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災害への備え
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2024年3月、大手レンズメーカーのHOYAでシステム障害が発生した。社内システムがランサムウエアに感染したのが要因だ。レンズの納期遅れが発生し、眼鏡販売店が影響を受けた。HOYA以外のレンズメーカーに注文が集中した結果、納期遅れが飛び火。大部分のシステムを復旧させるまでに1カ月近くを要し、業界全体が混乱に陥った。 2024年8月1日、大手眼鏡レンズメーカーであるHOYAが2025年3月期第1四半期の決算を発表した。前年同期比で増収増益だったものの、レンズ事業を含む「ライフケア事業」のセグメント利益は同42%減に落ち込んだ。 不調の原因は、3月に発生したシステム障害である。同社はサイバー攻撃が原因と説明しており、ランサムウエアに感染したとみられる。 「いつレンズが注文できるか分からず、来店客には他メーカーのレンズに変更を勧めざるを得なかった」――。横浜市の個人眼鏡店オーナーは当時の現場を振
本当に嫌になってしまうよね。何の話かというと、DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉の「乱れ」についてである。もうめちゃくちゃだ。単なる「IT活用」が「DX活用」という意味不明の話に化けたりするし、DXの名の下に実施されたはずの基幹システム刷新が単に技術的負債を解消する案件に過ぎなかったりする。私はDXという言葉を大切にしなきゃいけないと思ってきたが、こんなことではバズワードと化したDXはもう使うのをやめたほうがよいかもしれないな。 この「極言暴論」で何度も書いてきた通り、DXとは「デジタルを活用したビジネス構造の変革」のことであり、その「魂」はデジタルのほうではなくトランスフォーメーションのほうだ。そんな訳なので、DXと呼べるものは、(デジタルを活用して)全く新しいビジネスを創るか、(デジタルを活用して)既存のビジネスを大きく変革するかしかあり得ない。にもかかわらず、「それっ
システム開発頓挫を巡り、アルミ建材大手の文化シヤッターと日本IBMが互いを訴えた裁判。一審判決は日本IBMに対して約19億8300万円の支払いを命じたが、2024年5月16日の控訴審判決では賠償額を約20億500万円に変更した。一審で85%としていた日本IBMの過失割合を二審で90%に引き上げたのだ。過失相殺の割合が変更されるのは珍しいという。裁判記録を基に判決の経緯を読み解く。 話は2015年1月に遡る。文化シヤッターは20年以上利用していた「販売管理システム」の刷新を検討していた。日本IBMを開発ベンダーとして選定。日本IBMの提案により、米Salesforce(セールスフォース)のPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)「Salesforce1 Platform」の利用を決めた。 同プラットフォームには標準部品と呼ばれるモジュールが提供されており、これらを組み合わせることで開
対話型AI(人工知能)の「ChatGPT」は、日常業務の中でメール文面の作成や事業アイデアの壁打ちといった真面目な使い方もできるが、「暇つぶしのためのおもちゃ」としても有用だ。特にコード生成機能を利用すれば、かなりいろんなことができる。 ためしに「Pythonで何か面白いプログラムを書いて」と頼んでみると「ゲーム」「データ分析」「画像処理」「音楽生成」のどの分野に興味があるかを尋ねてきた。 Pythonで音楽を生成できることは知らなかったので音楽生成を指定すると、ChatGPTは「mingus」というライブラリーを紹介してくれた。このライブラリーは、音楽理論のコンセプトをコードとして表現し、音楽の作成や操作を行うためのツールを提供するという。 生成されたサンプルプログラムは、mingusでスケールやコード進行を指定することにより簡単なメロディーをつくるものだった。実行するとMIDIファイル
1987年4月に東京急行電鉄(現東急)入社。2015年に伊豆急ホールディングス常務。2016年に東京急行電鉄の鉄道事業本部電気部統括部長、2022年に分社化後の東急電鉄取締役常務執行役員などを経て、2023年4月にCDOを兼務。2023年6月より現職。(写真:尾関 祐治) 新型コロナウイルス禍を境に鉄道事業は厳しさを増した。持続的な成長を取り戻すために、デジタルを活用して鉄道事業を変革する取り組みに着手している。2024年から3カ年の中期事業戦略では、CX(顧客体験)とEX(従業員体験)の向上をデジタル活用の目標に掲げた。 CX向上の具体策として、鉄道を利用してもらう機会創出を進める。2023年12月にはスマートフォンアプリを活用したQR乗車券などによる「タッチ乗車」を開始した。現在は通常の乗車券としてのみの利用だが、今後は移動需要を生み出すマーケティング施策に取り組む考えだ。 例えば、東
2024年8月1日早朝、韓国仁川市マンション団地の地下駐車場で独Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)の電気自動車(EV)「EQE」が全焼したと複数の韓国メディアが報道した。23人が病院に搬送され約1580世帯が断水、470世帯が停電、駐車場にあった車72台が全焼、70台が煙による損傷を受けるなどの多大な被害が発生した。 消火に当たった仁川消防本部によると、同車は充電中でも走行中でもなく駐車中だったが突然発火し、マンション駐車場のスプリンクラーが作動しなかったことで消火活動が難航した。消火までに8時間近くかかったことから被害が拡大したという。火災の原因は調査中とした(同年8月6日時点)。 韓国の新築マンションは地上で見ると複数の棟があるが、地下駐車場は全て1つにつながっているため、煙が全世帯に広がった。高熱で地下の設備や配管が溶けたことから、マンション建物の安全診断も必要という。
企業はAI(人工知能)とどう関わり、そのリスクをどう理解すべきか。スポーツ用品メーカーのシューズ開発担当者の仮想ストーリーから、データの権利の尊重と堅牢(けんろう)性にかかわるリスクについて学ぶ。 本連載は、架空のストーリーを通じて、企業がAI(人工知能)リスクのわなにはまる様子を紹介し、それぞれのケースでリスクを軽減する策を考察する。第3回は業務への利用を許可された生成AIの助けを借りて社内プレゼン資料を作った結果、虎の子の新技術をすべて失った企業のストーリーです。なお、あくまで架空のストーリーであり、登場する企業・団体や人物は実在しません。(編集部) スポーツ用品メーカーで開発担当のマリナ。マリナが手がけて2年前に発売したランニングシューズはユーザーから大好評で会社を代表する売れ筋商品になっています。今はこの商品を改良した新製品のために、フランスにある大学と画期的な新技術を使ったアウト
トヨタ自動車が国内において新規の型式認証申請(以下、認証申請)を止めていることが分かった。認証試験で発覚した不正の影響を受けたもの。再発防止に向けて同社は認証業務における牽制(けんせい)機能の強化を打ち出したため、認証業務を含む新車開発のリードタイムは長くなる。従って、今後の新車の市場投入計画にさらに遅れが生じる可能性がある(図1)。 国土交通省から是正命令を受けた同社は2024年8月9日、同省に対して再発防止策を報告した。同年7月31日から1カ月以内と定められていた期限に対し、10日あまりのスピード提出となった。 再発防止策のポイントは、牽制機能の強化だ(図2)。「最高技術責任者(CTO)」を開発に関する総合判断責任者に、「グローバル最高品質責任者(G-CQO)」を認証に関する総合判断責任者に設定。CTOの統括責任下に「車両カンパニープレジデント」と「チーフエンジニア」を置く一方、G-C
クルマのヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)が物理スイッチに回帰しそうだ。これまでは高級車や電気自動車(EV)を中心に、HMIの操作系をタッチ式に集約する車種が増えていた。最近では先進性と使いやすさの両立を目指し、タッチ式から物理スイッチに戻す動きが広がっている。 タッチ式HMIを採用する代表的なメーカーは、米Tesla(テスラ)だろう。同社のEV「モデル3」は、前席中央に配置するディスプレーにHMIの機能を集約する(図1)。カーナビやエアコンの操作、車両制御などを1つの画面で操作する。ドイツMercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)やドイツPorsche(ポルシェ)のEVも同様に物理スイッチを極力廃止し、ディスプレー内に機能を集約する。 日系メーカーでも日産自動車のEV「アリア」や「サクラ」は、エアコン操作パネルをセンターディスプレーとは分けて個別に設置するが、タッチ式と
生成AI(人工知能)を含む最新のAI研究動向を知るため、世界中の研究者やエンジニアが参照しているのが、論文速報サイト「arXiv(アーカイブ)」である。そんなarXivの投稿論文から、2024年7月(1日~31日)にSNSのX(旧Twitter)で多く言及されたAI分野の注目論文を紹介する。 調査には米Meltwater(メルトウォーター)のSNS分析ツールを利用した。対象はXの全世界のオリジナル投稿、コメント、再投稿、引用投稿である。調査は、日経BPが2024年1月に新設したAI・データラボの活動の一環として実施した。 今回注目したのが、米Google(グーグル)と米シカゴ大学の研究チームが共同で発表した論文「Computational Life: How Well-formed, Self-replicating Programs Emerge from Simple Interact
米CrowdStrike(クラウドストライク)は、同社製品「CrowdStrike Falcon」(以下、Falcon)が原因で2024年7月19日(米国時間)に発生したシステム障害に関する「根本原因分析」(RCA:Root Cause Analysis)の結果を公表。システム障害に至った詳細や今後の対策を明らかにした。 既にほぼ全てのシステムが復旧 根本原因分析とは、問題の根本的な原因を特定し、対策を講じて再発を防止するためのプロセスを指す。根本原因分析の結果は、クラウドストライクのWebサイトで米国時間2024年8月6日に公開された。 米Microsoft(マイクロソフト)は、今回のシステム障害で約850万台のコンピューターが影響を受けたと推定。クラウドストライクによると、米国時間2024年7月25日時点で約97%、同7月29日時点で約99%が復旧したという。 システム障害の原因となっ
排ガス規制の厳格化や電動化が進む中で岐路に立たされるエンジン。日産自動車はエンジンの将来像をどう描いているのか。同社のエンジン戦略をまとめる。 日産のエンジンは、内燃機関(ICE)車用とハイブリッドシステム「e-POWER」車用の2つに大きく分けられる。今後、同社はエンジンの種類を減らしていく方針だ。2020年度にはe-POWER車用を4種類、ICE車用を45種類展開していたが、2030年には、e-POWER車用を3種類、ICE車用を16種類に絞り込む。 最後の「新規」ICE車用エンジンはV6ツインターボ ICE車用エンジンについては、「真っ白なキャンバスに一から図面を描き起こすことはもうやらない」と同社専務執行役員でパワートレイン&EV技術開発本部を担当する平井俊弘氏は話す。実は、一から図面を描き起こしたエンジンとしては、北米で展開する高級車ブランド「インフィニティ」の大型多目的スポーツ
電池の原材料調達から生産プロセス、再利用までライフサイクル全体にわたってデータ開示を義務付ける「欧州電池規則」が2023年8月に発効した。義務化は2025年から順次適用される予定であり、準備に残された時間は長くない。早くも中国の電池大手は“余裕”をアピールし始めた。日本はどう立ち向かうのか。 「これまでに蓄積してきた多量のデータの中から、いくつかの必要なデータを開示するだけだ」―。車載電池で世界首位の中国・寧徳時代新能源科技(CATL)の技術者は、欧州電池規則への対応に強気な姿勢を見せる(図1)。同社はすでに原材料からリサイクルまで1兆件を超えるデータを蓄積しており、20年間追跡可能なビッグデータとして保管していると主張する。
NTTデータはコーディングやテストだけでなく、プロジェクトのマネジメントや運用工程にも、生成AI(人工知能)を活用する。生成AIは使い方によっては、あたかも地球の裏側でオフショア開発をしているかのような24時間稼働を実現する手段になり得る。 一例が、コードコミットを行うと自動でテストが回るCI(継続的インテグレーション)/CD(継続的デリバリー)パイプラインへの生成AIの適用だ。夜間に自動でテストを行い、その後、生成AIを活用してテストの結果から自動でバグチケットを起票する。原因の分析やコメントを定性的に記載するといった部分で生成AIの活用が見込める。現在、PoC(概念検証)を計画中だ。 NTTデータグループ技術革新統括本部Apps&Data技術部Apps&Data担当の龍真子課長は「エラーログからこのコードがおかしいという指摘や、修正案を生成AIに出してもらうことができるのではないか」と
人手不足による企業経営への影響が、一段と深刻度を増している。帝国データバンクによると、2024年上半期(1~6月)の「人手不足倒産数」は過去最多のペースという。今のところ情報サービス業の人手不足倒産は少ないが、楽観視できる状況ではない。倒産数が徐々に増えつつあるのと、人手不足への対処法によりIT業界の企業が今後「2極化」していく可能性があるためだ。IT企業の人手不足倒産が増加すれば、ユーザー企業のDX(デジタル変革)需要に応えきれず産業界全体に影響を及ぼすことも懸念される。 帝国データバンクが2024年7月に発表したリポートによると、2024年上半期の人手不足による企業の倒産数は業界全体で182件。特に顕著なのは建設業(53件)と物流業(27件)だ。 同社の分類における「ソフトウエア業」の、2024年上半期の人手不足倒産数は3件にとどまる。一方、人手不足以外の理由を含むソフトウエア業の倒産
「Reality Composer」は、米Apple(アップル)が提供するiPhone及びiPadのアプリ。AR(拡張現実)と3Dを利用したコンテンツの作成、準備、変換、プレビューなどの機能を備える。「App Store」から無料でダウンロードでき、サブスクリプションなども不要だ。 Reality Composerが備える機能のうち、本記事では現実の物体をスキャンして3Dモデルを作成する「Object Capture」の使い方を紹介する。iPhoneなどの手持ちの端末でスキャンできるので、とても手軽だ。特別な装置を必要としない。ぜひ試してみてほしい。 Object Captureには「LiDAR」スキャナー必須 Object Captureは、Reality Composerが2023年10月にバージョン1.6へアップデートされた際に追加された機能である。Reality Composerは
2024年上半期、スマートフォンの端末価格は円安による値上がり傾向が続いていた。8月に入って円高に転じる状況が見られたが、まだスマホの価格に反映されていない。ハイエンドのスマホは10万円以上で、20万円を超えることも珍しくはない。売れ筋のミッドレンジは、メーカーとしては5万円前後で売りたいが、いかんせん6、7万円台になってしまうのが実情だろう。 とはいえ、ミッドレンジスマホの価格帯で、メーカーが頑張ったと思える仕様や機能の機種が結構多い。その中から、筆者が特にコストパフォーマンスを評価する5モデルをランキング形式で紹介する。
清水建設が仙台市内で20年以上前に施工したマンションで、構造スリットの不具合が明らかになった。構造スリットとは、柱と壁、壁と床などを構造的に分離して地震時の損傷を防ぐために設ける「隙間」のことだ。2024年6月に同社が調査した結果、少なくとも74カ所でスリットが存在せず、3カ所で施工不良が見つかった。 仙台市は、清水建設に対し原因の究明や安全性の確認を求めている。24年7月16日の定例会見で郡和子市長が明かした。同市建築指導課指導係によると、清水建設が市内で施工したマンションは28棟あり、当該物件以外では「同様の問題は無い」との報告を受けたという。 問題発覚のきっかけとなったのは、当該マンションの管理組合による自主的な調査だ。24年2月、管理組合がAMT一級建築士事務所(東京都八王子市、以下AMT)に調査を依頼。外壁の目地をはつるなどして調べたところ、竣工図通りにスリットが入っていないこと
YKK AP(東京・千代田)は、過去に製造販売していた特定防火設備(スチール採光窓付き玄関ドア)で、申請仕様と異なる試験体を用いて遮炎性能試験を受け、国土交通大臣認定を不正取得していたと、2024年7月23日に発表した。 07年に発覚した、特定防火設備の大臣認定不適合に対応する中で、今回の不正が行われていた。該当製品の大臣認定番号は「EA-0259」。1996年4月~2007年12月に製造販売されたものが対象だ。国土交通省は24年7月23日に、この製品の大臣認定を取り消したと発表した。 申請仕様と異なる箇所は、7項目に及んだ。例えば、ガラスを押さえる骨材の曲げ角度を脱落しにくくなるよう変更したり、試験体の扉幅と高さを変えたりしていた。 YKK APでは23年4月、社内監査で「EA-0259」の認定範囲の誤認が明らかになっていた。同社は07年、特定防火設備の「EA-9282」を大臣認定と異な
「下請け先」という言葉の響きは侮蔑的か 10年前のこと。筆者は当時既にビジネス書を20冊くらい発表していた。個人的には、筆者は社交的ではないと自認しているが、それだけの冊数を書いていると、必然的に著者仲間が増える。 あるとき、あるビジネス書の作家が怒っていた。聞いてみると、編集者から「ライター」と呼ばれたから、という。ライターとは聞き書きするだけのイメージがあったのだろう。ゴーストライターという言葉もある。「ライターではなく、オーサー(author=作家)なら許せるのだが」と言う。 実は、筆者は意外に感じた。というのもライターも立派な仕事だ。かつ、欧米でいうところのライターとは文字を書き論理的に説明できるプロフェッショナルな雰囲気すらある。むしろライターと胸を張って自認する人がいる。 とはいえ、そのように説明しても、その作家が持つイメージをすぐに払拭できるわけではない。 サプライヤーと言う
日本時間の2024年7月19日、世界各地で大規模なシステムトラブルが相次いだ。原因は米クラウドストライクのセキュリティー製品「Falcon」だった。Windowsのブルースクリーンエラーを引き起こすバグが設定ファイルに内在。同設定ファイルの配信を始めると、Windows端末が次々にダウンしていった。影響があった端末は世界で約850万台と見られ、史上最大規模の障害を招いた。 2024年7月19日午後1時ごろ(日本時間)、米マイクロソフトのOS「Windows」を搭載したコンピューターでブルースクリーンエラーが相次ぎ、世界的なシステムトラブルが勃発した。世界中の交通インフラや金融サービス、病院、政府機関、報道機関などに影響を及ぼし、「史上最大規模」のシステム障害とされる。米保険会社パラメトリックスソリューションズの推定によると、マイクロソフトを除く米フォーチュン500社の金銭的な損失は54億ド
「ランサムウエア(身代金要求型ウイルス)に適切な初動対応をするには、平時の備えが重要だ」――。専門家らは異口同音にこう強調する。 ランサムウエアを用いた攻撃(ランサムウエア攻撃)は突然やってくる。一方では重要なデータが暗号化されて業務が止まり、他方では身代金を要求する「ランサムノート」への判断を迫られる。このような状況下で、適切な判断を下し続けるのは至難の業だ。 経営者視点でのセキュリティーインシデント対応に詳しいPwCコンサルティングの上杉謙二ディレクターは「緊急時の対処を平時に決めていなければ、思いつきで行動することになる」と警告する。思いつきの初動対応ばかりでは被害を食い止められない。 そこで日経クロステックは、ランサムウエア攻撃で適切な初動対応を取るために企業が平時から備えておくべき6項目をまとめた。PwCコンサルティングの上杉氏や大阪大学の猪俣敦夫サイバーメディアセンター教授/C
「価格を10倍にしちゃえば、客が9割減ってもペイできるってことでしょ。彼らの戦略は非常に明快ですよ」――。 あるIT企業の幹部は皮肉交じりにこう語った。「彼ら」とは、この半年強でVMware製品のライセンス見直しを強引に進めてきた米Broadcom(ブロードコム)のことである。 値上げで価格が最大20倍になる例も ブロードコムは2023年11月に米VMware(ヴイエムウェア)を買収後、VMware製品のライセンス体系をグローバルで一斉に見直した。従来の買い切りライセンスを廃止してサブスクリプションモデルに移行したほか、これまで単品購入できた各種コンポーネントをバンドル販売に限定するなどした。 これが多くのユーザーにとって大幅な値上げにつながることから、不満が噴出。日経クロステックの取材では価格が最大20倍に跳ね上がる例もあった。 日経クロステックは一連のVMware問題について、緊急で読
大企業のCIO(最高情報責任者)たちが「どうしたら中途採用した技術者にずっと働いてもらえるか」を議論している場に居合わせたことがある。私は少しあきれて「中途採用した人を終身雇用しようとしてどうするのか」と言ってしまった。CIOたちも苦笑していたから、私の真意は理解してもらえたと思う。 5年ほど前の話だが、既に多くの企業がDX(デジタル変革)に乗り出しており、それを支える技術者の採用に血道を上げていた。そんなわけなので、技術者をせっかく採用できたのだから末永く働いてもらいたい気持ちは分かる。だが、それはそもそも不可能なことだ。 技術者の争奪戦は今も続いており、採用は厳しくなる一方だ。多くの企業がジョブ型雇用を導入したり、高い給与水準を提示したりと、優秀な技術者に関心を持ってもらおうと懸命だ。もちろん、それで採用につながり、給与に見合う働きをしてもらえれば結構なことだ。しかし、優秀な技術者を囲
OneDriveに対する不満が、ネット上で噴出している。否定派が最も怒っているのは、OneDriveの利用を強要されることだ。Windows 11搭載パソコンは、OSをセットアップすると自動的にOneDriveが有効化され、デスクトップ画面や「ドキュメント」「ピクチャ」のフォルダー内に別のパソコンのファイルが表示されてしまう(図1)。購入したばかりのパソコンなのに起動直後からファイルが表示されるのだから、戸惑う人がいるのも当然だろう。 図1 Windows 11搭載のパソコンを購入し、利用開始のセットアップでMicrosoft(MS)アカウントを登録すると、自動的にOneDriveが有効化されて同期が始まる。ユーザーにOneDriveを使わないという選択肢を与えない仕様だ。同期によって、別のパソコンのファイルがデスクトップ画面や「ドキュメント」「ピクチャ」内に表示されることがある OneD
米GitHub(ギットハブ)の生成AIサービス「GitHub Copilot」は、AIがコーディングを支援するサービスだ。AIがコードを提案するので、コードを書くスピードや品質の向上などに効果を発揮する。NTTデータはGitHub Copilotを積極活用しており、NTTデータグループ全体の国内利用で約2000ユーザーが70以上のプロジェクトで利用しているという。近い将来、ユーザー数を5000に増やすことを目指す。 単に活用ユーザー数を増やそうとしているわけではない。GitHub Copilotでより良いコードを生成するためのノウハウを社内イントラネットで公開したり、パワーポイント形式で全社に配布したりして、効果的な活用法の拡大にも力を入れている。 その1つが、より開発者の意図に合ったコードを生成するためのノウハウの蓄積、共有だ。例えば、生成したいコードに関連するファイルを複数開いておく、
JR東海は2024年8月5日、同年7月22日に生じた保守用車衝突脱線事故の原因について、保守用車のブレーキの点検整備方法に問題があり、ブレーキ力低下に気づかずに運用していたためと明らかにした。そのため「東海道新幹線では最大となる20パーミル(2%)の下り急勾配(こうばい)区間において十分に減速できなかった」(JR東海)。 この事故では軌道モーターカー3両と砕石運搬散布車(線路に砕石を供給する貨車)6両からなる保守列車が、下り勾配区間の途中で待機していたマルチプルタイタンパー(砕石を隙間なく突き固める車両)1両に衝突した。衝突の結果、保守列車先頭の軌道モーターカーの1軸、マルチプルタイタンパーの3軸が脱線した(図1)。この復旧作業のため、東海道新幹線は終日運休した。
2024年7月1日、多くのサーバーに搭載されているリモート接続用ソフトウエア「OpenSSH」で「重大」な脆弱性が報告された。セキュリティー企業の米クオリスが発見して報告し、OpenSSHの開発チームも事実を公表するとともに、脆弱性を修正したバージョンを公開した。 この脆弱性が悪用されると、遠隔から管理者権限を使って任意の操作やコードを実行される恐れがある。このためOpenSSHの開発チームは重大さを5段階で最上位の「Critical(深刻な)」と評価した。クオリスもこの脆弱性を悪用した攻撃が成功することを実証したとしている。 潜在的な影響範囲は広い。専門家らがインターネット上の公開サーバーを分析した結果では、脆弱性を含むOpenSSHを搭載した可能性があるサーバーは、全世界で700万台程度が稼働している。マクニカの分析によれば日本では22万6000台が該当する可能性があるという。 ユーザ
2nm世代プロセスでの受託生産を狙うRapidus(ラピダス、東京・千代田)が整備中のEDA(Electronic Design Automation)システム「Raads(Rapidus AI-Assisted Design Solutions)」について、同社の鶴崎宏亀氏(シリコン技術本部 設計・PDK技術部 ディレクター)が講演した。大手EDAベンダーのツールを中核にする点は台湾TSMC(台湾積体電路製造)などの競合と同じだが、ラピダス独自開発のAI(人工知能)ソフトウエアを追加して差異化を狙う。AIソフトウエアの活用によって、設計の最適化と設計期間短縮を可能にするという。2025年12月末にはユーザーがRaadsとスタンダードセルを使えるようになり、2nm世代のチップを設計できるようにする計画である。 鶴崎氏は、2024年8月1日に東京で行われたイベント「RISC-V Day To
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