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米国から世界に広がったフェミニズム運動me tooが、スペインにさほど影響を与えていない理由のひとつが、スペイン語圏では先行して国境を越えた強力なフェミニズム運動が存在していたこと。それが、3月8日のフェミニズム・ストライキのマニフェストの中でも言及されている【Ni una menos ニ・ウナ・メノス】と呼ばれる運動です。 「Ni una menos 」は、日本語に訳すと「もう一人も殺させない」とか「もうこれ以上の犠牲者はいらない」という意味で、2015年にアルゼンチンで生まれると、ラテンアメリカ諸国に広がり、さらにスペインやイタリアにも飛び火しました。「女性に対する性暴力との闘い」という点ではme tooと同じなのですが、異なるのはNi una menos の背景にはスペイン語の【Feminicidio】という言葉があり、この言葉の一般化のプロセスと切り離して成立しないこと。 スペイン
バルセロナのデモのスローガンは「すべてを変革するために私たちは止まる」 今年の3月8日国際女性デーに、スペインではHuelga feminista フェミニスト・ストライキが実施されました。 二大労組の発表によると、スト参加者は580万人(スペインの人口は約4700万人)に上ったとされています。この日「なぜ、スペインではストライキという経済活動をストップさせる抗議の手法が取られたのか?」というと、主要な目的の一つが現行の経済モデルである資本主義への異議申し立てだったからです。 国外のメディアでは「男女格差」「性差別」「セクハラ」「女性に対する暴力」への抗議と報道されていましたが、スペイン国内では3月8日抗議行動の核に反資本主義の主張があることは周知の事実でした。だからこそ、リベラル政党C’sシウダダーノスは「反資本主義の運動は支援できない。賃金格差を解消して男女平等を獲得する最良の方法は議
以前にブログ記事で扱ったタラハル事件。真実の究明を求める人々の努力が実って、ついに1月12日にセウタ地方裁判所が調査の再開を命じました。 La Audiencia de Ceuta ordena reabrir el caso de las 15 muertes de El Tarajal https://t.co/tXVktEsmJ6 — Público (@publico_es) January 13, 2017 欧州の国境管理の実験場となってきたスペインの飛び地で起こったタラハル事件は、欧州の移民政策全体に大きな影響を与える可能性を持つケースなので、背景をまとめたカタルーニャ出身のフォトジャーナリストLaura Gouのテキストを紹介します。鎌倉での写真展示のために書き下ろしてもらったものです。 タラハル海岸。犠牲者を偲ぶ碑のような目に見えるものは何一つない。一面に立ち込める排泄物の
以前に「Chavsチャブズと新自由主義」で紹介した英国の若き左派論客オウェーン・ジョーンズの著作『Chavs: la demonización de la clase obrera(チャブズ―労働階級の悪魔化)』は、近年、スペインの左派に最も大きな影響を与えた著作の一つになりました。独立系の小さな出版社キャプテン・スウィングが発掘して1400ユーロ(約16万円)で出版権を獲得したこの著作は、一万部(このジャンルは通常3000部程度と言われる)を越えるベストセラーになったため、最大手プラネット社は第二作『The Establishment(エスタブリッシュメント)』の権利獲得に、手付金だけで7000ユーロ(約80万円)以上を支払ったと言われています。 スペインではこの著作にインスピレーションを受けて様々な議論が展開されましたが、カウンターカルチャーと政治が密接に結びついてきた背景もあって、新
シルビア・フェデリチ:家事労働とは労働力を再生産するものだ ーフェミニズム、奴隷制、ワーキングプア、女性の身体、マルクスー (先日の記事で予告したフェデリチのインタビューの後編です。2014年11月にEspaiFàbricaに掲載されたものを許可を得て翻訳しました。前編はこちらから) ―『Can the Subaltern Speak?(サバルタンは語ることができるか?)』とガヤトリ・C・スピヴァクは問いかけました。この意味では、私たちは奪われた者たちに、自らの存在の中にヒエラルキーの行使を含んでいるこうした人びとに、声を与えるという矛盾をどのように克服することができるでしょうか? (この矛盾の克服は)彼らが自分の運命を決める能力と行動力を有する政治的主体となるためには不可欠です。どのように私たちはこの垂直性を水平性に変化させることができるのでしょうか? 実は、私にはスピヴァクの問題を理解
シルビア・フェデリチ:家事労働とは労働力を再生産するものだ ー資本主義、女性、家事労働、賃金、父権制、差別、コミューンー (前回の記事で予告したフェデリチのインタビューの前編です。2014年11月にEspaiFàbricaに掲載されたものを許可を得て翻訳しました。) 出版社Traficantes de sueñosとFundación de los comunesが企画したフェミニストでマルクス主義者のシルビア・フェデリチのバルセロナ訪問を利用して、EspaiFàbricaのためにマリア・コレラがインタビューを行った。ニューヨークのホフストラ大学教授であるフェデリチは、家事労働の本質と報酬、あるいは、資本主義の発展における重要な要素としての暴力の行使に関する研究で広く知られている。 ―『A Caliban and the Witch(キャリバンと魔女)』は、資本が蓄積する過程における重要な
スペインではこのところ、政治とは距離を置いてきた市民運動周辺の人たちの政治参加が増えています。 ほとんどが、1990年代の反グローバリゼーション運動に関わり、市民的不服従による市民運動を進めてきた人たちで、その代表例と言えるのが、結党から4ヶ月あまりで欧州議会選挙において5議席を獲得したPodemos ポデモスの顔Pablo Iglesiasパブロ・イグレシアスです。 イグレシアスは、1996年にサパティスタ民族解放軍EZLNが主催した「Primero Encuentros Intercontinentales por la Humanidad y contra el Neoliberalismo(第一回新自由主義に反対する人類のための国際集会)」がきっかけで生まれたMovimiento de Resistencia Global 世界抵抗運動(MRG)メンバーとして、反グロ運動に参加。2
ブラジル、サッカー、そして抗議—イグナシオ・ラモネ ブラジルの人々がミシェル・プラティ―かつては偉大なサッカー選手で現在は欧州サッカー連盟(UEFA)会長―が去る4月26に発した「努力して、社会暴動はやめて、一ヶ月の間落ち着いていなさい」という尊大な指示[1]に、ブラジルの人々が服従する可能性はほとんどない。 サッカーW杯は6月12日サンパウロで開幕し、7月13日リオデジャネイロで閉幕する。そして、実際のところ懸念がある。それは国際的なスポーツの試合においてだけでなく、ジルマ・ルセフ政権自体においても同様で、スポーツイベント開催期間中に増大する可能性のある抗議が原因だ。国民の一部によるW杯拒否は、昨年の6月コンフェデレーションカップをきっかけに全てが始まって以来消えることがない。ブラジル人の大多数は、ブラジルが再びW杯開催候補地となることはないだろうと断言している。彼らはW杯が利益より損失
先週末に実施された欧州議会選挙において、英国では極右政党UKIP(英国独立党)が第一党に大躍進しました。 前回の記事で紹介したOWEN JONES オーウェン・ジョーンズの『Chavs: La demonización de la clase obrera(チャブズ―労働者階級の悪魔化)』は、新自由主義プロパガンダにおいてチャブズが果たした役割を明らかにするものだったのですが、チャブズと呼ばれる白人の労働者階級が極右勢力の支持基盤ともなっていることから、ファシズム台頭の背景を探る手がかりにもなります。そこで、本の内容が良く纏まっていたエル・ディアリオ紙掲載のジョーンズのインタビューを紹介しておきます。 オーウェン・ジョーンズ・インタビュー オーウェン・ジョーンズ以前には、チャブ(chav)は英国好きな人たちのための言葉であった。自宅がある公営住宅の入り口でフライドチキンを食べるジャージ姿の
昨年2013年の始めに、 OWEN JONES オーウェン・ジョーンズ著『Chavs: La demonización de la clase obrera(チャブズ―労働者階級の悪魔化)』という一冊の本が話題になりました。 チャブズは、2011年夏の「ロンドン暴動」でも注目を浴びましたが、英国の貧しい地区で勉強も仕事もせずに、生活保護で暮らす若者たちで、人種差別的、粗野でアル中、高級ブランド(特にバーバリー)の偽物を身に付け、趣味の悪い身なりをしている…というようなイメージが一般的でしょうか。ジョーンズは著書の中で「チャブズ」という概念が英国の政府とマスメディアが一体になって押し進めた新自由主義プロパガンダの一貫であり、これによって英国の市民が新自由主義を受け入れる価値観が浸透したことを、実例を挙げながら明かしていきます。 ジョーンズによると、チャブズに対する拒否感は、労働者階級が悲惨な
ヨーロッパにおいてなぜ極右が台頭するのか―イグナシオ・ラモネ ただ一つ、確かなことがある。今月5月末の欧州議会選挙では極右の得票数が著しく延び、その結果、欧州議会では相当数の新たな極右議員が議席を獲得するということだ。現在のところ、これら極右は二つのグループが存在する。自由と民主主義ヨーロッパ運動(MELD)、および国家運動ヨーロッパ連合(AEMN)だ。両グループ併せると、欧州議会には47の議席を有するが、欧州議会の766議席のうちわずか6%を占めているに過ぎない[i]。では、来る5月25日の選挙ではどれくらいの議席を獲得するのだろうか。現在の二倍だろうか。欧州議会の決議を差し止めるのに十分な数になり得、その結果、EUの機能を封じ込めるに足る勢力となりうるだろうか[ii]。 確かなことは、すでに数年前から、どりわけ参加型民主主義が危機的状況となり、社会問題が深刻なものとなり、EUに対する不
今回のSATの一件で一躍と時の人となった感のあるJuan Manuel Sánchez Gordilloフアン・マヌエル・サンチェス・ゴルディリョですが、彼は以前からアンダルシアの農村Marinaledaマリナレダの村長として有名な人物でした。私が彼のことを知ったのは『チェのさすらい』を訳していた頃。ゲバラ関連の情報を集めていて、ゲバラを敬愛するコミュニスタサンチェス・ゴルディリョとマリナレダに辿りついたのです。 マリナレダはセビリア県にある人口2700人あまりの小さな村ですが、1979年から村長を務めるゴルディリョが中心となって、村民の支援と協力の下で「平等」と「共有財産」というコミュニズムのイデオロギーに基づく村造りを行ってきました。そして、スペイン全土が経済危機と25パーセントを突破した失業率に苦しむ中で、このマリナレダは「失業率0パーセントで、経済危機とは無縁の村」として注目を集め
先週はギリシャがEUが合意した救済プランを国民投票にかけると発表したことで、欧州経済危機への懸念がさらに拡大しました。国民投票でギリシャ国民がNOと言えば、ギリシャが債務が放棄する可能性があるというのがその理由ですが、ギリシャが現在抱える債務を完済できないことは以前からわかりきっていたこと。イグナシオ・ラモネは10月19日にバルセロナで行った講演において「ギリシャが債務を完済することはない」と断言し、さらには「スペインが経済危機から脱出する唯一の方法は、借金を支払わないことだ」と発言していました。 翌20日にバルセロナ郊外のサンタ・コロマ市が企画した講演の中で、ラモネは今回の経済危機のからくりとギリシャの問題に関しての解説を行いました。地元の高校生も多く参加していたため、非常に明解なわかりやすい説明である上に、このラモネの見解は15-M運動が現在の経済危機を偽りの経済危機とみなしている理由
わたしたちは 火あぶりだったり 八つ裂きだったり 水攻めだったり 無数のやりにつかれたり 石を投げつけられたり いい加減この肉体を脱がしておくれ と口の奥でぶつぶつ言っていた そうしたら 誰か知らない神様みたいな力が ぴょいっと 南京豆から出すように わたしたちをどこかへ ぷいっと飛ばした えー どこへ と思う間もなく 魔女だ 異端だ 同性愛だ ヤマンバだ 狂女だ 呪いだ まじないだ 水子だ 間引きだ 石女だ 人さらいだ 人食いだ 夜鷹だ 売春婦だ スパイだ なんて声がたくさん聞こえすぎて なんのことだかわからない はい はい そうですよ はい はい そうではないですよ いえ いえ 思い込みですよ いえ いえ 好き勝手に言いなさい ヤリタミサコ「向う見ず女のバラッド」より 始まりがシルビア・フェデリチだったので、このブログでは主として再生産労働における女性の身体の搾取の問題を取り上げてきた
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