ナポレオンの指揮するフランス軍がロンバルディア平原でイタリア・オーストリア 軍を撃破してミラノに侵入した1796年から、ワーテルローの戦いで破れる1815年まで の20年間は、俗に「ナポレオン戦争」の時代ともいわれる。 この戦いに、諸国同盟軍側として参戦したイギリス軍の将軍や士官たちは、戦場に あっても傘を携帯使用することがよくあったようである。ある戦いの後では「地上は 軍力、肩掛け鞄そして傘で覆われていた」(前回に記述)と形容されるほどであった という。しかし、傘を好んで使う将軍や士官たちに対して、これを軍規の緩みとして 苦々しく思う上層部もいたようである。 ◆ ウェリントン公の訓戒 1813年10月にあったライプチヒの戦いでは、プロイセン、オーストリア、ロシアの 同盟軍がナポレオン軍に大勝し、翌14年3月にパリが陥落した。同盟軍が勝利した同 年12月、タイリング将軍が率いるイギリスの近