I サイバー空間には制約がない 最近、「デジタル万引き」が話題になった。本屋の店先で雑誌のレストラン特集などを見て、気に入った店のデータ(店名、電話番号、地図)をカメラ付きケータイで撮影してしまう行為のことで、これだと雑誌が売れない、万引きされたのと同じだと、日本雑誌協会などが防止キャンペーンに乗り出す騒ぎになった。 これまでも雑誌や本を立ち読みする行為はあったし、店頭でおもしろい本を見つけても、そこでは買わず、タイトルや出版社を覚えておいて、自宅近くの本屋に注文することはふつうに行なわれていた。気に入ったレストランの店名や電話番号を空で覚えて、店を出たらすぐメモするなどということもあったはずだ。 自分の記憶に頼っているぶんには大目に見られ、行為の立証が難しいために摘発もされなかったそれらの行為とデジタル万引きが違うのは、それが情報の完璧なコピーであり、しかも仲間にも簡単に伝えられることで