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衆院選
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ホークスよ、安らかに眠れ 『スペース・カウボーイ』評 宮尾大輔 (映画史家) クリント・イーストウッドは、アカデミー作品賞を受賞することになった『許されざる者』を映画製作の師であるドン・シーゲルとセルジオ・レオーネに捧げた。それに対し、新作『スペースカウボーイ』は、イーストウッドのもう一人の師と言って もよかろう、古典的ハリウッド映画作家ハワード・ホークスへの鎮魂歌ではないだろ うか。いや、ラブレターと言うべきか。本編最後に感動的に流れるフランク・シナトラの歌声、「フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン」は、「別 の言葉で言えば、アイ・ラブ・ユー」なのだから。 前作『トゥルー・クライム』までのイーストウッド作品群のいたるところにホークスの影響が垣間見られたのは、多くの評論家が指摘する通 りである。が、本作には、 ホークスへのオマージュがこれまでにない明快な形で提示されている。 まず主題論。フラン
(於:パシフィコ横浜会議センター511号室、 2000年8月6日[日] 正午~午後2時) パネリスト ・ 巽孝之 ・柴野拓美 ・永瀬唯 ・難波弘之 ・野阿梓 ・ 小谷真理 ディスカッサント ・菊池誠
アメリカの都市にはそれぞれの魅力がある。東海岸には歴史ある古都ボストンがあり、商業の中心地ニューヨーク、かのリバティー・ベルがあるフィラデルフィア、首都機能を果 たす特別行政区ワシントンDC。そのまま南下すれば『風とともに去りぬ』の舞台となったアトランタ、そしてさらに南へ下るとそこはマイアミだ。同じく南部にはフランスの香り残るニューオーリンズがメキシコ湾をのぞみ、隣のテキサス州にはケネディが暗殺されたダラスがある。西海岸には霧の中から金門橋があらわれる坂の街サンフランシスコ、エンターテインメント都市ロサンジェルスがあり、ロスからルート66をひた走れば五大湖畔にある風の街シカゴへとたどり着く。 全米にちりばめられた個性的な都市のうち、西はロサンジェルス、東はワシントンDCについて、それぞれ興味深い都市論の待望の翻訳が刊行された。マイク・ディヴイス『要塞都市LA』(The City of Qu
この作品は、一見、ある青年の恋と冒険の物語のようにも読める。 実際、主人公のフランス軍大尉は、恋と冒険に身を焦がす。舞台は、タイトル通 り1809年のウィーン。いわゆるワグラムの戦いの前後、ナポレオンは全ヨーロッパの覇者となる途上にあり、一青年は、恋と冒険の果 てに、その皇帝ナポレオン暗殺をめぐる複雑怪奇な陰謀に、まきこまれるのだ。 恋と冒険、暗殺と陰謀。なんと甘美な響きにみちた言葉であることか。しかし、それは罠である。誰の? 作者自身による、周到に張り巡らされた、悪意ある罠なのだ。誰に対して? およそ全ての男性に対して。その夢であろうところの、まさしく、恋と冒険と陰謀といった、〈男のロマン〉が、ことごとく愚劣なものである、と遙かな高みから嘲笑する、作者の底知れぬ 悪意によって、作り上げられた、これは物語(=ロマン)の暗殺でもあるのだ。 しかも、この小説は、ある人にとっては、本当に一青年の
目次 0 目的 1 要旨 2 契機 3 他者 4 定義 5 歴史 6 円環 7 差異 8 不死 9 虚構 0’未来 0 目的 巽孝之編『日本SF論争史』(以下本書)は2000年5月15日に初版が発行され、同年11月15日に第21回日本SF大賞を受賞した。選考会においては、史料としては偏向し過ぎている、という意見に対し、「SFに関わっている人間のマニュフェストととれば、まさに現在のSFをめぐる状況を考えたときに大賞を与えるにふさわしい著作ではないか」(とり・みき選評より)という意見が主流を占めた故の受賞であった。 編者は「SF史がそっくりそのまま20世紀特有の思想史たりうることを示し」つつ、「編纂者自身の物語学を遠慮なく刷り込んだ」(巽孝之「受賞の言葉」より)と述べているのだから、選考は妥当な評価を行ったと見るべきであろうが、ジャンルの「外よりも内へ向けて」(荒俣宏選評よ
この手のやり口ならお任せあれ――テクハラは、たとえば次のようにやるものである。 最近ちょっと売り出し中の山形某というライターがいるのをご存知だろうか。噂話に付き合うのに一々御本を購入するほど間抜けじゃない、という方も、bk1の定期コラム(ちょっとよい子ぶった方が、本当は山形氏らしいよね)をご覧になれば充分である――そう、一番最初のページの左側、そこをずうっと、ずうっと、ずうっと下に下りてって、はい、そこです。 ちょっと不良ぶったマッチョな文章と、大層悪ぶった中身が素敵、とお考えの方もおられるだろう。実際、世評もそんなもんである。ところで、この山形氏が、実は山形嬢だということを御存知だろうか。えっ、あたしの山形様がっ、とかおっしゃる方、甘いあまい。私が知るかぎり、この種の水面 ぎりぎりライター――つまり世に名を出すべくあっぷあっぷしている辺りの、リュシアン・ド・リュバンプレ的ライターの相当数
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