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再生可能エネルギー大国のデンマークで電力アプリの利用が急速に広がっている。スマホで1時間ごとの電力価格と自宅の電力消費状況を確認できる。既に十数種類のアプリがあり、人気アプリの「Min Stroem」(ミンストロム)は人口590万のデンマークで100万ダウンロードを突破したというから驚きだ。デンマークの電気料金と家庭での電力アプリの活用実態、さらにはエネルギー転換への影響を、デンマーク大使館の高橋叶氏に解説してもらった。 2024年5月2日、今年86歳を迎えたニールス・ピーターセン氏は、スマートフォンのアプリを開いて卸電力価格を確認していた。「これから数時間、マイナス価格になるじゃないか!」。ピーターセン氏は急いで洗濯機の運転を開始し、愛車のEV(電気自動車)のトヨタ「bZ4X」を充電プラグに繋ぐ。高電力消費の家電の運転をマイナス価格の継続時間に合わせ、10デンマーク・クローネ(約212円
史上空前の売り手市場のなか、学生はタイパを重視して、就職活動を抑制する傾向に。一方、学生獲得に苦労する企業は、先物買いのためスカウト依存に。その行きつく先はーー。(構成:小林暢子、写真:稲垣純也) 照喜納 麻彩氏(以下、照喜納):今回はZ世代の就職活動というテーマです。これまでも、Z世代の価値観の変化を取り上げてきましたが、それが企業の新卒採用の現場にも変化をもたらしているのではないかというところで、様々な切り口でZ世代の就職活動について考えていきます。私自身はZ世代ではないのですが、当社の採用にかかわっている立場で日々いろいろ考えさせられています。
キャリア自律を実現するために、個々のスキルアップが重要な課題となっている。従業員の能力開発を成功に導くためには何が求められるのか。2024年6月に開催されたオンラインイベント「日経ビジネスLIVE 2024 Spring」で、『「能力」の生きづらさをほぐす』の著者と、組織・人事領域のコンサルタントが議論した。(取材・文:吉川 和宏、撮影:佐々木 睦) *この記事中では、発言内の「人材」を、日経ビジネスLIVE企画で統一された表記の「人財」と記述しています 能力社会が個人を追い詰めている ベストセラーとなった『「能力」の生きづらさをほぐす』(どく社)は、2037年の企業が舞台だ。上司の評価が急降下して病む息子と幽霊となった亡き母との対話から、現代の能力社会の危うさに警鐘を鳴らすストーリー。外資コンサルティング会社出身の勅使川原真衣氏は、がん闘病をきっかけに能力評価や能力開発をうたう風潮が「個
福島県は9月19日、2023年度の再生可能エネルギー導入量が県内の電力消費(需要)量と比べて102.9%となり、初めて100%を超えたと発表した。 2023年度までに導入した再エネの発電量は1502万9000MWhに達し、県内の電力消費量である1460万6000MWhを超え、102.9%となった。なお、再エネ導入量には、福島送電を通じて東京電力管内に送電する太陽光発電も含まれる。県統合計画における目標は2025年度100%、2026年度以降100%以上であり、3年前倒しで目標達成した。 また、同年度の再エネ導入実績(大規模水力発電を除く)は、対前年比7.5%増の3961MWとなった。エネルギー種別では、太陽光発電が3192MW、風力発電が239MW、小水力発電が21MW、地熱発電が20MNW、バイオマス発電が478MW。 このほか、電力以外も含む県内エネルギー需要に占める再エネ発電量は54
特許に見るペロブスカイト太陽電池の勢力図、SK弁理士法人・奥野所長に聞く メガソーラービジネス・インタビュー 次世代太陽光発電の本命として、ペロブスカイト太陽電池の開発競争が激しくなっている。日本発の革新技術として、日本勢が研究開発をリードしてきたが、ここ数年、中国勢の特許出願が急増し、ダントツの件数になっている。太陽電池関連の特許に詳しい、SK弁理士法人の奥野彰彦所長にペロブスカイト太陽電池に関する特許の動向について聞いた。 トップ10の半数が日本企業 ――積水化学工業が2025年の製品化を公表するなど、日本企業主導によるペロブスカイト太陽電池の実用化に期待が集まっています。特許戦略という視点から見て、国内勢にどの程度の優位性があるのでしょうか? 奥野 ペロブスカイト太陽電池に関する特許出願の動向を見ると、2010年代は日本勢がトップでしたが、ここ数年、中国勢の出願件数が急増し、単年度で
ISO30414の改訂作業が進んでいる。議決への投票権を持つ日本も積極的に関わっており、2025年春の発行が見込まれている。また、ISO30414に関わる新しい国際規格「ISO30201」が検討中で、発行されるとISO9001やISO14001のような公的な認証制度になる可能性がある。この最新動向について、慶応義塾大学特任教授の岩本隆氏に聞いた。(撮影:稲垣純也) ISO30414改訂の進捗について、教えてください。 岩本隆氏(以下、岩本):ISO30414の改訂版の議論が佳境に入っており、「DIS」(Draft International Standard=国際規格案)の段階に来ています。国際標準化機構(ISO)の専門委員会「TC260」のメンバー各国の意見を聞いて調整した後、「FDIS」(Final Draft International Standard=最終国際規格案)に進み、議決
北海道の最南端に位置する松前町は、道内で唯一の城下町として知られる。町の中心を占める松前公園の高台には松前城がそびえ、北側には寺町と松前藩屋敷、南には昔ながらの雰囲気を再現した城下通りの商店街があり、古都観光の名所になっている。
清瀬市は、清瀬駅南口地域に整備す児童館と図書館の複合施設や隣接する清瀬市立中央公園との一体的な再整備(〔仮称〕南部地域複合施設及び中央公園整備)を進めており、9月に着工、2026年2月にオープン予定だ。この整備計画の中で、多世代が楽しめるにぎわいの創出を目指し、鉄道車両を中央公園内に設置することを決定。複合施設や中央公園の工事と同時に、鉄道車両の搬入・内外装の改修を行い、公園のシンボルとして活用する。 整備地の所在地は清瀬市梅園一丁目で、敷地面積は中央図書館が約1879m2、中央公園が約1万5450m2。隈研吾建築都市設計事務所に基本設計と実施設計業務を委託した。整備地のほぼ中央に位置するオープンスペースに鉄道車両を設置する。設置するのは「夢空間」の車両のうち、ダイニングカーとラウンジカーの2両を連結したもの。現在は「三井ショッピングパーク ららぽーと新三郷」(埼玉県三郷市)に設置されてお
電力広域的運営推進機関は6月20日、2024年4月分の「容量拠出金算定通知書」を発行。2020年に実施した容量市場の初回オークション結果に基づく容量拠出金の支払いが、いよいよ始まる。小売電気事業者が2024年度に負担する容量拠出金の総額は1兆4650億円に上る。各社の負担額は負荷率などで異なるとはいえ、非常に大きな追加コストであり、多くの新電力が電気料金に転嫁し始めている。一方、大手電力小売部門は価格転嫁していない。なぜなのか。 小売電気事業者の会員組織「日経エネルギーNextビジネス会議」の会員企業に対して、低圧・高圧それぞれについて、容量拠出金の支払い開始に伴い電気料金値上げを実施したかどうかを聞いたところ、約3割が値上げを実施したと回答した。 その一方で、約4割が値上げせず、経営努力で吸収していることも明らかとなった。理由を問うと、「大手電力が値上げをしない以上、競争面から値上げでき
電池事業をルーツに、 電動部品でその実力を発揮するBYD 最新電気自動車(EV)、「SEAL(海豹)」を 徹底分解 中国BYDの電気自動車(EV)である「SEAL(海豹)」を分解調査しました。最大の特徴は、モーターと減速機、インバーターの主要3部品に加えて、車両コントローラー、電池管理システム(BMS)、DC-DCコンバーター、車載充電器、ジャンクションボックスを一体化した“8 in 1”と呼ぶパワーユニットを採用していること。さらに、「ブレードバッテリー」と呼ぶ新構造の車載電池や統合化した熱マネジメントシステムを搭載したほか、車内電装品の集中制御も大手自動車メーカーを大きく先行しています。中国市場向けの量産車としてだけではなく、テスラ対抗馬として2024年6月、日本での販売を開始した世界基準のEVです。中国企業の開発・設計思想をはじめ、材料や部品の形状や使用状況について、多彩な画像と解説
生成AI(人工知能)の活用の広がりの陰で進行しているのが、新しいAIチップの開発だ。AIの処理に特化することで、現行のGPU(画像処理半導体)の汎用性に起因する電力消費の増大を解決する可能性を秘める。大手IT企業からスタートアップまでがこの領域に参入し、本命となるべく開発を進める。今後新たに登場するAIチップは、ITや半導体業界に「50年に1度の大変革」をもたらすかもしれない。 機械学習からディープラーニング、そして生成AI(人工知能)へ――。AIが高度に進化したことで、その応用領域はますます拡大し、ユーザーも増加し続けている。パソコンやスマートフォン(スマホ)が生活やビジネスに欠かせない必需品となったように、高度なAIを活用した電子情報機器やITサービスもまた、日常使いする当たり前のツールになりつつある。さらに、生成AIを実現する基礎技術の1つである「基盤モデル※1」は、多種多様なデータ
「人材登用を伴わない人的投資はまったくの無駄」など刺激的な言葉が次々と飛び出した今回のゲストはマネックスグループ創業者の松本大氏。企業のIRコンサルティングなどを手がける市川祐子氏が、様々な機関投資家に日本企業の人的資本投資の開示についてインタビューする連載の第10回では、世界でも珍しい個人投資家向け「アクティビスト・ファンド」設定の狙いや松本さん自身のサクセッションプランに学びます。(構成:日経BP 総合研究所安原ゆかり、文:澤田聡子、撮影:稲垣純也) 日本株は本当に強い?松本さんの見立ては 市川祐子氏(以下、市川):マネックスグループを創業されてから25年間、資本市場をずっとご覧になってきた松本さんは、現在の「日本株好調」の理由をどのようにとらえていますか。日本株は本当に「強くなった」のでしょうか? 松本大氏(以下、松本):日本株の上昇は円安だからだと言う人もいますし、増益だということ
4月から全面開場した需給調整市場が、深刻な機能不全に陥っている。調整力の募集量に対して応札量が極端に少なく、全商品で必要量の2〜8割が不足する異常事態が続いているのだ。落札価格も高騰しており、特に東京エリアの三次調整力②では1カ月の落札総額が「2023年度1年分の落札総額」に匹敵する規模に膨張している。調整力の調達価格が膨らむと、託送料金などの形で国民負担を増大させる。早急な対応が不可避だが、国の動きは鈍く、正常化の道筋は見えない。 需給調整市場とは、電力の需給バランスや周波数制御に必要な調整力(ΔkW)を調達する新しい仕組みだ。この市場の導入前は、東京や関西などの電力エリアごとに、一般送配電事業者が個別に調整力(調整電源)を公募・調達していた。しかし、調整力の効率的な調達や、調達コストの透明化などを目的として、2021年度に需給調整市場が創設された 。 需給調整市場は対応する需要変動別に
富山県を拠点として日本酒づくりに取り組む1人のフランス人がいる。リシャール・ジョフロワ氏。世界最高峰のシャンパーニュメゾン「ドン ペリニヨン」の醸造最高責任者を28年にもわたって務めた人物だ。ジョフロワ氏がつくる「IWA」は、複数の原酒を組み合わせるワインづくりの伝統的な技法「アッサンブラージュ」を取り入れているのが特徴で、日本をはじめ世界各地で販売されている。ジョフロワ氏に、日本酒づくりにかける想いと「一歩先」の取り組みを聞いた。
九州旅客鉄道株式会社(JR九州)、住友商事、住友商事九州(福岡市)が出資し設立したでんきの駅(福岡市)は3日21日、系統用蓄電池事業の第1号案件として熊本市で建設を進めてきた系統用蓄電所「でんきの駅川尻」を完工した。 鉄道沿線特有の土地形状に合わせた専用設計の「バッテリー・ステーション」システムを構築した。蓄電池は、住友商事と日産自動車の合弁会社であるフォーアールエナジー(横浜市)が提供するリユース(再使用=中古)品のEV(電気自動車)用バッテリーを定置用にシステム化した「EVバッテリー・ステーション」を採用した。蓄電事業としての運用は、でんきの駅が担当する。 定格出力は1.5MW、実効容量は6.0MWh。リユースEVバッテリーを約350台分収納し、電池交換が可能。また、スケールアップ(高出力・大容量化)のための制御技術を導入した。今後、設備の本格稼働に向け各種試験を行った後、需給調整市場
のべ約5000社の有価証券報告書(有報)や統合報告書を読み込み、人的資本経営に関する独自の発信を行うUnipos(ユニポス)代表取締役社長CEOの田中弦氏がベストプラクティスと評価する企業は?その評価基準は?2023年3月期から上場企業の有報での人的資本の開示が義務化されて1年。市川祐子氏が様々な有力投資家にインタビューする連載の第8回は、この1年の開示を田中氏とともに振り返るスペシャル版です。(構成:日経BP 総合研究所安原ゆかり、文:澤田聡子、撮影:稲垣純也) 約5000社の人的資本開示を読んで分かったこと 市川祐子氏(以下、市川):企業の組織風土改革を手がけるUnipos(ユニポス)の代表取締役社長CEO田中さんは、「人的資本経営専門家」として様々なメディアでひっぱりだこです。というのも田中さんは2023年度の有価証券報告書(有報)や統合報告書、のべ約5000社分をひとつひとつ読み込
「おじさん構文」をご存じでしょうか。「LINE」などのチャットツールでおじさんが書きがちな文章を「おじさん構文」と称しています。特徴としては、チャットなのに長文であること、「汗」などの絵文字が多用されていること、語尾がカタカナであること、句読点が多めに入っていることなどが挙げられます。チャット世代の若者からすると、ガラケーやパソコンでメールをしていた世代の作成する文章に違和感を感じるようです。2016年ごろは、女子高生たちが「おじさんLINEごっこ」と称して友人同士でおじさんになりきり、メッセージを送り合っていました。 近年は「おばさん構文」もからかわれています。おじさん構文と大きな違いはなく、長文や絵文字、句読点の多用が見られます。おばさん構文だけの特徴としては、「ぉはよぅ」といったひらがな小文字が使われたり、キラキラやお花の絵文字が好まれたりします。 文章には世代や性別で特徴が出るもの
「ジョブ型はもう古い」――。ジョブ型雇用における弊害や課題が指摘され始めた。代わって新しいモデルとして注目されているのが「スキルベース組織」だ。まず人材のスキルを可視化して、ジョブにマッチングさせる。米国でも導入され始めたこの考え方について、EY アジアパシフィック 兼 EY Japan ピープル・コンサルティングリーダーの鵜澤慎一郎氏に聞いた。 ジョブ型に代わるモデルとして、スキルベース組織が登場しました。背景を教えてください。 鵜澤 慎一郎 氏(以下、鵜澤):米国では最近、「スキルベース組織(skills-based-organization)」という言葉が盛んに使われるようになってきています。2023年10月に米国ラスベガスで開催されたイベント「HR Technology Conference & Exhibition 2023」でも、生成AIとともにスキルベース組織が注目キーワード
東日本大震災から13年が経過し、原子力への世論に少し変化が出てきました。再稼働を容認する意見が増えてきたのです。その背景には昨今の電気料金の上昇がありそうですが、再稼働によって料金低減が図れるのは西日本だけ。東日本は焼け石に水というのが現実です。そろそろ、原発を取り巻く”現実”を直視するべき時期ではないでしょうか。 今年も3月11日を迎えました。巨大津波が東北沿岸部を襲い、1万5900人もの方々が命を落とされた東日本大震災の発生から13年。そして、東京電力・福島第1原子力発電所事故からも13年の歳月が経過しました。 日本のエネルギービジネスにとって、3.11は大きな転換点となりました。原発事故によって再生可能エネルギーへのニーズや、大手電力にすべてを任せることへの不安が生じたことで、2012年の「固定価格買取制度(FIT)」と2016年の「電力小売り全面自由化」という、2つの大きな政策が実
日本出版販売 専務取締役 プラットフォーム創造事業本部長 1999年日本出版販売入社。2016年リノベーショングループ部長、19年執行役員営業本部副本部長、20年取締役、21年常務取締役、23年より現職(写真:村田 和聡) 富樫 建 氏(以下、敬称略) 全国の書店に本を届ける当社のような卸売会社は「取次」と呼ばれ、各地に文化を届けてきたという自負があります。しかし、紙の書籍は販売数が急減し、新刊を販売する書店も減っています。 本を買う場所が失われると、文化的なモノ・コトに触れたり、多様な価値観を感じる機会が減っていったりするのではと危惧しています。本は人々の心を豊かにする必需品であるという信念の下、全国に本が届かないという社会的な損失を解消することが社会課題の解決であると捉え、新たに社会貢献を起点とした事業を進めることにしました。 「人々の心を豊かにする文化との出会い」を届けるために、全国
六甲山の北20キロほどにある閑静な田園都市・兵庫県三田市で、国内自動車産業の危機、ひいては日本の未来を救うかもしれない技術の開発が進んでいる。技術の名は「Dynamic AGE-ing」。品質基準に満たない炭化ケイ素(SiC)ウエハーを良品に改質し歩留まりを上げるものである。電気自動車(EV)向けSiCパワー半導体に使われるSiCウエハーの調達難を解決できる可能性を秘めている。Dynamic AGE-ingは、関西学院大学が今年(2023年)3月に設立した技術系スタートアップ「QureDA Research」のCTO(最高技術責任者)を務める金子忠昭氏(関西学院大学教授)が開発し、長年、実用化と装置化を進めてきたもの。SiCウエハーの供給・調達難の問題に頭を悩ませるウエハーメーカーやSiCパワー半導体デバイスメーカー、さらにはEV関係者が熱い視線を送り、世界中から三田市に集結する。Qure
【アーカイブ視聴】本連載の著者・大串康彦氏登壇セミナー「世界の蓄電池ビジネス、最新事例とプレーヤーを徹底解説」 連載記事「蓄電池の地政学」の最終回となる今回は、蓄電池産業に関わる日本の動きを取り上げる。第1回で解説した通り、「産業強化」「カーボンニュートラル」「経済安全保障」の3つの側面から蓄電池産業をめぐる施策が欧米中を中心に活発化している。日本政府も2022年8月に 「蓄電池産業戦略」 を策定し、日本の蓄電池産業を強化する姿勢を示した。今後、日本の蓄電池産業は成長路線を描くことができるだろうか。過去の事例の分析も交えて考察する。 2022年8月、経済産業省・蓄電池産業戦略検討官民協議会が「蓄電池産業戦略」を発行し、産業としてのビジョンや基本政策方針を示した。蓄電池産業戦略はマスタープランであり、具体的な施策は「蓄電池産業戦略推進会議」や、GX(グリーントランスフォーメーション)施策を検
魚のおいしさは、漁獲時期や場所、魚の締め方、流通方法、養殖魚なら育て方などによっても変わる。しかし現状、魚のおいしさに関する分かりやすい評価基準が確立されていない。そのため、魚の価値が実態に基づいて正しく評価されていないという課題がある。そうした中、ソフトバンクでは、魚の価値向上を目指して、コンソーシアムを形成しながら魚の品質規格の標準化に向けて取り組みを進めている。同社のIT&アーキテクト本部アドバンスドテクノロジー推進室室長の須田和人氏と、同室担当部長の石若裕子氏に話を聞くと、「魚の品質を測る物差し」を作る意義とともに、魚食に対する見方が大きく変わりそうな未来が見えてきた。 魚のおいしさを可視化する理由 ――2024年3月、マダイを対象にした「魚のおいしさを測る物差し」ともいうべき指標と、その指標をベースにした測定器の確立を目指すそうですね。そもそも、なぜ「魚のおいしさ」に関する指標を
度重なる自然災害に悩まされる日本において、昨今増加傾向にあるのが落雷被害だ。そうした中、長く技術革新がなかった避雷針にパラダイムシフトを起こす「PDCE避雷針」が浸透しつつある。強靭化を図った特別製品を提供する日本減災研究所を訪ね、その実力を探った。 渋谷スクランブル交差点もしっかり守られている 毎年のように襲うゲリラ豪雨や線状降水帯。気候変動の影響と言われるこれらの集中豪雨は、ときに甚大な被害を及ぼす。そして少なからず、そこには雷が伴う。少し古いデータになるが、気象庁の報告によれば2005〜2017年の落雷被害の数は1540件にも及ぶ。近年、落雷が原因と見られる停電が相次いでいるのはご存知のとおりだ。 落雷を防ぐ手段として最も有名なのは避雷針である。米国建国の父の1人と称されるベンジャミン・フランクリンが1750年代半ばに発明したもので、針状の先端部に雷を誘導して地面に放出する仕組みを採
脱炭素時代の世界のエネルギー源として、太陽光発電が独走する勢いを見せている。改訂されたIEA(国際エネルギー機関)のネットゼロシナリオでは、太陽光発電の供給割合が大きく引き上げられて風力を抜くトップとなり、2050年に41%を占めるとされた。それどころか「電源構成の半分以上が太陽光になる」という予測も現れている。 こうした推計の背景にあるのは、中国の太陽光メーカーの驚異的な設備投資による価格低下であり、その傾向は今後も続くとみられる。文字通りの「太陽光革命」が世界の常識を変えつつあるが、日本は蚊帳の外に置かれているように見える。 IEAが2021年5月に公表したネットゼロ・エミッションシナリオ(以下、NZEシナリオ)である「Net Zero by 2050」が、世界に驚きを持って迎えられたことは記憶に新しい。この初版のNZEシナリオは、風力・太陽光を中心とする再生可能エネルギーが「2050
その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は古屋星斗さんの『なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか “ゆるい職場”時代の人材育成の科学』です。 【はじめに】 若者の育成が難問となっている。筆者もその難しさを痛感する場面がいくつもある。 これは、とある場で会った大学4年生Aさんと筆者の会話だ。 筆者「就活は終わった感じですか? ちょうどAさんは入学直後にコロナ禍もあったし、大学もオンラインになって、〝ガクチカ〞(※学生時代に力を入れていた活動。就活用語)を書くのが大変だったんじゃないですか?」 Aさん「ガクチカが書けない……? そういう人もいるみたいですね。なんかニュースで流れていたのを見たような気がします。でも大学がオンラインになったことと関係があるんですか?」 もちろん筆者
欧州連合(EU)が「グリーンウオッシュ」の取り締まりを強化し始めた。アップルが売り出した初のカーボンニュートラル(炭素中立)製品が波紋を広げている。 米アップルは、その最新デバイスが「カーボンニュートラル(炭素中立)」であるという主張を巡り、欧州の環境保護団体や消費者団体からの厳しい批判にさらされている。この言葉は誤解を招くとして、欧州連合(EU)が企業のマーケティングでの使用禁止を提案している。 同社は2023年9月、年に1度の新製品発表会の中心テーマとして、「環境に優しい」成果を打ち出した。アップルウオッチの一部モデルを「アップル史上初のカーボンニュートラル製品」と呼び、30年までにカーボンニュートラルを全デバイスに拡大する取り組みの一環とする。 米カリフォルニア州のアップルストアに並ぶアップルウオッチ「シリーズ9」。「カーボンニュートラル」の文字とロゴが見られる (写真:Tayfun
デジタル庁のWebサイトのユーザビリティが評判だ。非常にシンプルなデザインで、確かに他の省庁のWebサイトとはだいぶ違う。デジタル庁のサイトはなぜ見やすく、分かりやすいのか。解説してくれるのは、デジタル領域におけるデザインの専門家を擁するグッドパッチで、Goodpatch Anywhere事業責任者を務める齋藤恵太氏、デザインマネージャーの大堀祐一氏、UIデザイナー ハマダ ナヲミ氏の3人。同庁のサイトを題材に見やすいWebサイトの要点を解説する。 徹底的に「研ぎ澄まされた」Webサイト ――デジタル庁のWebサイトが「見やすい」、「分かりやすい」と評判です。デジタル領域のデザインの専門家として、ご覧になってどのような感想を抱いたでしょうか。 齋藤恵太氏(以下、齋藤)私が真っ先に感じたのは「すごいな」でした。何が「すごい」のか。省庁や自治体など公共性が高い組織には、とても多くのステークホル
「近大マグロ」の幼魚の出荷は、近年ほとんど実績がなくなってきている――。前編では、「近大マグロ」の養殖事業の現状を通じて、クロマグロの「完全養殖」が直面する課題を整理した。後編では、クロマグロはもちろん、完全養殖で生産されるすべての魚類に関わる、より本質的な問題に迫っていく。近畿大学水産養殖種苗センターのセンター長である岡田貴彦さん、同センターの事業副本部長である谷口直樹さん、近畿大学水産研究所 浦神実験場の場長である田中秀樹さんの話から見えてきたのは、魚食の未来を左右する課題だ。おいしい魚をずっと食べ続けられる未来のためには、何が必要なのか。 魚食の未来を左右する2つの課題 「2050年までに人工種苗*の比率をブリ、カンパチ、クロマグロ、ニホンウナギで100%にする」。これは、食料の生産力向上と持続性の両立を掲げた「みどりの食糧システム戦略」(農林水産省)の中で掲げている数値目標だ。 *
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