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衆院選
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ハーバート・マクマスター(元米国大統領補佐官)&村野 将(米ハドソン研究所研究員<Japan Chair Fellow>) 2023/10/18 本稿は『Voice』2023年3月号に掲載されたものです。 同盟国である日本とアメリカは、それぞれの戦略を履行していくうえでどのような課題と具体的な対応策があるのか。ハドソン研究所研究員を務める村野氏が、トランプ政権で国家安全保障担当大統領補佐官を務めたマクマスター氏と議論する 戦略3文書の改定はポジティブに評価できる村野:日米両政府は昨年(2022年)末までに、新たな国家安全保障戦略や国家防衛戦略をはじめとする主要な戦略文書を公表しました。まずは私から、昨年末に発表された日本の戦略3文書(国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画)に関する評価を簡潔に述べたいと思います。 率直に申し上げて、今回策定された戦略3文書は、非常に良くできていると
曽我部真裕(京都大学大学院法学研究科教授、憲法・情報法)&上田健介(上智大学法学部教授、憲法・統治機構)&大屋雄裕(慶應義塾大学法学部教授、法哲学)&亀井善太郎(政策シンクタンクPHP総研主席研究員) 2022/09/02 新型コロナウイルスの感染拡大、新しい国際秩序に向けた世界の動き、デジタル化、人権問題など、さまざまな問題を背景にして今般、PHP「憲法」研究会が発表した提言報告書『憲法論3.0 令和の時代のこの国のかたち』(以下、『憲法論3.0』)。 憲法改正の是非ばかりではなく、こうした社会の変化にいかに応えるべきか、具体的な論点は何か、社会や政治はどのように動いていくべきか、『憲法論3.0』で登載した論考に込めた思いや考えについて、2回に分けて執筆陣が会し、議論しました。 第1回目の前編となる本稿は、曽我部真裕氏(京都大学大学院法学研究科教授、憲法・情報法)、上田健介氏(上智大学法
本対談は2022年3月30日に収録されました。 『Voice』2022年6月号掲載の「米国のジレンマと『核三極体制』リスク」は本稿より抜粋・編集しています。 対プーチンに「出口」はあるか村野:まずはロシアによるウクライナ侵攻について伺います。当初ロシアは、短期間でキエフを制圧し、戦略目標を達成しようとする「電撃戦」――あるいは、中国が台湾侵攻の際に企図しているとされる「ショート・シャープ・ウォー」――を試みていましたが、どうやらこれには失敗し、こう着状態に陥っているように見えます。こうした現状を総合的にどのように評価されているでしょうか。またウクライナ情勢をめぐり、どのような点に注目されていますか。 クレピネビッチ:かつてアイゼンハワー大統領が「どんな戦争にもサプライズがある。ひとたび戦争に踏み切れば、何が起こるか予想できることなどない」と述べたことがありますが、ウクライナでも同様のことが
近年日本をとりまく安全保障環境は質的な変化を遂げています。中国の軍事力増強により東アジアの軍事バランスは次第に中国に有利なものとなっており、台湾有事への懸念が現実味をもって語られるようになりました。サイバー、宇宙、電磁波といった新領域の脅威への対応も必要になっています。 従来とは次元を異にする安全保障環境において平和と安定を維持する上で何よりも優先すべきは、体系的に抑止力を見直し、再構築することではないでしょうか。にもかかわらず、抑止力をはじめとする日本の防衛に関するこれまでの議論は個別論に終始している感があります。 今日の戦略環境において安定した抑止を形成するには、日本自身のミサイル拒否力や新領域における積極防御能力の保有、戦略的コミュニケーションや軍備管理などを包括的に組み合わせることが不可決です。日本の専守防衛のあり方や日米間の「盾と矛」の役割分担について再定義が求められる面もあり、
中国の勃興もあり、当面は不安定な情勢が続くことが予想される東アジア。わが国はいかに平和を守り、戦争という事態に至らないように行動すべきか。そのときに必要なのが、「抑止力」についての議論である。専守防衛を掲げるわが国が抑止力をもつとは、はたしてどういうことか。現在直面している具体的脅威から発生するコストまでをふまえて検討する 日本に欠けている戦略的コミュニケーション2020年6月15日、河野太郎防衛大臣(当時)がイージス・アショアの計画停止を発表したとき、筆者たちはこれをきっかけに、総合的な抑止力に関する議論が本格化することを期待した。しかし、現実は期待どおりには進んでいない。イージス・アショアの代替をめぐる議論は、従来の枠組みから一歩も出ないどころか、「イージス・システム搭載艦」という、財政・運用の両面でよりコストの高い解決案にたどり着いてしまった。 ミサイル防衛の問題は、導入にかかるコス
不妊治療の健康保険適応などを検討している菅内閣。しかし、わが国の少子化対策は失敗を続けてきた。コロナ禍でさらなる出生数の減少が見込まれるいま、私たちが認識すべき日本特有の少子化事情とは 結婚、出生の状況をみるために、厚労省が出す人口動態速報をみてみよう(表1)。これは、全国で出された婚姻、離婚、死亡、出生届を月ごとに集計したものである。 まず、婚姻数が大幅に減少していることがわかる。1―7月の累計で、2019年は36万473組あったものが、2020年1―7月の累計で30万7,608組と、約14%減少している。昨年は5月1日に届け出を出す令和婚が多かったことを割り引いても減少幅は大きい。 出生数は新型コロナ流行前の昨年の懐妊の結果のため、減少数はそれほど大きくはない。ただ、結婚後1年ごろの出産が多いこと、結婚している人もコロナ禍による感染不安、病院の受け入れ不安で産み控える人が多いこと、そし
中国の図体が大きくなればなるほど、彼らの内の問題が、外に投射される。世界はそんな時代に突入している。デカップリングが限界のいま、権威主義の浸透にいかに対抗すべきか 8月10日、香港で、中国に批判的な「蘋果日報」の黎智英社長とその親族、経営するメディアグループ幹部、そして学生民主化運動「デモシスト」の元メンバーで日本でも著名な周庭氏など、10人が逮捕された。その後、保釈されたものの、国家安全維持法(国安法)違反の容疑とされ、いまも起訴に向けた動きはつづいている。 彼らの言動は、決して犯罪と呼べるものではない。してもいないことを含め、犯罪とされる罪状が今後当局からリークされるかもしれないが、彼らがしていたのは、基本的に自らの意見を表明し、内外の人びとに民主化への連帯を訴えるといった、ごく普通のことであった。それは、外国勢力と結託して中国に不利益をあたえ、やがては国家の安全を脅かすという、おどろ
新型コロナ危機認識の国際比較新型コロナウイルスは、世界にどれほどの「脅威」を与えたのだろうか。今年2月以後、何度も調査が行なわれ、コロナ禍における人びとの「脅威感」を数値化したYouGov(ユーガブ)調査のデータが公表された。世界的に見ても日本の死者数や感染者数は少ない(7月半ばで各39位と56位)にもかかわらず、驚くべきことに、日本人がこのウイルスに対して感じている脅威は、国際的に比較するとトップクラスの高さである。さらに同調査データにおいて、日本国民は政府のコロナ対応について世界〝最低〟水準の評価をつけていた。 この調査は、コロナウイルスに関するグローバルな継続世論調査であり、今年4月には危機を迎えていたアジア、ヨーロッパ、アメリカの各国と日本において人びとがコロナ危機をどう受け止め、どう対処しようとしているかを時系列的に比較できる(本拠はイギリス。https://yougov.co.
プラットフォームとは何かプラットフォーム(以下、「PF」という)は、新型コロナウイルスに対する人類の格闘の成否を決定付けるキープレイヤーである。SNSが偽情報や憎悪表現を含む雑多なコロナ関連情報をいかに伝播または濾過するかによって、世上の「空気」は大きく変わる。また、対策に必要なデータをふんだんに保持しているのはPFであり、それらが国家といかにデータ連携するかによって、感染対策の実効性も変わりうる。本稿の目的は、PFと主権国家との関係性を探り、PFの存在を前提とした国際秩序の新たな構図を描出することにある。だが、その試みは、現下のコロナ対策において国家とPFがいかなる関係を取り結ぶべきかについても若干の示唆を与えるだろう。 GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)のような巨大PFが、検索エンジンやSNSの提供を通じて、いまやわれわれの社会経済生活の基盤となっていることは疑う
世界保健機関への拠出金停止を発表するなど、自国の状況回復優先で指導力が低下する米国。新型コロナの終息には国際連携が不可欠だ WHOへの拠出金を停止した米国国境を越える感染症には、国境を越える対応が不可欠である。しかし新型コロナウイルスを巡っては、国家ごとの対応や国家間対立が目立ち、また世界保健機関(WHO)への批判が相次いでいる。従来、感染症への対応においてリーダーシップを発揮してきたアメリカは、中国との対立姿勢をむき出しにし、イランへの制裁を継続している。トランプ米大統領はWHOが「あまりにも政治的で、中国寄りである」と批判、当機関への拠出金を停止すると発表した。G7外相会合や国連安全保障理事会も、米中の対立を反映して、共同声明や決議を採択できない状況が続いている。 本稿では、感染症をめぐる保健協力の現状と展望について、過去の経験を踏まえつつ、また現状の国際政治を読み解きつつ考察していき
わが国はいまこそ「知の自立」を果たさなくてはならない――。100年前のスペインかぜと今日のパンデミックを取り巻く相違をふまえつつ、コロナ以後の世界と日本を問う コロナ以後の世界の見方新型コロナウイルス肺炎(Covid-19)が昨年末に中国の武漢市で流行し始めてからわずか数カ月のあいだに、この肺炎は地球全体を覆う感染症、すなわちパンデミックとなった。世界中の大都市で外出抑制策が採用され、SF映画のような風景が展開している。「コロナ流行開始後(アフター・コロナ)」の今日からすると、「コロナ以前(ビフォー・コロナ)」の時代こそ夢であったかのように錯覚するほどである。その一方で、流行の第一波が収まり始めた国もあり、「コロナ収束後(ポスト・コロナ)」や「コロナとの共生(ウィズ・コロナ)」といった言説が飛び交い始めている。今後の流行とその対策について確言できる人は誰もおらず、未来について語るのは明らか
政権が安定するにつれて失われた「多元性」という強み。コロナ対策では、経済重視と医療重視のあいだでの綱引きの最中で、社会生活に過剰な負荷がかかった。回復期に「同じ轍」を踏まないために―― 回復期の入口という局面新型コロナウイルス感染症の流行が、日本の政治行政と経済社会を大きく揺るがせている。ただ幸いにも、4月には感染拡大のピークは過ぎ、死亡率も国際比較でみれば低水準に抑えられ、一時期強く懸念された医療崩壊もおおむね回避された。現時点ではなお特効薬やワクチンが存在せず、人びとの社会的活動を抑止することで激しい流行を防がねばならないが、ゆるやかに最悪の局面からは離れつつあるといえよう。 しかし、昨年末や今年初めの光景を思い返せば、この半年に生じた変化には、やはり衝撃を受けざるを得ない。東京オリンピック・パラリンピックは延期となり、多くの企業が在宅勤務を大規模に導入し、大学はほぼすべてオンライン授
No man is an island, entire of itself; every man is a piece of the continent, a part of the main ――John Donne, MEDITATION XVII. なぜ民主政か(Why democracy?)。 この問いは、民主政が崩壊した末に悲惨な敗戦を迎えたわが国の戦後においては、アクチュアリティをもたなかったかもしれない。われわれはすでにそれ以外で一度失敗しているし、さらにいえば、その際に勝者が採用していたモデルこそ民主政に他ならない。だとすれば、その優位性はすでに証明されている自明のことなのだ、と。 だがその正統性は、この10年程度の世界状況のなかで揺らぎつつあると考えるべきだろう。経済的に急速な発展を遂げた中国は、外交・防衛の面でもその存在感を増し、アメリカの覇権に挑戦しつつある。その中国
3月下旬、小泉進次郎議員を中心とする自民党の若手議員が、「こども保険」創設に関する提言をまとめた。「こども保険」という名称のもと、既存の年金制度の中に組み入れることで、子どもが教育を受けられないリスクに社会保険として対応しようとする仕組みである。具体的には、子どもの幼児教育や保育の無償化を目指し、その財源は保険料の引き上げで確保するという政策である。 「変える力」特集No.40では、自民党で検討が進む「こども保険」を取り上げ、こうした政策提案から見えてくる意義と課題について、財政や社会保障政策に詳しい中部圏社会経済研究所の島澤諭氏、法政大学教授の小黒一正氏、政策シンクタンクPHP総研主席研究員の亀井善太郎が鼎談を行った。 1、こども保険とは何か 亀井 まずは、具体的に提案された第一段階と第二段階について、負担と受益の関係を見てみましょう。負担するのは現役世代と企業(保険料は折半)、受益があ
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