※先日読んだ岡真理の『アラブ、祈りとしての文学』のなかに、こんなことが書かれていた。 ホロコーストを体験したユダヤ人がなぜパレスチナ人に同じことを繰り返すのか、という問いをよく聞く。パレスチナ人がパレスチナから物理的に排除し、そこに「ユダヤ人国家」を建設するというシオニズムの思想は、歴史的にホロコーストに先んじて存在していた。シオニズムにおいては当初より、パレスチナ人に対してユダヤ人と対等な人間性がそもそも否定されていたのであり、パレスチナ人の人間性の否定の上に建国されたイスラエルがユダヤ人国家維持のためにパレスチナ人に対して行使する暴力において、パレスチナ人の人間性が顧みられないのは、実はきわめて当然のことなのだ。だとすれば、先の問いは、ホロコーストというレイシズムによる悲劇の経験を、私たちはいかにして、イスラエルのユダヤ人がパレスチナ人に対するレイシズムを克服する契機となしうるか、と言