↑東京都大田区南久が原の昭和のくらし博物館内にある井戸 西洋文化の流入により、家事は女性にとって大きな負担となりました。そこで家電製品が一般家庭にも普及し、家事の省略化が進みましたが、現代では便利さや効率性を追求した結果、大量消費や環境破壊が進み、人々の暮らしからゆとりが奪われつつあります。本稿では、昭和のくらし博物館館長である小泉和子さんが、昭和時代の家事事情を振り返り、現代社会が抱える課題を考察します。 歴史的に一番大変だった「昭和の家事」 昭和は歴史的に一番、家事が大変な時代なんです。江戸時代の家事はとても楽なものでした。洗濯は1ヶ月に1回ぐらい。洗濯するといっても、タライの中に水を入れて、脇に腰掛けてチャポチャポと洗うぐらいのものです。よっぽど汚れていたら灰汁などを使ってしっかりと洗いましたが、大抵の場合は水で洗うだけ。洗うものも、ふんどし、腰巻、襦袢ぐらいしかなかったのです。 そ