◇物価上昇待っての政策動員は遅い ◇経済学者は現実を受け入れろ 経済学の“異端児”に米金融政策の行方や世界の成長見通しを聞いた。 (聞き手=岩田太郎・在米ジャーナリスト) ※2018年1月2・9日合併号の未掲載分も含めたインタビュー全文掲載しています。 ── 謎は解けたか。 ■謎の答えは、わからない。そのことは正直に認めるべきだ。物価が上昇しにくくなっているのは厳然たる事実だ。労働市場が引き締まるような短期的なマクロ政策を積極的に打てば、賃金も上昇し物価に波及する。そのためには金融政策だけでなく、財政など他の手段も行使しなければならないだろう。「インフレ率が実際に上がるまで待つべきだ」という考え方は間違っている。(景気後退局面になっても利下げする余裕がなくなるような)将来の危険について、今、決断しなければならないからだ。 ── 経済理論と異なる次元で実体経済が進行しているように見える。 ■