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TGS2024
robertcampbell.jp
いくつものハードルを越え、この大学を選び、そして多くの家族や友人の祝福を受けながら、今日ここに集まった新入生の皆さまに、心からのお祝いを申し上げたいと思います。わたくしは去年の3月まで、およそ多くの皆さまが生まれたであろう2000年から17年間、駒場の教養学部で日本の古典文学を教えていた者です。 わたくしはアメリカで育ち、皆さまとほぼ同年齢で日本語に出会い、その日本語を使ってどう生き、何を生業とするかを真剣に考えた末、日本文学の研究者になることを選びました。20代の後半に来日、幸いめざしていた学問の道筋と与えられた環境が一致したので、今日このように、一度も母語が通じ合える国に戻らず、豊富な文献資料と優秀な仲間に囲まれ、励まされ、その資料が書かれたのと同じ日本語を通してすくすくと充実した日々を送ることができました。 しかし歳月は、いいことばかりを運んでくれるわけではありません。山や川よりも人
2018年の平昌オリンピックにボブスレーのアメリカ選手として出場したクリストファー・キニーさんは、祖母が日本人ということもあって、子供時代から日本のことが大好きであった。大学を卒業すると日本へ移り、日本の会社に就職して陸上チームに所属していた。抜群の身体能力が手伝って成績があがり、仲間も増え、順風満帆に感じる日々を送っていた。 亀裂が入った原因は、一瞬の出来事からであった。キニーさんはバイセクシュアルである。そのことを周囲には知らせていない。身近にいて仲間だと思っていた人がそのことを知り、周囲に言いふらした。陰湿な誹謗中傷の日々の始まりである。大切な試合当日に車のタイヤをパンクさせられ、車体に「くそゲイ」「ホモランナー」などと落書きされ、部屋まで荒らされた。本人が相談に行っても警察は動かない。代わりに祖母が警察署に直訴するとピタッと止まったが、かかった時間は二年間で、心に深い傷を負った。キ
衆院議員が性的指向や性自認のことを「趣味みたいなもの」と言うのを聞いて笑ってしまった。習い事のように何かのきっかけで始めたり、途中でやめたりできるもののように聞こえたから。当事者からすると、むしろ生を貫く芯みたいなものだと捉える人が多いに違いありません。言語にたとえるとどうでしょう。母語と同じように特段意識はしなくても、他者との交流の中で自然と芽生え、育ち、人間としてのポテンシャルを深めてくれる資質の一つであると私自身は見ています。言葉と違うのは、外国語のように学習してまるで違う文化に身を投じることはできない、という点でしょうか。 同性愛者、両性愛者、トランスジェンダーの人々をひっくるめて「生産性がない」ので「支援」に値しないという別の議員が発した言葉も、お粗末すぎて、反論する気持ちも起きません。 私は、日本社会に生きるのに、支援を必要とする意識を持って来ませんでした。でも最初から日本で日
建ったばかりの椎木講堂は満員。九大フィル演奏、久保総長の告辞、新入生総代による誓詞、同窓生紹介の後に、来賓すなわち私の祝辞。 人が「いいことをしたい」気持ちって何だろう、という疑問を中心に約10分の話。終わってから、「文字として読みたい」というツイートが流れたので、再録(というより、初めて公開)します。 なお最近、共感の危うさについての優れた考察がいくつか発表されています。今回はとくにPaul Bloomの Against Empathy: The Case for Rational Compassion (New York: 2016年)と
Robert Campbell(ロバート・キャンベル)Official Web Site。プロフィールや活動情報の他、ブログやラジオなどのコンテンツも更新中。Biography, blog, Internet radio and contact sheet.
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