運用は、CAPM理論の直接的な応用だ」と言いたい気持ちになるのも分かる。 また、実務家が、たとえば個別銘柄や株式ポートフォリオについて、日本株であればTOPIXに対する感応度を「β値」(推計
2010年05月07日 第125回 投資の定番テキストを紹介します カテゴリ:カテゴリ未分類 大学生に投資の授業をしなければならないという理由で、筆者は久しぶりに大型書店の金融書籍コーナーを訪ねてみた。バブルの後期頃からの投資理論ブーム(80年代末)や、「ブラック・ショールズ式」が流行った金融工学ブーム(90年代後半)のころには、投資理論の書籍が毎月のように出版されていたが、今は、内容的に落ち着いたのか、投資そのものへの関心が一頃よりも低調なのか、これはという新しい本の発見は意外なほど少なかった。 そんな中で見つけた、見落としていた大物が、投資の定番テキストの最新版である『インベストメント 上・下』(ツヴィ・ボディ、アレックス・ケイン、アラン・J・マーカス著、平木多賀人、伊藤彰敏、竹澤直哉、山崎亮、辻本臣哉訳。マグロウヒル・エデュケーション発行、日本経済新聞社発売)だった。 原著の第8版の
2010年04月03日 第122回 お金と爽やかに付き合う7箇条 カテゴリ:カテゴリ未分類 「爽やかに」というコンセプトで 私事で恐縮ながら、今月の25日発売で、お金に関する一般向けの書籍「お金とつきあう7つの原則」(ベストセラーズ)を 出版する。 運用を中心にお金に関する本は何冊か書いてきたが、今回は、お金についてどう考えるかという「お金観」の問題、稼ぎのいい仕事とそうでない仕事は何 がちがうのかといった稼ぎの構造の問題、金融的なバブルのサイクルと絡めた投資の仕方など、今までの純然たる「運用本」よりも範囲を広げて、一般向けを意 識して書いてみた。 当初、構成を考えながら、「お金をきっちり無駄なく管理して、合理的に運用する方法」を語る本をイメージしていたのだが、本を書きながら、金融的な 取引で誤解したり、騙されたりするのは損も大きいし、気分も悪いから、これには気をつける必要があるが、日常的
2010年04月16日 第124回 大学生に教えるマネー運用 その3 ~運用理論の勢力図~ カテゴリ:カテゴリ未分類 3系統のファイナンス理論 いきなりで恐縮だが、以下の図1を眺めてみてもらいたい。 図 1 これは、筆者が今年担当することになった獨協大学の「金融資産運用論」の初回の授業で学生に紹介した図だ。 「伝統ファイナンス」という用語は、必ずしも学術的に定着した用語ではないが、いわゆるポートフォリオ理論やオプション価格理論などの、(1)人間 は合理的に(この場合おおむね「期待効用最大化的に」という意味)投資に関する判断を行っており、(2)市場では裁定が十分行われている、と前提する諸理 論をこう呼んでみた。 これに対して、「行動ファイナンス」は、「人間の判断・行動には系統的なバイアス(歪み)があるとして、伝統ファイナンスを批判すると共に、このバ イアスの存在を前提とした上で資本市場の振る
2010年02月05日 第119回 アクティブ・ファンドへの個人的な思い カテゴリ:カテゴリ未分類 (1)インデックス・ファンドの対談で 先日、「投資信託にだまされるな!」(ダイヤモンド社)の著者、竹川美奈子さんとインデックス・ファンドへの投資をテーマに対談した。対談は、後日、楽天証券のホームページに掲載される予定なので、詳細はそちらをご一読いただきたい。 対談では、インデックス・ファンドのメリットとして、(1)分かりやすさ(特に過去のデータの検証が容易)、(2)行き届いた分散投資(目標とする指数によるが、おおむねよく分散されている)、何といっても(3)手数料の安さ、を挙げた。アクティブ・ファンドに対しては、(A)運用成績の平均がインデックス・ファンドに劣り、(B)どのファンドの運用が優れているか「事前」には分からないので、(C)高い手数料を払ってまでアクティブ・ファンドを買える理由はない
2010年01月18日 第117回 インフレのリスクとお金の運用 カテゴリ:カテゴリ未分類 (1)「実質」が重要 お金の運用の目的はお金そのものの価値を守るのではなく、お金が象徴する価値を守り、願わくは育てることが目的だろう。そのためには、お金自体の価値を常に考えておく必要がある。 今年の1万円と来年の1万円は、その1万円で何ができるかを考えた時にまったく同じ価値ではない。 これは物価の変動が激しい国に行けば痛感できるが、近年の日本のように物価が大きくは変化していない国に住んでいると、実感しないかも知れないが、近年はデフレに注目が集まっているし、貨幣価値の変化を「感じる」という人が増えているかも知れない。近年はお金の価値が高くなっているのだ。 他方、日本の過去には毎年物価が数%ずつ上がっていた高度成長期があった。もちろん給料も一緒に上がっていたが、1万円で泊まれたホテルが1万 1000円に
2009年12月18日 第116回 外国債券の期待リターン カテゴリ:カテゴリ未分類 経済や投資に関する仮説の成否を確かめる際に、ある状態が大規模且つ永遠に近いくらい長く続いた場合に矛盾が起こるか否かを考えてみる方法がある。 たとえば、他人よりも相対的に有利に稼ぐことができる方法は存在するか、といえば、それは存在しないだろう。これはある意味で非現実的だし退屈な結論だが、「一つの方法(あるいは集団)が余計に稼ぐ」ということが続くと、富が極端に偏在してしまうが、そのようなことは起きていない。また、良さそうな方法があれば模倣が起こって、その方法の有効性が低下するはずだ。結局、「大規模且つ永遠」を考えることで、投資で相対的に有利な方法の有効性には限りがあるという「常識」を確かめることができる。 あるいは、為替レートであれば、超長期的には購買力平価が成立しなければ、同一財に対して二国の物価に大きな差
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