サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
ノーベル賞
tamurah.iza.ne.jp
【「決める政治」の行方 安倍政権1年(上)】見え隠れするアベノミクスの限界、望みは3本目の矢を支える中小企業群だ 産経新聞 2013.12.26 「われわれは中国の下請けにはならない」「日本がアジアの中心にあるという思想を取り戻せ」-。年の瀬の19日の朝、首相官邸や国会議事堂にほど近い古びたビルの一室に航空・宇宙関連の中小企業者十数人が身を寄せ合い、議論をぶつけあった。「アベノミクス」第3の矢、成長戦略を航空機産業再興の場としてとらえ、超音速機開発を国家プロジェクトとして実現させようと意気込む。 決して夢物語ではない。三菱航空機による70~90席クラスの次世代民間旅客機「MRJ」が国際商戦で着々と実績を挙げている。その高度技術を支えるのは中小企業群だ。 すでに青森から沖縄までの各地で中小企業が航空機関連の連合体17団体を設立ずみだ。新潟市では中小企業連合「JASPA」が来年1月にジェットエ
景気の鍵「内需」担う中小企業の支援強化を 輸出大手の国内投資増は期待できず 2013.12.20 夕刊フジ 連載:「お金」は知っている 昨年12月26日、「大胆な金融緩和」を掲げた第2次安倍晋三内閣が発足し、「アベノミクス」を打ち出した。その「第1の矢」、継続的に大量におカネを増発する日銀の量的緩和政策でマーケットは大きく反応し、円安・株高基調が続いてきた。これで雇用が増え、賃金も上がるならめでたし、めでたしだが、円安・株高の恩恵はこれまでのところ大企業にとどまっている。 グラフは財務省の法人企業統計から抜き出した製造業の営業利益と設備投資の各前年比増減率の最近の動向である。資本金1億円以上を「大手」、資本金1億円未満1000万円以上を「中小」とみなして、比較した。一目瞭然、昨年10~12月期から大手企業は収益を大幅に伸ばしているのに対し、中小企業のほうは今年1~3月期に少し持ち直した後は
問 安倍首相にはそもそも延期するかしないかの選択肢しかなかったはずです。 答 延期または税率圧縮の選択は安倍さんの判断で可能でしたし、安倍さんは最後まで税率圧縮をオプションとして保留していました。 問 予定どおりの税率アップと引き換えに一時的な減税措置と財政出動、さらに恒久的な直接税の減税に切り込もうというのは、現況下でとれる方策としてはベストなものではないでしょうか。 答 そもそも、財政再建が目的のはずの増税をしておいて、財政出動、ばらまきというのはスジが通りません。だから、経済対策の規模は抑えられ、中身も官僚の作文の寄せ集めに終わります。 問 安倍政権の課題は、消費増税を延期するかしないかではなく、消費増税の国民への悪影響をいかに低くするかです。 答 8.1兆円も家計から奪っておいて、効果の不確かな法人税減税など5兆円対策で需要を喚起するという考え方は、経済の論理では説明がつきません。
【お金は知っている】「バブル」と騒ぐメディアと学者が日本経済を潰す 無知か、政治的意図か? 7.5 最近の株式相場の乱高下をみて、「アベノミクスはバブルを引き起こすだけだ」といった批判派が勢いづいている。そんな論者は現代経済というものがフローとストックに分かれており、ストック部門がフロー部門を支える現実を無視する。フローとは実体経済活動で、国内総生産(GDP)で代表される。ストックとは株式など金融資産のことだ。ストックが栄えない国の経済は必ず沈む。 日本の場合、1990年代初めのバブル崩壊以来、ストックがないがしろにされてきた。民間主導経済は本来、金融資産市場を活発化させ、そこからあふれ出るマネーがモノやサービス、労働の市場に流れ込んで景気を拡大させるという循環で成り立つのだが、何かといえばバブルだ、インフレだと騒ぐ日銀とそれに追随するメディアがこの循環メカニズムを壊した。 1998~20
【国際政治経済学入門】アベノミクス相場の可能性と限界 5.22, 2013 「アベノミクス相場」とは円安・株高の同時進行が最大の特徴である。衆院解散総選挙の機運が高まった昨年11月中旬から、1ドル=80円前後だった円相場は下降し、8600円台だった日経平均株価は円安とともに上昇を続けて現在に至る。 円安・株高の原動力になっているのは、日銀による円資金の供給(マネタリーベース=MB)の増加である。MBは現金通貨の流通残高と金融機関が日銀など中央銀行に持つ当座預金残高の合計額である。平たく言えば中央銀行による「printing money」(おカネの発行)規模である。 ■1ドル=120円、株1万8000円 グラフは、毎月のMBと円の対ドル相場の前年同期比の増減率を日経平均株価と比較している。円相場の増減率がプラスになっているときは円安の割合を、マイナスのときは円高の割合を示している。日銀は白川
アベノミクスへの支持の高まりで、御用学者の世界はすっかり忙しくなった デフレ下の増税論者、伊藤元重教授が突如、「デフレの恐怖」(13年2月2日付け産経新聞朝刊への寄稿)を言い出した。 かと思えば、ありもしないリスクを喧伝して、官僚に取り入る者もいる。 以下は日経経済教室1月16日付け以降から 安倍政権経済政策の課題(1)東京大学教授植田和男氏(経済教室) 日本売りリスク 目配りを 財政懸念回避、細心に 安倍政権経済政策の課題(2)慶応義塾大学教授櫻川昌哉氏(経済教室) 中銀の独立性、歴史に学べ 放漫財政、物価高騰も 安倍政権経済政策の課題(3)スタンフォード大学教授星岳雄氏(経済教室)成長回復へ構造改革急げ 日銀の独立性は重要 安倍政権経済政策の課題(4)同志社大学林敏彦氏、甲南大学稲田義久氏○大胆な金融緩和が資産バブル招く可能性も 【お金は知っている】アベノミクスを批判する「経済のプ
【日曜経済講座】編集委員・田村秀男 「反アベノミクス」を斬る 2013.2.3 11:00 根拠なきメディアの警告 安倍晋三首相の経済政策構想「アベノミクス」は株式市場ばかりでなく多くの世論の支持を得ているが、平家の故事よろしく「水鳥の羽音」に備えろと言わんばかりの報道が目立つ。代表例が日経新聞の経済論壇、「経済教室」欄で1月16日付から4回にわたって連載された「安倍政権経済政策の課題」である。見出しは、「日本売りリスク」「物価高騰も」「日銀の独立性は重要」「資産バブル招く」。3年前から安倍首相とほぼ同様の政策を提起してきた者として、特にこの4点を看過するわけにいかない。 国債売りは自ら墓穴 「日本売り」とは、2%のインフレ目標を設定して国債発行を増やせば、国債利回りが急騰、つまり国債が暴落する、という意味である。白川方明日銀総裁は昨年11月20日の記者会見で、「3%」のインフレ目標だと、
【国際政治経済学入門】主要メディアの無知を暴くアベノミクス 産経エクスプレス 1月30日 メディア各社が報じる安倍内閣の高世論支持率は、皮肉なことにメディア論調とは正反対である。NHK、朝日新聞、日経新聞など主要メディアは、「アベノミクス」に対して根拠なきネガティブ・キャンペーンを繰り返してきたのだ。 無定見さの代表例が、日経新聞の経済論壇、「経済教室」欄で1月16日付から4回、連載された「安倍政権経済政策の課題」である。執筆者はいずれも財務・日銀官僚寄りか御用学者予備軍とおぼしき大学教授ばかりである。見出しは「日本売りリスク」「物価高騰も」「日銀の独立性は重要」「資産バブル招く」という具合である。いかにも経済のプロと思わせる学者に書かせているのは、意図的な情報操作と言っていい。 ■日本売りと物価高騰 「日本売り」とは、2%のインフレ目標を設定して国債発行を増やせば、国債利回りが急騰、つま
安倍勝利となると、手のひらを返したように脱デフレ・円高是正、金融量的緩和を言い出す日経など全国紙主流派。だが、だまされてはいけない。 【国際政治経済学入門】「脱デフレ・超円高是正」阻むメディア 12/19 09:32 政権奪取を果たした自民党の安倍晋三総裁は、さっそく国際的な金融論の大家、浜田宏一・米エール大学教授(76)を内閣官房参与に迎え入れる方針を固めた。浜田教授は良心と情熱、行動力にあふれた経済学者である。財務省や日銀の意のままに学を曲げて恥じることのない国内の有名大学の経済学教授たちとは大違いである。その浜田教授が指南役となって安倍内閣の「脱デフレ・超円高是正」政策を支えるわけだが、情けないことに、安倍・浜田主導の日本再生策の妨げになりそうなのが、財務・日銀官僚と並んで主要メディアの論説陣である。 ■日銀政策を擁護 筆者は今年5月に浜田教授と知り合った。教授はそれまで筆者と面識
「中国景気回復」は真っ赤な嘘 モノが動かずなぜ生産や消費が増えるのか 2012.11.16 夕刊フジ 連載:「お金」は知っている データ:CEIC 中国政府は11月に入って「経済の持ち直し」を示す指標を次から次へと発表した。もとより、中国の経済データは国内総生産(GDP)を始め、多くが信憑性に欠けることで定評がある。14日に終わった第18回共産党全国大会に合わせて、大本営発表を通じて「景気好転」を演出していると疑うべきだろう。 そこで、筆者が作成したのがグラフである。データは鉄道貨物輸送量と銀行による中長期融資を採用した。というのは、10月25日の本欄で紹介したように、李克強副首相が以前、米国の駐中国大使に向かって、中国のGDP統計は人為(MAN-MADE)で信頼できないと明言し、電力消費、鉄道貨物輸送量と銀行融資の3つの指標をもとに実際の経済成長速度を測定する、と打ち明けた。「重量をもと
【お金は知っている】韓国は日本を見下せるのか!脆弱な金融市場 8.24 韓国の李明博大統領は韓国が不法占拠している島根県の竹島に足を踏み入れたあと、日本の国際社会での影響力は「昔と同じではない」と述べたという。日本の国力の弱体化を見透かした発言である。韓国のリーダーの増長ぶりを見過ごすと、韓国側はますます日本を見下すようになり、日韓関係は悪化の一途をたどるだろう。日本側としては冷徹に経済力の現実を韓国側に知らしめる必要がある。 本欄では8月3日付で、韓国の対日本円ウォン安容認政策が韓国企業の国際競争力と株価を引き上げる一方、日本企業の競争力弱体化と日本株安を招いてきたことを明らかにした。一方が浮上すれば、他方が沈む「ゼロ・サム」ゲームなのだが、韓国側にとっては危険と隣り合わせである。韓国の金融市場は外国からの短期資本流入に大きく依存しており、いったん資本流出が始まり歯止めがかからなくなると
「社会保障と税の一体改革」と銘打ちながら、内実は消費増税率を10%まで引き上げることを民自公の3党が確約した法案が6月21日までに採決される情勢となった。 3党足並みそろえみんなで渡れば怖くない、増税さえ確定させれば、あとは各党が有権者の歓心を買うために社会保障財源のばらまき案を競う。そんな構図がみえみえだ。 いったい、この政治家たちは日本という国家と国民を代表しているのだろうか。 最大の問題は、かれらの国家観の不在とそれを裏打ちする見識のなさ、である。民主党ばかりではない。自民も公明両党も同類と嘆じざるを得ない。ヒステリックに増税を先行させよ、と騒ぎ立ててきた大手メディア多数派にも同じ問いを発したい。 選挙公約を破棄したのだから、野田政権の正当性はないのも同然、後に総選挙で徹底的に排除されるだろう。自民、公明も民主党に成り代わり政権の座に復帰する正当性が同時に問われよう。が、筆者にとって
日銀が27日の金融政策決定会合で長期国債など日銀独自の言い回しの「基金」枠を5兆円増やし、70兆円とする追加金融緩和を決めたと、日経などは報じている。 そこで、ある読者が拙論に問いかける。 へえー、日銀がとうとう70兆円もお金を刷って供給する? 田村記者が2010年1月に政府と日銀に提案してきた100兆円の日銀資金創出とまで行かなくても、日銀は70兆円も刷るって言っている。「田村構想」とどう違うのか? 田村 答:全く違います。日銀は実際には緩和とみせかけて、お金を吸い上げて引き締めている。その偽装手段が「基金」である。市場はこの詐欺を見抜いているから、27日の「緩和」発表後、円買い、株売りに転じた。だまされているのは、日経などメディアだけだ。 日銀は「基金」を10年10月に「創設」したのだが、これはあくまでも日銀のバランスシート上で特別の項目を建てただけのことで、本質的には数字上のカモフラ
3月11日付けの日本経済新聞朝刊1面をみて、驚いた。 経済専門新聞が、経済についてあまりにも幼稚な誤解に基づく記事を東日本大震災から1年の日の1面に載せるのは、日本経済の低迷を象徴している。 かの記事ポイントは以下の通り。 1.東日本大震災後、「お金の性格は違うが、合わせて約65兆円をつぎ込み、日本経済は底割れを免れた」と政府、日銀の政策を評価している。 2.内訳は、4次におよぶ11年度補正予算20.6兆円、日銀による国債買い入れなど30兆円の「基金」枠拡大、外国為替市場での円売り介入14.3兆円で、合計約65兆円 ええっ、底割れを免れた? 何度も底に大穴を開けたのに えー、65兆円もつぎ込んだ? いくら経済に疎くても、眉に唾し、数字が過大と思う読者も多いだろう。少し詳しい読者なら、補正予算はまだしも、日銀の国債買い入れや外為介入と財政支出と経済効果の点で同一視してよいのか、と疑問を持たれ
債権者を債務者にすり替える詐術にダマされてはいけない 【お金は知っている】2011.09.26 野田佳彦首相は、「次世代にツケを残してはいけない」とお念仏のように唱え、東日本大震災からの復興財源として増税に突っ走る。この殺し文句に与野党議員もメディアもコロリと参っている。 待てよ、このセリフ、どこかで聞いたような。 実は、財務省のプロパガンダの常套句である。巨額の公債が次世代の負担となってのしかかると野田首相ら政治家をやすやすと洗脳し、「復興増税」路線を採用させた。 財務省はホームページで、政府の公債残高が平成23年度末に約668兆円に上り、公債の元利払いから逆算して一世帯当たり6661万円ものローンを家計が抱えているのも同然と脅す。この衝撃的な数値を、メディアは経済専門の日経新聞をはじめ、何の疑問も抱かずに報じてきた。評論家や大学教授の多くも受け売りしているのが現状だ。 ちょっと考えてみ
日銀の不作為が超円高をもたらしている。気づかない野田政権とメディアをよいことに、日銀は思い切った手を打ったと自賛する。 以下は夕刊フジ【お金は知っている】から 「超円高」の真相!実質金利は「米国+4%前後」 2011.09.15 日銀官僚と言えば、超優秀に違いないと、新聞記者たちの多くは内心で思っている。日銀も心得たもので、不勉強な記者をミスリードする。 その典型例が、「ゼロ金利政策」である。日銀は2010年10月に短期金利の誘導目標水準を「0~0・1%程度」とし、「実質的にゼロ金利政策を採用していることを明確化した」(日銀の発表文から)と宣言した。日経新聞はひんぱんに「日銀はゼロ金利政策を維持している」と書く。が、大誤報である。 まず第一に、日銀は金利を名目ゼロにするつもりはまったくない。というのは、当座預金は利息ゼロが常識なのだが、日銀は08年10月から、ご丁寧なことに金融機関の日銀当
日銀は9月7日の金融政策決定会合で、追加的な金融緩和の実施を見送ったのは、前回8月に実施した金融緩和が「思い切った」(白川方明総裁)円高対策を打ち出したからからだというが、これ以上だまされてはいけない。 【国際政治経済学入門】日銀「ゼロ金利」の欺瞞 超円高を放置 sankei express 9/14. 2011 から 日銀官僚といえば、政府系機関としては最高水準の給与と待遇を保証されている。高給の天下り先にも事欠かず、老後も安心だ。国家公務員上級試験をトップで合格しながら、「官僚の中の官僚」といわれる財務省を蹴ってまで、あえて日銀を選ぶ者もいるほどだ。それほどのエリートだから、超優秀に違いないと、新聞記者たちの多くはコンプレックスを抱く。日銀も心得たもので、平気でウソをつき、金融に疎い記者連中をミスリードする。 その典型例が、日銀の「ゼロ金利」政策である。 日銀が資金供給や引き上げを通じ
日曜経済講座】編集委員・田村秀男 9・11から10年 世界を変えたおカネ 2011.9.11 11:05 中国は膨張加速、増税日本沈む 9・11米中枢同時テロから丸10年、世界の力関係はどう変わったか。如実に物語るのが、通貨である。中国はこの間人民元札の増刷に励み、2008年9月のリーマン・ショックからいち早く立ち直り、10年には日本を抜き世界第2位の経済大国に浮上した。対照的に、日銀はお札を刷らずに円高・デフレを助長し続け、財務官僚主導の政府は円高・デフレを加速しかねない増税にのめり込む。日本は自滅の道を歩む速度を速めている。 元-ドル相場連動制 9・11は「カネ」と切っても切れない。当時の米ブッシュ政権は同時テロの数週間後に「愛国者法」を成立させ、ドル資金の流れを厳重監視し始めた。ウォール街で巨額の余剰資金を運用していたアラブ系などの投資家やヘッジファンドが身元を知られるのを嫌って、監
夕刊フジ9月8日 【お金は知っている】デフレ放置の真相 9.9 デフレとは何か。経済学上の定義では、物価の下落が将来にわたって続く状態を指すのだが、その程度の認識ではデフレが日本の国難という切迫さが生まれない。その典型例が、デフレ対策の鍵を握る日銀の白川方明総裁(61)である。お公家集団といわれる日銀の生え抜きエリートだけあって、まるで世俗に疎い。たとえば、2009年12月にテレビ東京の報道番組に登場したとき、司会者から「デフレを実感したことがあるか」と聞かれると、「奥さんと一緒に食事に行ったりすると、これだけの内容のものがこれだけの値段で食べられるのかと驚くこともある」と素っ頓狂な返事。何しろ首相の給与をはるかにしのぐ年収3400万円以上の超高給取りで「セレブ」族である。庶民には縁遠い高級レストランで、こんないいものが安いね、おいしいね、と奥さんと屈託もなく会話しているわけだ。 デフレを
よみがえるフィッシャーの呪い 田村秀男 2011.8.17 物価とおカネの量を関連づけた貨幣数量説の祖、アーヴィング・フィッシャー教授(1867~1947)は「兌換(だかん)されない紙幣は、それを用いた国家を常に呪ってきた」と喝破した。 1971年8月15日、ニクソン米大統領がドルと金(きん)の交換停止を宣言するや、世界の貨幣はことごとく不換紙幣と化した。以後、米連邦準備制度理事会(FRB)をはじめ主要国の中央銀行にとって、インフレの封じ込めが最大の懸案になった。フィッシャー教授の理論を継承したミルトン・フリードマン教授(1912~2006)は、金融政策が「海図なき航海」に乗り出したと論評し、インフレ抑制のために貨幣供給量を制限する政策を世界に広めた。インフレは抑え込まれた。92年以降、現在に至るまで米国の消費者物価の年間平均上昇率は高くても3%台におさまっている。 だが、08年9月に「
【国際政治経済学入門】おカネを刷らないと負ける 07/27 SANKEI EXPRESS 中央銀行はおカネを大量に刷ってはいけない、悪性インフレが起こり、国民は大変な苦難に見舞われる、というのが経済学上の定説だが、今やお蔵入りだ。21世紀の今日では刷った国が勝ち、刷らないと負ける。主要国のなかで唯一おカネを刷らない日本では、円高が進み、日本企業は台頭著しい中国、韓国などの企業と競争で苦戦している。それでも、上海やソウルに行けばショッピング、観光と楽しめるではないかと思う方々もいるだろうが、そんな気になれるのはほんの一部だけだ。国民の多くは円高デフレのために可処分所得が下がり続け、貧しくなるばかりなのだ。 ■進む円高、国際競争も劣勢 この6月時点では2007年6月に比べ、円はドルに対して34%、対ユーロ30%、対中国人民元23%、さらに対韓国ウォン44%と高くなった。道理で、韓国や中国の家電
IMF(国際通貨基金)のラガルド新専務理事はさっそく副専務理事の定員(3人)をひとり増やし、中国代表を選んだ。日本財務省は以前から副専務理事を送り込んでいるが、もちろんアジアの代表でもあった。中国代表の追加で中国は国際金融社会でいよいよ存在感を増すことになる。 気になるのは、日本は今回の専務理事選任劇でも何ら発言力、影響力を発揮しないまま、中国の影響力増大になすすべもなかったことだ。 IMFという国際金融マフィアの社会は実は米英とユーロ欧州の利害調整機関であり、カネも出せば口ももっと出す。米欧の利益になるように巧妙に世界をリードするのは、グローバル金融の世界では当たり前のことだ。だまって従うだけの存在はアングロサクソンとユーロ世界にとって貴重だが、感謝するまでもない。自宅のパーティーに日本代表を招いてちやほやすればよいだけだ。 それをよいことにしているのか、日本国財務省はIMFの対日増税勧
IMF勧告を金科玉条のごとく報じる日本のメディアは情けないですね。 IMFのご託宣は矛盾に満ちています。日本の実質経済成長はことしマイナスになると見通しているくせに、デフレを加速させる大幅な消費税増税を勧告しています。日本のリーダーはかつてアジア危機の際に、IMF勧告を退けて危機からいち早く立ち直ったマハティール・マレーシア首相の卓見に習うべきでしょう。 消費税増税については日本の財務官僚がIMF官僚に言わせている。IMFにとってみれば第スポンサー日本の財務省の意に沿うことは政治的に避けられません。他方で、経済分析部門はいんちきは言えない。そのギャップが珍奇な対日診断になるわけです。 数年前に、日本をIMF管理下に置けばよいという議論が市場原理主義者の間で持ち上がりましたが、「賢い」日本の財務官僚はそこでIMFに弱い日本の世論を察知して、IMF勧告をテコに増税させようと策謀を凝らしている
FRBは量的緩和政策第2弾(QE2)を6月末で打ち切ると発表したが、ゼロ金利政策を続ける方針で、日本との金利差はほとんどない。さらに日銀は震災直後に打ち出した緊急の資金供給を止め、資金を市場から引き上げている。政府は増税により復興財源とする緊縮財政路線に傾斜し、日銀は復興国債買い上げのための量的緩和政策に踏み切る気配がない。すると、日本のデフレは続く。つまり米国はドル安政策を継続するのに日本は円高容認政策で臨んでいる。おまけに日本は債権国なのだから、ドル売り・円買いはあっても、逆は起こりにくい。 【国際政治経済学入門】大震災で円高の謎を解く 田村秀男 2011.5.4 産経EXPRESSから 広大な地域が未曾有の大震災に見舞われた上に、政府は機能不全で原子力発電所の放射能漏れを止められない。そんな国の通貨の信認は失われ、暴落してもおかしくない。ところが、円高基調は止まらない。なぜか。 答
【日曜経済講座】編集委員・田村秀男 「日本大復興」の条件を考える 2011.3.27 08:12 100兆円の日銀資金創出決断を 中東騒乱に伴う原油高騰やくすぶる欧州の財政危機に加え、東日本大震災は世界経済の先行き不透明感を強めていると欧米の論者が言う。だが、日本にはまだまだ金融面でのゆとりがあり、財政・金融一体で大復興に踏み出せる。必要なのは迅速な政治決断だ。 ◆GDP比6%の危機 未曽有の大震災と大津波被害、さらに原発災害の追い打ちで被害規模は日を追うごとに拡大する。内閣府が23日に発表した震災被害額試算では道路や住宅などへの直接的な被害額が16兆~25兆円になる。民間企業設備の被害や壊れた東京電力福島第1原子力発電所がまき散らした放射能汚染による損害を加えると、優に30兆円を超えるだろう。国内総生産(GDP)比で6%に達する戦後以来の最大の危機、非常時である。 この際、復興のグランド
【国際政治経済学入門】ドルの洪水が世界に騒乱を引き起こす 11:22 グローバル化されたこの世では、グローバルに因果がめぐる。そう感じたのは、ほかでもない。混沌(こんとん)としたエジプト情勢である。ムバラク長期政権に対する民衆の不満が爆発したわけだが、その底流にはインフレ圧力の高まりがある。エジプトは不況続きで需要不足なのになぜ物価が騰貴するのか。 答えは、米連邦準備制度理事会(FRB)が発行する巨額のドル資金の一部が原油や穀物など商品市場に大量の投機資金として流入することにある。その結果、国際商品価格が高騰する。国際商品が値上がると、輸入コストが大幅に上昇し、国内の消費者物価を押し上げる。インフレが社会不安の火種になるのはエジプトばかりではない。中東・北アフリカも中国もそうだ。米国はドル札の大量発行で株価を引き上げることにより、消費者心理を好転させて景気底入れに成功しつつあるが、世界の基
「財政運営戦略」を動かす狂った羅針盤 08:48 【経済が告げる】編集委員・田村秀男 菅直人首相の「新成長戦略」は財務官僚主導により制作された増税正当化のための「計量経済モデル」で誘導されている。 8月29日の日曜日、内閣府計量分析室はそのインターネット・ホームページの「経済財政政策関係公表資料」コーナーの「計量経済モデル資料」にさりげなくある資料を追加した。「経済財政モデル(2010年度版)」と銘打ってあるが、「新成長戦略」と財政健全化シナリオ「財政運営戦略」を動かす羅針盤のようなものである。 計量モデルの内容はいかにも高度で専門的で、思わずすっ飛ばしたくなるが、「乗数効果」さえ理解すればどうってことはない。乗数効果とは財政支出や増減税の結果、どれだけ景気や財政収支上の効果があるかという予測値で、財政の指針になる。「官僚の中の官僚」である財務省が並み居る官庁エコノミストたちをけ散らし、計
【日曜経済講座】編集委員・田村秀男 増税は日本たたき売り誘う 2010年06月20日 産経新聞 東京朝刊 オピニオン面 ■市場にへつらう愚 ◆さらなるデフレの危険性 菅直人政権も民主党も、消費税増税に傾いている。野党の自民党は消費税率を10%にせよ、ともっと踏み込む。ギリシャ財政危機の惨状にあわてふためき、財政規律を確立して「市場の信認」を得るようにしようというわけである。だが、ちょっと待てよ。増税しても財政が健全化するとはかぎらない。金もうけのためなら、国を売ることも辞さない投機家がリードする「市場」が静かになるはずもない。 一国の経済というものはヒトのからだと同じような生き物である。一部分を下手にいじると全体の調子が狂い、ついには死病にかかる。 ところが、財務官僚は経済実体よりも単年度の予算のたし算、引き算にばかり神経をすり減らすのがならいである。増税すれば税収が増え、財政が健
【日曜経済講座】編集委員・田村秀男 脱デフレ待ったなし ■インフレ目標設定せよ 鳩山由紀夫政権の経済成長戦略では国際社会から「日本病」と称されているデフレからの脱出に向けた道筋がほとんど見えない。なすべきことはただ一点、歴史的な政策転換である。乾坤一擲(けんこんいってき)、政府・日銀合同で「インフレ目標」を設定するよう提案したい。 なぜ物価以上に俸給が下がり続けるデフレが悪なのか。贈与税5億7500万円もさっと払えるような金満家には、わからないだろう。金融資産あれば太り、なければやせ細る。零細な商店や飲食店は、東京・銀座の路地裏から龍馬が駆け抜けた土佐の山間に至るまで一斉に火が消えていく。若者が高齢者の面倒をみる年金制度は、崩壊寸前だ。日本はデフレの呪縛(じゅばく)から自らを解き放つしかない。 ≪適度な物価上昇で発展≫ インフレが悪というのは迷信である。適度な物価上昇がダイナミックな経済発
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『田村秀男さんのページ:イザ!』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く