サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
画力アップ
www.medical-tribune.co.jp
〔シカゴ〕オーフス大学(デンマーク・オーフス)のPing Qin博士らは,転居の多いデンマークの小児では11〜17歳で自殺を企図または完遂するリスクが増大しているようだとArchives of General Psychiatry(2009; 66: 628-632)に発表した。 自殺企図の半数が3回以上転居 今回の研究の背景情報によると,現代社会において住居を変えることは多く,小児の約半数は10歳になるまでに少なくとも1回は転居を経験する。転居が多いことは負担となるが,特に小児では親の都合による受動的なケースが多く,より負担が大きい。転居の理由を問わず,小児期のこの種の経験はトラウマを伴い,心理的に負担となるため,小児は身体的,精神的,社会的,情緒的に影響を受ける可能性がある。一部の小児では居住環境の変化に対処できず,苦痛やストレスを回避する最終手段として自殺行動に出ることがある。
〔ワシントン〕アルコール依存の成人では脳白質の神経線維の整合性(white matter integrity)が損なわれることが知られているが,飲酒歴のどの時点から白質に異常が発現するのかは不明であった。復員軍人局サンディエゴ保健医療システム薬物乱用・精神疾患部長でカリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD,ともにカリフォルニア州サンディエゴ)精神科のSusan F. Tapert准教授らは,青少年の過剰飲酒に関する研究から,若年期に低頻度でも多量のアルコールに曝露されると白質の整合性が損なわれることがわかったとAlcoholism: Clinical & Experimental Research(2009; 33: 1278-1285)に発表した。 脳全体の持続的成熟を反映 Tapert准教授は「脳は青少年期にも発達を続けているため,多量のアルコールといった神経毒の作用に非常に脆弱かも
〔米メリーランド州ロックビル〕米食品医薬品局(FDA)は,重度の強迫性障害(OCD)の症状を抑制するため脳深部に間欠的な電気信号を送る植え込み型装置であるReclaimシステムをhumanitarian device exemption(HDE,人道主義的理由により承認基準を限定的に免除する医療機器)として初めて承認したことを明らかにした。 脳内の異常神経シグナルを遮断 今回HDEとして承認された電池内蔵式の脳深部刺激装置Reclaimシステムは,電気刺激を発生する小型パルス発生器を用いて,脳内の異常神経シグナルを遮断する仕組みになっている。 Reclaimシステムは腹部あるいは鎖骨近位に植え込まれ,リード(絶縁ワイヤ)で脳内に設置された4個の電極と連結する。 同装置には脳の両側を刺激するために発生器を2台植え込む方法と,出力端子が付いたリードが2本出ている発生器を1台植え込む方法がある。
大阪市で開かれた第33回日本自殺予防学会(会長=近畿大学精神神経科・白川治教授)のシンポジウム「医療現場における自殺予防〜医療連携のあり方をめぐって〜」(座長=大阪大学大学院保健学専攻機能診断科学・石蔵文信教授,近畿大学精神神経科・人見佳枝講師)では,総合病院精神科と精神科診療所の連携の在り方や一般救急医から見た医療の現場などが報告された。 〜総合病院精神科と精神科診療所の連携〜 施設間で顔の見える関係構築が必要 座長の人見講師は,総合病院精神科と精神科診療所の連携について考察し,「連携にはふだんから"顔の見える関係"を構築することが必要であり,詳細な診療情報のやりとりが必須となる」と述べた。 病院や諸機関をつなぐ役割も必要 同科では,救命救急センターに自殺企図者が搬送されると,救急医による身体疾患の治療後,精神科医が面接を行う。精神科通院中の場合は,患者の同意を得て外来主治医に情報提供
出席者(発言順) 長岡義幸(ながおか・よしゆき)さん 出版業界紙記者を経てフリーランス記者。 著書に,この座談会のテーマである裁判記録「『わいせつコミック』裁判」(道出版社)のほか「出版時評」(ポット出版)など。 米沢嘉博(よねざわ・よしひろ)さん マンガ評論家。 マンガ同人誌の即売会コミックマーケット(http://www.comiket.co.jp/)準備会代表。 『藤子不二 雄論―Fと(A)の方程式―』で第26回日本児童文学会賞を受賞。 近著に「マンガで読む『涙』の構造」(NHK出版)など。 山口貴士(やまぐち・たかし)さん リンク総合法律事務所所属。「わいせつ」コミック裁判の主任弁護人, マンガ愛好家であり,コミックマーケット準備会スタッフ。 藤本由香里(ふじもと・ゆかり)さん 出版社勤務の傍らマンガ,女性,セクシュアリティをテ
金融危機でも自殺の増加見られず 1929年の大恐慌とは様変わり 〔米オハイオ州クリーブランド〕米国では,ウォール街の最近の金融危機は予想を大きく上回る深刻なものとなっている。一方で他の疑念も浮上しており,これまで存在するとされてきた金融市場の損失と自殺の関係についても同じことが言えそうだ。 資本家の投身はない 例えば,1929年に発した大恐慌でウォール街のすべての銀行が受けた大打撃は,破産した銀行家たちが高いビルから飛び降りるという払拭し難いイメージを彷彿とさせる。 しかし,由緒ある投資会社の破綻によってもたらされた昨今の金融危機では,ビジネスからの撤退,他企業との合併,純粋な投資銀行としてのステータスの変化,閉鎖などさまざまな影響が生じたが,銀行家や投資家の自殺の増加は見られない。 オンラインマガジンSlateによると, Wall Street Journalさえも,1929年の再来
施設・研究室訪問 富山県心の健康センター「こころのリスク相談」と富山大学病院「こころのリスク外来」 統合失調症の早期診断・早期治療を目指す 統合失調症は思春期から青年早期に好発し,約120人に1人が罹患する。薬物療法や心理社会療法が進歩する一方,依然として症状の持続や再燃に苦しみ,社会的機能やQOLの低下を余儀なくされる患者が少なくない。富山大学大学院神経精神医学の鈴木道雄教授らは統合失調症の早期診断・早期治療の推進を目的に富山県心の健康センターと共同で「こころのリスク相談」,さらに同大学病院神経精神科に「こころのリスク外来」を開設した。同教授にその活動の意義や現状などについて聞いた。 臨界期の精神病未治療期間を把握 統合失調症などが発症してから薬物療法が開始されるまでの時間的遅れは精神病未治療期間(DUP)と呼ばれ,DUPが長いほど臨床的転帰が不良と報告されている。そこで, 発
小児科受診で将来の暴力行為を予防可能 〔米オハイオ州クリーブランド〕バンダービルト大学(テネシー州ナッシュビル)Monroe Carell Jr.小児病院小児科のShari L. Barkin部長は,診察室での短時間のインターベンションにより,将来的な小児の暴力行為を予防することが可能だとPediatrics(2008; 122: e15-e25)に発表した。同部長によると,暴力行為との相関性がこれまでに示されている因子を変えるという概念に基づいた"先行ガイダンス(anticipatory guidance)"を提供することで将来の暴力行為が予防できるという。 このような因子には,暴力的なメディアゲームや暴力的内容が多く含まれるメディアとの接触機会を小児に与えすぎることなどがある。暴力に結び付く他の要因は,体罰や安全に保管されていない家庭の銃器などである。 親と小児科医との会話は実際に
しつけが厳しい家庭や低収入の家庭で多い いじめ対象となる子供の特徴が明らかに 〔シカゴ〕アラバマ大学(アラバマ州タスカルーサ)心理学のEdward D. Barker博士らは「小児が友達付き合いし始める年齢になると,一部の小児は同級生からいつもいじめられるようになる。幼児期に攻撃的であった小児や,親のしつけが厳しい家庭,収入が低い家庭の小児がいじめの対象になりやすいようである」とArchives of General Psychiatry(2008; 65: 1185-1192)に発表した。 カナダの1,970例を研究 この論文の背景情報によると,学童の10人に1人は同級生から身体的あるいは言葉のいじめや仲間内での攻撃を受けている。Barker博士らは「いくつかの研究によると,いじめは時とともに持続的になり,特定の小児が児童期,思春期を通してこの"負の経験"を受け続ける。この激しく持続的な
喘息と自殺企図を伴う強い自殺念慮に関連性 〔ニューヨーク〕ジョンズホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生学部(メリーランド州ボルティモア)のDiana E. Clarke助教授らによる大規模研究で,喘息は自殺企図を伴う強い自殺念慮と関連性があるが,自殺企図を伴わない自殺念慮とは関連しないことが示唆された。詳細はAnnals of Allergy, Asthma & Immunology(2008; 100: 439-446)に発表された。 他要因について調整後も関連 今回の研究で使用したデータは全国的な代表的サンプルで全米併存症調査(NCS-R)から得られた5,692例(18歳以上)のものであった。参加者の平均年齢は45歳,53.0%が女性であった。 企図を伴わない自殺念慮の生涯有病率は8.7%,企図を伴う自殺念慮の生涯有病率は4.2%であった。 喘息と企図を伴う自殺念慮との関
不安障害の患者向けベストを開発 〔米オハイオ州クリーブランド〕マサチューセッツ大学アマースト校(マサチューセッツ州アマースト)の学生起業家が,精神疾患患者にdeep pressure touch stimulation(強い圧力による触覚刺激)を与える"Portable Hug"ベストを開発した。 このベストは自閉症や注意欠陥多動性障害(ADHD),あるいはその他の不安障害の患者を落ち着かせ,患者が平穏に職場や学校に行くことができるようになるという。 同大学機械工学科博士課程のBrian Mullen氏は「発達障害や精神疾患の患者はしばしば学校や職場などの日常環境に圧倒されるが,利用できる解決策は限られている」と述べた。彼はアドバイザーであるSundar Krishnamurty准教授の協力を得て,このベストを開発・試験した。 Mullen氏は「この試作品の1つの利点は,通常のジャケ
家庭の資産が児童の学業成績に影響 小児の自尊心などとも関連 〔ワシントン〕 ニューヨーク大学社会学のW. Jean Yeung博士らは「今回実施した研究で,学齢期児童の学力テストにおける成績に家庭の資産が影響している可能性がある」との知見をChild Development(2008; 79: 303-324)に発表した。また,家庭の資産が教育,居住環境,小児の自尊心に関連していることも報告した。 居住環境,教育環境,私学への進学率と関連 これまでの研究で,児童の学業成績がその親の教育レベル,職業,収入によって規定した社会経済的地位と関係のあることが立証されている。それらの研究の多くは,家計所得により位置付けられた貧困が児童の学業成績に及ぼす影響に注目したものだが,家庭の資産(純資産)との関連に注目した研究はほとんどなかった。 今回の研究では,新しい全国的調査のデータなどを用いて,資産の
小児期の虐待経験と遺伝子変異 成人後のPTSDリスクに 〔米メリーランド州ベセズダ〕小児期にトラウマ経験がある成人は心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症する可能性がきわめて高いが,エモリー大学(ジョージア州アトランタ)のElisabeth Binder,Kerry J. Resslerの両博士らは,小児期のトラウマに身体的または性的虐待が含まれる場合,特定の遺伝子変異がリスクを有意に高めると,遺伝子の健康への影響に関するJAMAの特集号(2008; 299: 1291-1305)に発表した。 遺伝子と環境が相互作用 米国立衛生研究所(NIH)の一機関である米国立精神保健研究所(NIMH)のThomas R. Insel所長は「遺伝子変異と環境因子の複雑な相互作用を解明できれば,PTSDなどの疾患リスクのある患者を正確に予測する方法がわかり,それぞれの患者に最も有効な予防法や治療
慢性不眠は青少年の個人的問題の温床に 〔米テキサス州ヒューストン〕テキサス大学ヒューストン保健科学センター健康促進行動科学のRobert E. Roberts教授らは,11〜17歳の青少年における慢性不眠の影響を調べる前向き研究から,青少年の4分の1以上に不眠の症状があり,その半数以上が慢性不眠に悩んでいることを明らかにした。さらに,慢性不眠の青少年は不眠でない青少年に比べて個人的問題を2〜5倍多く抱えていることを見出し,Journal of Adolescent Health(2008; 42: 294-302)に発表した。同研究はヒューストン都市圏の青少年3,134例へのインタビューに基づく。 将来の健康と能力に悪影響 Roberts教授は「不眠は青少年の間で慢性化している。不眠の負荷は気分障害,不安障害,分裂障害,薬物乱用障害などの精神障害に匹敵するため,慢性不眠は青少年の将来
心理療法の適用は慎重に 若者の半数で心的外傷後に回復力 〔ニューヨーク〕コロンビア大学(ニューヨーク)臨床心理学のGeorge A. Bonanno,Anthony D. Manciniの両博士は,心的外傷に直面した場合に見られる,ヒトの力強く回復する潜在的な能力についてPediatrics(2008; 121: 369-375)に発表した。これまで,単独の潜在的心的外傷イベント(PTE)は心理的・生理的機能不全を伴う持続的な情動的損傷を引き起こすと考えられていた。しかし,Bonanno博士らは「最近の研究では,肉親との死別,重度疾患,テロリストの襲撃など種々のPTEに対して,50%以上の人が回復力を示すことが一貫して明らかにされている」と説明している。 心理療法に医原性の影響も Bonanno博士らは「回復力を促進する因子は不均一で,個々の小児の気質や人格,特有の対処法など種々の
母親の免疫系が胎児の脳に影響 出生前の自閉症診断と予防に可能性 〔米カリフォルニア州サクラメント〕カリフォルニア大学デービス校(UC Davis)MIND研究所(カリフォルニア州デービス)と小児環境保健センター(CCEH)リウマチ学・アレルギー・臨床免疫学のJudy Van de Water教授らは,小児自閉症患者の母親の血中抗体は胎児の脳細胞に特異的に反応し,脳の健全な発達を阻害する可能性があるとNeurotoxicology(2008; 29: 226-231)に発表した。 特異的なIgG反応が鍵 研究責任者のVan de Water教授らによると,問題となる反応が見られたのは遅発性自閉症児の母親に最も多かった。遅発性自閉症は一定期間の一般的な発達を示した後に,社会的能力と言語能力を喪失するものである。今回の研究から,妊娠中の母体における抗体の移行が自閉症の危険因子である可能性
精神疾患は高リスク青少年の80%を予測可能 〔米メリーランド州ベセズダ〕カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA,ロサンゼルス)のTyrone D. Cannon博士らの研究によると,精神疾患を発症する青少年は,広く受け入れられているリスク基準を満たす場合,疾患成立前に35%を特定できるが,いくつかの危険因子を併せ持つ場合は,65〜80%に高まる。これらの組み合わせを用いれば,2〜3年後に精神疾患を発症する可能性を,他の危険因子が糖尿病などの主要疾患を予測するのと同等の精度で予測できる。詳細はArchives of General Psychiatry(2008; 65: 28-37)に発表された。 引きこもり,家族歴,幻覚などの組み合わせで予測 今回の研究は,この種の研究としては最大規模のもので,年齢中央値16歳の青少年を対象に,おもに米国立精神保健研究所(NIMH)の助成で行われた。
小児期の親子関係が妊婦に影響 〔イスラエル・ハイファ〕 ハイファ大学のOra Gazit氏らは,小児期に親との関係が良好であったと認識している妊婦は,親に対して怒りや拒否感を持ち続けている女性と比べて,母親になることに大きな抵抗を感じていないことがわかったと発表した。また,幼児期のネガティブな体験を受け入れられない傾向がある女性は,生まれてくる子供に愛情を抱く可能性が低いことが示された。 強い分離不安を予想 同大学教育学部のMiri Scharf博士の指導下で実施された今回の研究は,第1子を妊娠している妊娠後期のユダヤ人女性160例を対象とした。全例とも夫またはパートナーと同居していた。研究チームはアイデンティティー形成に関連した2種類のアプローチに基づいて,妊婦自身が母親になるという事実と生まれてくる子供との関係について,期待,考え,気持を調査した。第1のアプローチは,妊婦が自分の幼児
安価なプラセボより高価なプラセボの有効性が高い 〔米ノースカロライナ州ダーラム〕デューク大学(ダーラム)行動経済学のDan Ariely教授は,投与される同種のプラセボでも,10セントの錠剤より2.50ドルの錠剤のほうが鎮痛効果が大きいとする研究結果をJAMA(2008; 299: 1016-1017)に発表した。 パッケージに一工夫必要 Ariely教授は「薬剤の効果を高めるのは薬剤自体であり,特定の薬剤に対する思い入れではないと医師は考える傾向がある。しかし,実際には患者と医師の間には微妙な相違があるようだ」と指摘している。 同教授とマサチューセッツ工科大学(MIT,マサチューセッツ州ケンブリッジ)の共同研究者らは,標準的なプロトコルを設定し,82例を対象に2種類のプラセボの効果を検討した。被験者の手首に軽い電気ショックを与え,プラセボ投与前後の疼痛を主観的に評価した。なお,
DVというのは家庭内における暴力(domestic violence)の略称である。かつては,子供から親への暴力が問題になったこともあったが,近年,配偶者から振るわれる暴力が問題となっているので,その意味を強調するために配偶者間暴力と言われることもある。結婚していない交際相手や同棲相手からの暴力も含まれる。被害者は,加害者からの報復や家庭の事情などの理由から抵抗の自由を奪われ,支援を求めることをためらう場合もあることなどが問題である。医療関係者が警察への通報など迅速な行動を起こすこと,精神疾患を罹患する者が多いので早急に行政や医療間で連携して対応できる体制の構築が急務である。 加害者との同伴受診が多く,被害者は抵抗の自由を奪われる 多くの場合,被害者は加害者である配偶者と一緒に受診することが多く,加害者への恐怖のために被害を訴えることができない。ところが,加害者は被害者のことを心配して
知的な障害がないにもかかわらず,学習が困難で成長後も社会生活に支障を来す疾患群を発達障害と総称する呼び方が定着してきた。具体的にはアスペルガー障害,注意欠陥/多動性障害(AD/HD)と学習障害(LD)を指すが,なかでもアスペルガー障害は,その頻度の高さと,最近頻繁に報道される特異な事件のいくつかで加害者の背景にあることが知られるようになって,特に注目されている。 アスペルガー障害を巡り社会状況が変化 耳目に新しいところでは少年犯罪調書漏洩事件があるが,最初に新聞でアスペルガー障害の名前が大きく取り上げられたのは豊川主婦殺害事件(2000年)であろう。「人を殺してみたかった」という供述は社会を震撼させた。最近は調書漏洩事件を含め,アスペルガー障害の診断がやや安易に乱発されているようにも思われる。ただし,アスペルガー障害が犯罪に直結するというような理解は誤りであり,いくつかの動機が理解し難い「
規則正しい家庭での食事が鍵 青年期女子の摂食障害に影響 〔米ミネソタ州ミネアポリス/セントポール〕ミネソタ大学(ミネアポリス)公衆衛生学部のDianne Neumark-Sztainer博士は,自身が率いるプロジェクトEating Amang Teens (EAT)から,家族と食事を取ることの多い青年期の女子は,5 年後にやせ薬,緩下薬,その他の極端な体重調節法を取ることが少ないとの知見をArchives of Pediatrics & Adolescent Medicine(2008; 162: 17-22)に発表した。 青年期の男子では認められず Neumark-Sztainer博士らは,5 年間にわたり31校のミネソタ州の学生2,516例を調査した。被験者は,家族と食事をする回数,body mass index(BMI),家族との結び付き,食事行動に関する1999年の集団調査
睡眠障害の発生率が高い アスペルガー症候群の小児 〔米イリノイ州ウェストチェスター〕ラ・サピエンツァ大学(ローマ)小児睡眠障害センターのOliviero Bruni博士らは,睡眠構造と周期的交代パターン(CAP)に注目してアスペルガー症候群(AS)の小児の睡眠パターンを評価する初の試みから,AS小児では特定の睡眠障害とおもに入眠,睡眠時不穏,覚醒障害,日中の眠気に関連した問題の発生率が高いとする知見が得られたとSLEEP(2007; 30: 1577-1585)に発表した。 87%に入眠・覚醒困難 Bruni博士の研究にはASの小児 8 例,自閉症の小児10例,対照として健康な小児12例が含まれた。AS小児の親に,(1)睡眠に関する質問表(2)日中の眠気と学校関連のアウトカムの関連性を評価する小児日中眠気尺度(Pediatric Daytime Sleepiness Scale)(3)自閉
アジア系米国人のメンタルヘルスケア受診率は低い 〔米オハイオ州クリーブランド〕 アライアント国際大学(サンフランシスコ)のTai Chang助教授らは,アジア系米国人は白人系米国人に比べ,メンタルヘルスケアを求める傾向や,治療を必要な期間継続する傾向が弱いことを,サンフランシスコで開かれたアジア系米国人心理学会(AAPA)で報告した。 受診に文化の壁 Chang助教授らは,明らかに精神障害に罹患していた韓国人学生が最近バージニア工科大学(バージニア州ブラックスバーグ)で起こした銃乱射事件を思い起こしながら,アジア系米国人がメンタルヘルスケアを受診しない理由を「文化の壁こそがこのような障害を引き起こす最大の要因である」と指摘した。 同助教授は「まだ十分な規模ではないが,アジア系米国人に関する調査を実施したところ,メンタルヘルスの診療施設を利用しておらず,利用したとしても多くの場合,問題解決
思春期抑うつ症 薬剤治療と認知行動療法併用は有用 〔米ノースカロライナ州ダーラム〕 10代の大うつ病性障害患者に対しては,抗うつ薬治療と認知行動療法(CBT)の併用が最も有効なアプローチであることが,デューク大学医療センター(ダーラム)精神医学による長期臨床試験(Treatment for Adolescents with Depression Study; TADS)から明らかにされた。この結果はArchives of General Psychiatry(2007; 64: 1132-1143)に発表された。 36週間後の併用治療奏効率86% TADSは12〜17歳の一次診断で大うつ病性障害と診断された患児327例を対象に,抗うつ薬fluoxetine(Prozac®)とCBTの単独または併用の有効性を比較検討した多施設ランダム化臨床試験である。試験開始12週間後では全群でうつ病が減少
~ADHD児持つ親への世界10か国アンケート~ 治療に対する満足度は日本が最も低い結果に 注意力・衝動性・多動性を自分でコントロールできない疾患である注意欠陥多動性障害(ADHD)は,同患児を持つ家族にどのような影響を及ぼすのか。日本イーライリリー(株)が米国本社などと協力し,ADHD児の親を対象に,日本を含む世界10か国で実施したADHDによる影響に関する調査結果がまとまった。東京都で開かれたプレスセミナー(主催=日本イーライリリー(株))において,調査結果の監修に当たった北海道大学大学院教育研究院教育臨床講座の田中泰雄教授(児童精神科医,臨床心理士)は,治療満足度について欧米に比べて日本では低かったという結果に触れ,「社会や医療などの総合的な支援体制が確立していなければ,家族が抱える不安やストレスは軽減されない」と指摘。また,薬物療法が必要な患者であっても実施率は日本が最も低く,日
〔ニューヨーク〕 青少年の自殺予防に関する 3 つの論文がNew England Journal of Medicine(NEJM)に掲載された。最初の論文はコーネル大学Weill医学部(ニューヨーク)臨床精神医学のRichard A. Friedman教授によるもので,青少年における精神疾患のスクリーニングを論じている(NEJM 2006; 355: 2717-2719)。2 番目の論文では,ピッツバーグ大学(ペンシルベニア州ピッツバーグ)のDavid A. Brent博士とコロンビア大学(ニューヨーク)のJ. John Mann博士が,自殺に至る家族経路を検討することで青少年の自殺予防を探っている(NEJM 2006; 355: 2719-2721)。3 番目の論文では,Group Health Cooperative(ワシントン州シアトル)のGregory E. Simo
朝、起きがけにかかとの内側の辺りが痛んで歩きにくいという症状は、足底腱膜(けんまく)炎のことがある。「3週間ほどたっても痛みが引かないような場合は、整形外科で診てもらうように」と、慶応義塾大学医学部(東京都)整形外科の井口傑講師はアドバイスする。 ● 日中は痛まない 足底腱膜炎は、足の裏のアーチを支えている足底腱膜に炎症が起こる病気。レントゲン写真を撮ると、かかとの骨の前の部分にとげ状の骨が見られることが多いので、踵骨棘(しょうこつきょく)とも呼ばれる。 「40、50歳代の男性に多く、5人に1人は一生に1度は経験するといわれます。加齢に伴って足底腱膜の柔軟性が失われ、組織が弱くなるために起こりやすいのです。若い世代では、ジョギングなどによる足の使い過ぎや、外傷によって起こることがあります」と井口講師。 足底腱膜炎は多くの場合、かかとの骨の内側の前方が痛む。それも朝、起き
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『Medical Tribune メディカルトリビューン』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く