教育振興基本計画(第一期(平成20~24年度)・第二期(平成25~29年度)・第三期(平成30年度~令和4年度))において教育投資の重要性は一貫して語られてきた。一方で、大学進学率が50%を超え、マーチン・トロウの述べるユニバーサル段階に入り、Fランク大学とも揶揄される大学群が現実に存在する。そしてこうした大学へ進学することの意義に対して否定的な議論も世上事実として存在する。 ただ、この両者に共通するのは、いずれも十分なエビデンスに基づいての議論となっていない点である。そこで、本稿では、地方に位置する学生「受応」型私大(本稿では大学入試における偏差値が低い学生を受け入れ、彼ら・彼女らのニーズに応じて教育を行っている大学を学生「受応(じゅおう)型」私大と呼称することとする)において、大学教育投資の効果が存在するのか否かについて、事例的にではあるが、実証的に明らかにした著者の研究成果を紹介する