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先週BloombergとCNBCが相次いでファストフード業界に関する短編ビデオを公表していた。 もはやお手頃価格でなくなったファストフード業界で起こる変化を解説したものだ。 いずれもマクドナルドの業績開示におけるCEOの発言を紹介するなど、共通点も多い。 Bloombergの方が数日早く公開されたのだが、CNBCの方から紹介しよう。 CNBCのビデオタイトルは「なぜファストフードはこんなに高くなったのか」。 タイトルどおり、販売価格に重点が置かれている。 ビデオによれば、ファストフードが属するCPIの品目「限定的サービスの外食・軽食」における2019-23年の上昇率は27.76%だという。 これが「フルサービスの外食」の23.78%、全体の19.18%より高いというのがビデオの問題意識だ。 なぜかと言えば、読者の多くが想像するとおり、サービス分野での賃金上昇が効いている。 事業者はコスト増
CNBCが、強い米経済と必ずしも一致しない米市民の肌感覚について短くまとめたビデオを公表している。 日本人も感情移入しやすいテーマであり、さわりを紹介しよう。 わかりやすい英語であり、視聴をお奨めしたい。 ビデオは2つの調査を紹介して始まる。 1つは、1年前より経済はよいかどうか尋ねた調査。 40%が悪化したと答え、改善と答えたのは23%だけ。 もう1つは「インフレは過去1年正しい方向に動いたか、間違った方向に動いたか?」という調査。 「間違い」が68%、「正しい」が28%だった。 (正解は後述。) ビデオでは、経済データと人々の景況感の乖離についてさまざまな原因を提起している。 たとえば、人々はよいニュースを十分に「内部化」できていないなど。 つまり、人間の認知の問題もあるとの指摘だ。 そうしたバイアスの1つとして、ビデオではUBSのエコノミストが「頻度バイアス」を紹介している。 人々は
米市場では徐々にベアな雰囲気が広がっているように感じられるが、その1つの理由がバランスシート縮小が始まりそうなことへの警戒感だ。(浜町SCI 4月6日) FRBのラエル・ブレイナード理事は5日、インフレ退治のために5月のFOMCで急速なバランスシート縮小を始める可能性があると話した。 最近までハト派と見られていた同氏がこうした発言をすることで、FRBの金融引き締めへの本気度が改めて確認された形だ。 これが市場を揺さぶっている。 FRBの《バランスシート》とは何を示すのか。 もちろん様々な勘定科目があるのだが、量的緩和後で言えば、大部分が買入れた資産の残高であり、その過半が保有米国債の残高だ。 今や米国債の最大の保有者はFRBであり、そのFRBが国債保有を減らすなら、国債の需給が悪化することになる。 この分を買い増す投資家が十分いなければ、金利に上昇圧力が加わる。 これは需給による金利上昇で
バークシャー・ハザウェイのチャーリー・マンガー氏が、会長を務めるデイリー・ジャーナル年次株主総会で、足元のインフレについて日本との対比を用いて論じている。 日米欧ほかのように現代国家が莫大なお金をばら撒き刷っている。 規模の面で新たな領域に入りつつある。 マンガー氏が株主からの質問に答える形で、貨幣増発についてコメントした(Yahoo Finance中継)。 株主の質問は、米国が今後1950-80年のような金利上昇を迎えるのかというものだった。 この議論でマンガー氏は、日本を好事例(?)として挙げている。 日本はそれをやったのに、たいしてインフレにならず、まだ立派な文明社会だ。 実際、日本は全世界で最も立派な文明の1つと言える。 この極めて極端な政府の貨幣増発にもかかわらず、悲惨な結果を生まず、25年間の停滞を続け、生活水準もたいして改善しなかった。 マンガー氏は、バブル崩壊後の日本の長期
ローレンス・サマーズ元財務長官は、インフレに対する楽観的な見方に釘を刺し、バイデン政権とFRBが景気過熱を避けるとの明確なスタンスを示すべきと述べている。 1年前の最大の誤りは、慣性に対する深い思い込みから来ていた。 サマーズ氏が自身のウェブサイトで、バイデン政権・FRBの1年前の失策について振り返った。 米社会・経済をコロナ・ショックが襲う中、政権とFRBは前政権からの拡張的スタンスをあらためることなく経済を刺激し続けた。 それがCPI 7%という足元の高インフレを生んだ。 インフレは昂進しないというコンセンサスが生じた背景は、過去40年そうだったからという思い込みが大きかったのだろう。 こうした大きな転換点を言い当てたのだから、やはりサマーズ氏は卓越した学者なのだろう。 同氏が景気過熱・インフレに危機感を呈し始めたのはまさに昨年の年初あたりからだ。 左派のエコノミスト(何人かはノーベル
このところ、短中期的には「現金はゴミ」でないように思うことが多くなってきた。(浜町SCI 1月19日) 以前書いたコラムに関連して1つ理解が進展した点があるので、補足させていただこう。 「投資家が陥りがちな3つの『常識』」の中で、超長期的な経済・市場の歪み(特に債務と金利)の解消法には2つがありうるとしたものだ。 デフレ的解消とインフレ的解消だ: デフレ的: デフレによりお金・信用が収縮する。この場合、資産デフレが起こる。債務は資産と表裏一体のものなので、過剰な債務が解消に向かう。 インフレ的: 資産価格はさほど下がらないが、ファンダメンタルズが追い付いてくる。経済のキャッシュフローが債務を正当化する。 その上で、弊社は前者をメインシナリオとしていると述べた。 そもそも、この2つに分類し予想する考え方はブリッジウォーター・アソシエイツのグレッグ・ジェンセン氏が紹介したものだった。 同氏は今
ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏が、今年最も魅力ある投資アイデアについていくつか挙げている。 30年債と比較すればましとの議論を軽蔑しているのと同じぐらい、投資家はいくらか30年債を保有すべきと言ってきた。・・・ 投資というのは、何が最も確率が高いか判断すること、そこにすべて投資することを判断することではない。 ガンドラック氏が自社主催の座談会で、分散投資の重要性を唱えた。 1つのシナリオに賭けて成功する人がいることは認めるものの、ほとんどは長い間に失敗をし、栄光を失う羽目になるという。 だから、長期債を嫌うのと同様に、投資は少なくとも資産の25%を長期債に充てるべきだとまだ信じている。 今の状況がひっくり返れば、おそらく長期債が1%を割り、例えば25%といったリターンが得られるはずだ。 ガンドラック氏は以前から、中長期の話として、ドルの価値の下落懸念を主張してきた。
ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏は、1.25%程度のFF金利で経済は破壊されると予想し、後手にまわってきたFRBを痛烈に批判している。 40年前から同じ情景が繰り返される度、経済をもたせるためにFF金利の水準が切り下がってきた。 前回(のFF金利のピーク)はわずか2.5%だ。 過去数か月に債券市場で起こったことから推測すると、経済を壊すFF金利は1.25%程度と見ている。 ガンドラック氏が自社主催の座談会で、5回程度のFRB利上げで経済が壊れると予想した。 同氏は先月も、FF金利が1.0-1.5%で経済が壊れると予想している。 そして今や市場による今年の利上げ回数は4回が中心になってきている。 すべてのものがこのマイナスの実質金利と均衡しているとの考えに完全に同意する。 ガンドラック氏は高インフレの中でのゼロ金利政策の危うさを指摘する。 実質金利は今だ大きくマイナスであ
伊藤隆敏コロンビア大学教授は、日本の社会・経済においてはMMTは持続可能でないとして、財政政策の中身に注文を付けている。 他の国々は日本をまねる前に、日本国債が円建てで発行され、ほぼすべてが日本の居住者により直接・間接に金融機関や中央銀行を通して保有されていることを勘案しなければならない。 これにより日本は、国債が世界中の投資家によって保有されている米国とは相当に異なっている。 伊藤教授がProject Syndicateで、日本がデファクトのMMTの成功例のようにとられることを危うんでいる。 パンデミックによって世界中で公的債務が拡大した。 しかし、金利が低下しているために、やや危機感に欠ける風潮がある。 低金利にはいくつも理由があろうが、その1つが中央銀行による量的緩和だ。 特にインフレが上昇している今、のんびり構えていられなくなるかもしれない。 伊藤教授はMMTについてオーソドックス
ブリッジウォーター・アソシエイツのレイ・ダリオ氏は、現在のインフレ上昇が超長期の債務サイクルで起こる通常のプロセスだとし、貨幣錯覚に囚われないよう注意を促している。 お金や信用の形で生み出される購買力が、財・サービス・金融資産の増分より多く生み出されると、金融資産の価格を押し上げる。 貨幣増発、債務の貨幣化は、超長期の債務サイクルの最終局面だ。 ダリオ氏が新著『Principles for Dealing with the Changing World Order』に関するYahoo Financeによるインタビューで、現在のインフレや資産インフレを長い歴史の文脈の中で捉えなおしている。 長いサイクルの1局面だから、ほとんどの人にとっては初めての経験だ。 しかし、新著において経済・政治・国際関係のサイクルを回顧したダリオ氏にとっては現在もまた歴史の典型的な1局面にすぎないという。 投資家の
東京大学の 渡辺努教授が、日本における物価と賃金の悪循環を指摘し、日銀の政策目標を物価から賃金に変更するよう提案している。 原因を理解することが大切だ。 1つはよく言われる労働生産性が上がらないこと。 もう1つは物価だ。 渡辺教授がテレビ東京の番組で、日本の賃金が上がらない原因を2つ挙げた。 岸田内閣が重要課題として挙げる「分配」ついて、その「一丁目一番地」こそ賃金だと教授は話す。 そして、物価と賃金の間に「悪い循環」が起こってしまっているという。 「企業の方は商品の値段を上げられないから賃金を上げる余裕もない。・・・ 一方、消費者の方は賃金が上がらないから・・・値上げを受け入れられない。」 渡辺教授は、日米欧で実施した、値上げに対する消費者の行動に関するアンケートの結果を紹介した。 国別の比較では、欧米に比べ、日本は値上げに対する抵抗感が強かったという。 さらに、日本についての分析では、
アリアンツ経済顧問のモハメド・エラリアン氏がゴールドマン・サックスによるインタビューで、政策や投資についてバランスのとれた見解を披露している。 「市場参加者は、ファンダメンタルズから見て値付けが間違っていることを確信していても、何度も経験したように、FRBの資産買入れに逆らえば踏みつぶされてしまうことを理解し重んじている。 FRBがもたらした歪みがどれだけ調整されるかわからないため、インフレ期待を測る通常の市場の指標に頼るのには注意が必要だ。」 エラリアン氏がゴールドマン・サックスによるインタビューで、インフレの先行きを占うのに市場の指標を用いることができないと話している。 ここでいう指標は言うまでもなく(国債利回りと物価連動債利回りの差である)ブレークイーブン・インフレ率だ。 米ブレークイーブンインフレ率(緑:5年、赤:10年、青:30年) 足下のCPIに比べればブレークイーブン・インフ
モーニングスターのクリスティン・ベンツ氏らが、老後破綻しない確率を90%と規定して、年あたりどれだけの割合で老後資金を使えるかを試算している。 当初の引出率を4%とし、その後は毎年インフレ分を調整するというやり方が、しばしば引退する人にとっての『安全な』引出ルールとされる。・・・ 将来の投資パフォーマンスやインフレについての予想を用いたところ、この目の子ルールは4.0%から3.3%に引き下げるべきとの推計を得た。 前提条件は、バランス型ポートフォリオ、30年のホライズンにわたり実質引出額を固定、90%の成功率(つまり、ホライズン中に資金が枯渇しない確率が高い)だ。 ベンツ氏がレポートで、老後の設計に修正が必要になるかもしれないと書いている。 原因は債券の空前の低利回りであり、リスク資産の高値感だ。 ただし、同氏は3.3%を推奨するわけではない。 推計の前提条件が「保守的」だからだという。
ブリッジウォーター・アソシエイツのレイ・ダリオ氏が、関係する新著発売を控え、投資家にあらためて富の定義を問い直している。 ある人たちは、保有資産の価格が上昇するのを見て、裕福になっていると勘違いしている。 彼らは購買力が侵食されているのを見ていない。 ダリオ氏が自身のSNSで、昨今の資産高が一概に喜べないと書いている。 貨幣増発による民間への給付が消費者や生産者物価のインフレを生み出し、資産インフレを生み出している。 後者だけを喜ぶことは長い目で見て賢明でないとの指摘だ。 もちろん、足元でCPIが5%台の上昇をしても、たとえば米国株はそれをアウトパフォームしている。 現時点でドルの購買力低下が資産の名目価格上昇を打ち消して余りある状況ではない。 ダリオ氏が見ているのは、現在の瞬間風速の話ではないのだろう。 同氏は今後もインフレの基調が高まり、長い目で見て現状の資産価格上昇がインフレに負けて
ローレンス・サマーズ元財務長官が、インフレへの懸念を強め、ポール・クルーグマン教授らハト派のインフレ対応についての楽観論をほぼ全否定した。 現状の政策はまだ経済の実態と整合していない。 金利は中立金利よりはるかに低く、労働市場は引き締まっている。 これはインフレ低下でなくインフレ上昇を生み出すものだ。 サマーズ氏がBloombergで、今後1年あまりの先行きについて心配を深めた。 民主党エコノミストの代表格であった同氏は(この観点については)今や共和党からエールを贈られるほどの存在になっている。 サマーズ氏はインフラ投資などバイデン政権の政策の方向性を称賛する一方、問題点は鋭く指摘する姿勢を続けている。 FRBが制御するのは金融環境だ。 金融環境を実質金利や資産価格で測ると、水曜日のパウエル議長発言や1-2か月前よりも緩和的になっている。 インフレは上昇し、金融環境は引き締まっていない。
アリアンツ経済顧問のモハメド・エラリアン氏が、10月の米雇用統計についてコメントし、FRB金融政策について批判を繰り返した。 1つ重要なのは、労働参加率で、これが上昇していない。 これが上昇しないといけない。 エラリアン氏がBloombergで5日発表の米雇用統計についてコメントした。 結果は概して強く、他の統計との整合性もあるとしつつ、人々が労働市場に戻ってこない現状を心配した。 足下の大問題である供給制約の1つの要因となっているためだ。 5日発表の米雇用統計は 非農業部門雇用者数の前月比: 531千人(市場予想450千人) 失業率: 4.6%(前月比0.2%ポイント改善) 平均時給の伸び: 前月比0.4%、前年同月比4.9% 労働参加率: 61.6%(前月から変わらず) 他の指標に比べ、労働参加率の出遅れが目立つ。 同番組にはブラックロックのリック・リーダー氏も出演していた。 雇用統計
グッゲンハイム・パートナーズのスコット・マイナード氏は、市場が金融緩和への依存症に陥っており、各国中央銀行には現状の強力な金融緩和からの出口が存在しないと話している。 明らかに現時点では大統領がFRBを大きく変えるチャンスを握っており、明らかにハト派側に傾いている。 左派から強いプレッシャーを受けている。 バイデン大統領は偉大な人物で、金融政策は理解していないだろうから、その方向でいかざるをえないだろう。 マイナード氏のあるコンファレンスでの発言をBloombergが伝えている。 同氏の発言は、FRB議長を始め多くの高官ポストの再任時期が迫ることを踏まえたものだろう。 ハト派的金融政策を望む大統領が、そうなるように人事を誘導し、要望していくのだろう。 各国中央銀行はかつて意図されたことのない役割を演じている。 かつて中央銀行の役割とは、危機時に限界的な流動性を供給し、経済が安定化し回復し始
最近久しぶりにバラッサ-サミュエルソン効果という言葉を聞く機会が増えたような気がする。(浜町SCI 2021年10月10日) バラッサ-サミュエルソン効果とは、消費者物価が先進国より後進国で高くなる傾向とその因果関係を示すモデルのこと。 円安傾向あるいは日本国内の物価が相対的に低いことが、日本が貧しくなったことを反映しているとの文脈で引かれている。 この経済モデルの要所は、貿易財における生産性が高い国が低い国より物価が高くなるという主張にある。 いくつかポイントを挙げると: 輸出入が可能な財の価格は国際的にかなり裁定が働いている(一物一価に近い)。 経済発展過程では、貿易財部門の方が非貿易財部門より生産性が先に上昇する傾向がある。 貿易財部門で生産性が上昇する国ほど、同部門の賃金が上昇する。 生産性上昇による賃金上昇だから、コストは上昇せず、国際競争力に影響を与えない。 (労働市場における
出典: 佐々木融氏のReuters寄稿からFPが要約・加筆 余談になるが、財力もないのに戦争を起こし、負けるというのは悲惨なことだ。 戦前・戦中は戦費調達、戦後も復興のために借金と貨幣増発が行われ、インフレが進んだことがうかがわれる。 インフレ退治のために預金封鎖・新円切り替え、財産税が講じられた後も極めて高いインフレが進んでいるところは要注意だ。 (戦中より戦後まもなくの方がインフレのペースが速いように見えるのがなんとも不気味だ。) もしも高インフレが起これば、平時に投資家が検討するインフレ・ヘッジなど何の役にも立たないのかもしれない。 戦後までは主に日本のインフレが相対的に高い時代であり、必然的に円安が進んだ。 一方、私たちが日頃意識するのは、主にニクソン・ショック後の時代だ。 若い世代なら、もっと短い期間しか実体験がないだろう。 その時代、日本のインフレは相対的に低くなった。 ニクソ
最近、何度かBloombergがマイケル・バーリ氏について取り上げるのが目につく。 同氏の動きにどのような意味があるのか、チェックしておこう。 UCLA出身で医師免許も持つマイケル・バーリ氏は、ヘッジファンド サイオン・アセット・マネジメントの創業者でCEO。 同氏を有名にしたのは、なんといってもマイケル・ルイス著『世紀の空売り』での取り上げだ。 この医師は前2回のバブル崩壊で赫々たる成果を上げている。 インターネット・バブル崩壊直後の2001-02年、バーリ氏は割高ハイテク株をショートし、市場下落を尻目に大きなリターンを上げた。 2005年にはサブプライム・ローンを分析し、2007年にも不動産バブルが崩壊すると予想した。 質が悪いと見られるサブプライム資産のCDSを購入し、大きなリターンを得ている。 では、この終末博士とでもいうべき投資家について、Bloombergは何を報じたのか。 5
ブリッジウォーター・アソシエイツのレベッカ・パターソン氏が、インフレが持続的になる可能性を指摘し、潜在的なドル安要因を勘案すべきと説いている。 株式全体について数十年遡り、20のインフレ上昇期を見てみると、株式は全体としてプラスのリターンを上げたが、平均以下だった。 つまり、アンダーパフォームした。 パターソン氏がCNBCで、株式がインフレ上昇期に平均以下のパフォーマンスしか上げないと話した。 一見よく知られた話と反するように響く。 パターソン氏によれば、特に「幅広いコモディティのバスケット、金、物価連動債」に対してアンダーパフォームしているのだという。 株式と債券の比較で株式が有利と話されることが多いが、投資先のユニバースはそれだけではないということだろう。 「このインフレが持続的か一過性かという問題から始めないといけない。 誰も確かなことはわからないはずだ。」 パターソン氏は、わからな
ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏は、投資家が金利・インフレについて知っておくべきこと、FRBバランスシートと米株価の関係について語っている。 私が金融市場で働き始めた頃興味深かったのは、債券利回りが本当に高かったこと。 1984年5月31日、長期債利回りは14%だった。 ガンドラック氏が5月12日に行われたオンライン・コンファレンスで、キャリアをスタートさせた1984年を振り返った。 14%という数字に驚かれた読者もいるだろう。 現在、多くの市場参加者が高金利・高インフレを知らないことが不安視されている。 ブラックロックのラリー・フィンクCEOは、経験のない状況が実現した時、市場が大きな反応をしかねないと懸念を述べている。 そうした懸念から考えると、現在いつになく年寄りの昔話が有用になっているのかもしれない。 ガンドラック氏は、重要なのは長期金利だけでないと話を続けた。
プリンストン大学のハロルド・ジェームズ教授が、インフレやデフレには良いもの悪いものがあり、良いインフレは抑制せず、必要な社会の変化のトリガーとして歓迎すべきと説いている。 すべてのインフレやデフレが同様に扱われるべきものではない。 技術の改良により起こる価格下落(デフレ)は良いものでありうる。・・・ こうしたものは、大恐慌のようなデフォルトや債務危機につながる物価変動ではない。 ジェームズ教授がProject Syndicateで、すべてのデフレが悪いわけではないと説いている。 同様に、すべてのインフレが悪いわけではないとも書いている。 インフレは金融政策の助けになるほかに、社会を望ましい方向に動かす機能があるという。 教授は「よい物価上昇」の例を挙げている: 半導体の逼迫・高騰は、供給力増強・価格低下につながる。 エネルギー価格上昇は一時的で、かつ化石燃料への依存を減らさせる。 繰り返す
ポール・クルーグマン教授が、いつものようになりふり構わず自分の推す政策を正当化している。 今回のテーマは主要準備通貨としてのドルの地位だ。 いつか何かが起こり、ドルを現在の支配的地位から降ろす可能性は十分にある。 以前はユーロが競合相手となると考えていたが、欧州の問題を考えると今のところ可能性は低い。 それでも、貨幣にかかわることに永遠はない。 クルーグマン教授がThe New York Timesで、主要準備通貨の地位は永遠に続くとは限らないと述べている。 一般論としても、個別論としても、主要準備通貨が変わりうることを認めている書き方だ。 教授は、ドルが主要準備通貨であるがゆえに得ている《法外な特権》を一部認めている。 「米国の現金を外国人が保有したがっているため、世界は莫大なお金(おそらく兆ドルのオーダー)を米国に金利ゼロで貸している。・・・ したがって、米国はドルの特殊な役割からいく
グッゲンハイム・パートナーズのスコット・マイナード氏が、ビットコインの調整の継続を予想し、暗号資産市場の長期展望を語っている。 この問題を警告してくれたのは、ビットコインが指数関数的な急騰をしたことだ。 指数関数的な市場は何でも自動的に持続不可能になる。 私が理解したのは、この大きな動きは事実上マニアやバブルであり、その場合、伝統的にバブルのトップから50-70%下がるということだ。 マイナード氏がCNBCで、4月下旬に公言していたビットコイン50%下落予想についてコメントした。 驚くことに、この暴落予想は(一時的とは言え)1か月足らずで的中した。 予想の理由はトレーダーらしく純粋にテクニカルによるものだ。 もっともビットコインにはファンダメンタルズはないから、そうならざるをえない。 この種の下落は崩落だ。 1987年の株式市場のクラッシュを思い出せば、底を確立し再び地固めするまでしばらく
アスワス・ダモダラン ニューヨーク大学教授が、インフレが投資に与える影響について過去のデータから分析している。 40歳未満で欧米に育った人たちにとってインフレとは抽象的概念にすぎない。 政府が発表し、専門家がコメントする数字にすぎない。 彼らの投資や日々の生活にとって中心的なものではない。 もっと年を取っている人、高インフレの国々で育った人にとって、インフレとは単なる数字ではなく、貯蓄に壊滅的な破壊をもたらし経済・社会の断層を暴露するものだ。 バリュエーション学部長が自身のブログで、インフレの話題を取り上げた。 インフレの経験・記憶のある教授は、インフレの動向を予見するのは不可能としながらも、油断すべきでないと説いている。 仮に高インフレが居座る場合、投資にどのような影響を及ぼすかを過去の数字で検証している。 興味深いのは、ダモダラン教授が、インフレの実績値を2つの要素に分けて議論している
ケインズ研究で有名な、経済学者で英上院議員のRobert Skidelsky氏が、金融政策にまつわる建前がなくならない理由を皮肉たっぷりに解説している。 BOEは、金融・財政政策の間には関係はなく、資産買入れは単に2%物価目標を達成することを狙って行ったものだと主張する。 2020年3月以降のBOEの資産買入れ額が同期間の財政赤字に偶然にも一致した事実は、偶然以外の何物でもない。・・・ さらに、BOEの擁護者たちは、単に量的緩和の規模がBOEの物価目標達成のために必要なものとは異なると示唆することでさえ、BOEの対インフレの信認を損なうと言う。 スキデルスキー教授がProject Syndicateで痛烈な皮肉を重ねている。 かつてインフレに苦しんだ英国の識者がどう金融政策を見てきたかが伺われる文章だ。 スキデルスキー教授の解説がすべて正しいのかは議論があろうが、とても面白く勉強になる内容
ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏が、メイン・シナリオではないとしながらも、債務崩壊とデフレ・サイクルが起こりうると話している。 同氏が一般投資家の質問に答えた珍しいビデオだ。 あなたは今何歳なの? ガンドラック氏があるオンライン・イベントで質問者に年齢を尋ねた。 家計の設計について話す時には、その年齢が重要な変数となるためだ。 質問者が25歳と答えると、ガンドラック氏は質問を聴く前に短くアドバイスした。 もっとリスクを取りなさい。 25歳の質問の1つはポートフォリオの中にどれだけ不動産を持っていいかというものだった。 それはどれだけお金を持っているかによる。 純資産が多ければ多いほど、不動産、より広く実物資産、宝石・・・を概してより多く持つべきだ。 純資産が増えるほど、実物資産を多く持つよう奨めている。 不動産については、25歳を前提として、ポートフォリオの25%から1
ローレンス・サマーズ元財務長官(現ハーバード大学教授)が、足元のインフレを一過性とするFRBの姿勢について懸念を述べている。 誰にもわからないし、まだ知るには早すぎるし、予想者の的中率は良くないものだ。 しかし、平均時給、生産者物価、消費者物価、労働者不足の直接的指標、インフレ期待、インフレ期待サーベイのどれを見ても、私はインフレを心配する側だった。 それが、私の予想よりはるかに速く、早く進んでいる。 先行きに神経を使うべきだ。 サマーズ氏がBloombergで、米インフレの先行きについて予断を許さない状況にあると指摘している。 同氏はインフレ上昇懸念を強めているようだが、あくまで両方の可能性を視野に入れるべきと強調している。 どの月にも急速に上昇するCPIの要素があるのは当然のことだ。 それこそ、カーター政権のエコノミストが高インフレの最中言ったことだった。 サマーズ氏は、1970年代の
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