気候変動の抑制に重要なGHG(温室効果ガス、Greenhouse Gas)の排出量を算定する基準として、世界各国で標準的に使われている「GHGプロトコル」の改定作業が2022年から進められている。GHGプロトコルは排出源によってスコープ1~3に分けて排出量を算定する(図1)。このうち購入した電力や熱の消費に伴う間接排出量(スコープ2)の改定に関する主な論点の最終とりまとめが2023年11月に公表された(末尾の参考資料)。エネルギーを使用する企業にとって、スコープ2の規約がどのように改定されるかは、今後の電力の調達に大きな影響を与える。最終とりまとめの内容をもとに、改定の方向性を探ってみる。目指すべき方向は、短期と中長期の双方の観点から、気候変動の抑制にもたらす効果を可能な限り高めることである。 図1.「GHGプロトコル」で排出量を算定する対象 マーケット基準は継続へ、要件を厳格化する見通し