サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
大谷翔平
www.business-i.jp
■「売却タブー」で信用維持 米政府系住宅金融公社2社の経営危機に発展したサブプライム(高金利型)住宅ローン問題。両公社が発行する債券は世界中に広がっており、政府は公的支援を打ち出し金融不安の沈静化に必死だ。米国が最も恐れているのが、不安が米国債に飛び火することだ。米国債の信用が揺らげば、世界中に米国債を売りさばき、「双子の赤字」を穴埋めすることで成り立っている米国の根底が崩壊するばかりか、米国債とドル暴落が世界経済の“クライシス”の引き金となる恐れをはらんでいる。(大柳聡庸) ≪暗黙の政府保証≫ 経営危機が表面化したのは、米連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)、連邦住宅貸付公社(フレディマック)だ。米国の住宅ローンの大部分を債務保証し、「住宅金融システムの中核的役割」(ポールソン米財務長官)を担っているが、不動産バブルの崩壊で保証債務の貸し倒れが急増した。 政府の影響力が強い両社が資金
■波から発電 年内に欧州展開 海洋に囲まれたわが国では、海水温度差や波力、潮汐(ちょうせき)力などの自然エネルギー活用が期待されるが、装置が海水にさらされることによる保守コストの高さが実用化でのネックに挙げられる。 神戸大学工学部の教授を今年3月に退官した神吉(かんき)博名誉教授は、発電タービンやポンプなど回転機械の振動制御などが専門。約25年前に取り組んだ宇宙ステーションの姿勢制御から逆転の発想をし、姿勢の乱れからエネルギーを取り出す技術として2000年に高効率ジャイロ式波力発電システムを発明した。 原理は、フライホイール(コマ)を回転させておき、波で浮体が振動すると、ジャイロのジンバル(回転台)が回転し、その運動を発電機に伝える仕組み。発電機自体は密閉された空間内にあるため、メンテナンスは浮体のペンキと、軸受けの交換のみに限定できた。 エネルギーの変換回数は、従来のタービン方式
−−2010年度の予算編成が本格化してきた。政府の事業仕分けで「凍結」となった関西空港の補給金の対応は 「補給金をゼロにすれば、延命措置が断たれる。現実的な対応として1カ月弱で関空の問題の方向性を固めるのは難しく、財務省と話し合う」 −−予算編成では高速道路の無料化も焦点だ。「本州は対象外」と指摘するなど6000億円の要求額を削減しようと財務省のさや当ても激しい 「この問題では馬淵澄夫国交副大臣と野田佳彦財務副大臣が話をし、われわれが内々合意している予算でやることを確認している。予算を付けるのは財務省だが、中身は国交省で判断する。渋滞回避などは当然、考慮して案を作っている」 −−整備新幹線について年内に新たなスキームをつくる。考え方は 「整備新幹線と並行する在来線は地方が第3セクターなどで維持しているが、その負担に地方が悲鳴を上げている。並行在来線は地方が責任を持つというのはJR
有識者らで構成する東海道物流新幹線構想委員会(委員長・中村英夫東京都市大学長)は7日、第2東名、第2名神高速道路の中央分離帯などを活用し、貨物専用の鉄道を施設する「東海道物流新幹線(ハイウェイトレイン)」の構想をまとめた。物流の「モーダルシフト」を進め、二酸化炭素(CO2)排出量削減や省エネルギー効果が期待される一方、建設費は総額2兆円に上ることが想定されることから、実現には官民挙げての取り組みが求められそうだ。 ハイウェイトレインは日本の大動脈とされる東京−大阪間(約600キロ)の物流効率化を図るため、貨物鉄道を走らせるという構想。建設が計画されている第2東名、第2阪神高速道路の中央分離帯や用地買収後も実際には使われていない車線を有効活用する。現行のJR東海道線の線路での貨物輸送量をこれ以上増やすのは難しいため、中村氏らが2008年2月から検討を重ねてきた。 1日の輸送量は20万トン
2013年以降の地球温暖化対策の国際的な枠組み(ポスト京都議定書)について話し合う、国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)が、7日から18日までの日程でコペンハーゲンで開かれる。各国に温室効果ガスの排出削減目標を課す新しい議定書の採択は見送り、協調して排出削減に取り組むことを確認する政治宣言で合意する。排出削減は短期的には経済成長を鈍化させるため、宣言内容をめぐり国益がぶつかりあうのは必至だ。だが、国際的にも高い削減目標を早々と掲げた日本は、譲歩する余地がなく、背水の陣で臨むことになる。(粂博之) ◇ ◆突出した目標 「日本にとってCOP15は、もはや交渉とはいえなくなっている」。日本政府関係者から、ため息が漏れる。鳩山由紀夫首相が今年9月に国際公約した「2020年に温室効果ガスを1990年比25%削減する」との中期目標は、ほぼ確定する見通しだ。 鳩山首相は「すべて
「匿名だと無責任なことがいくらでもできる」「実名だとリスクが大きすぎる」−。不定期に盛り上がるネットの“匿名実名論議”。ここ最近でも10月初め、経済評論家の勝間和代氏(40)が毎日新聞のサイト上で実名使用を呼びかけたところ、「匿名派」とされる2ちゃんねる初代管理人のひろゆき氏(33)や、以前から匿名実名論議について見解を述べてきた匿名派アルファブロガー(世論に影響を与えるブログ執筆者)、小飼弾氏(40)と実名派の弁護士、小倉秀夫氏(41)も各自のブログで意見を表明した。またしても熱い戦いが繰り広げられたが、結局、結論は出たのだろうか。 64%が実名に「反対」 10月4日、勝間氏は毎日新聞のサイト上のコーナー「クロストーク」で、ネットの実名使用の推進とそのメリットについてこう呼びかけた。 《ネットがメディアとしての信頼性を高め、既存のメディアと肩を並べる存在になるには、表現者が自分の名
情報通信産業の成長戦略を討議する総務省のタスクフォースが混乱している。11月末に開始された第2ラウンドでは、「議題が不明瞭」「具体的な戦略を話し合える場ではない」といった不満が噴出し、運営側が、議題を再検討する委員会を立ち上げると表明する場面もあった。自公政権が進めたNTTの再編論議に代わるICT(情報通信技術)政策の目玉だが、議論が先に進まなくなっている。 「議論のたたき台になる議題をまとめるため、別の委員会を立ち上げる。今後は、その内容について皆さんに話し合ってもらいたい」。先月26日に開かれた情報通信産業の国際競争力強化について話し合う部会で、座長を務める寺島実郎日本総合研究所会長が突然、こう切り出した。すでに2回目の会合にもかかわらず、議論の論点が定まらず、座長が方向修正を行う事態になった。 「政治主導」で方向感を失った総務省のタスクフォース。写真は初会合であいさつする原口一博
世界最大の穀物生産国である中国がトウモロコシとコメの遺伝子組み替え(GM)品種の安全性を承認した。アナリストの間では、中国は食糧需要が増加するなか、米国に後れを取っていた収量改善で一歩前進したとの見方が広がっている。 中国農務省が4日までにブルームバーグ・ニュースあてに送付した文書によると同省は遺伝子GMのトウモロコシとコメ数品種について生産と消費に関する安全性を認めた。ただ、商業的栽培を行うには別の承認手続きが必要だとしている。 スイスの調査会社SGSによると、今年の中国のトウモロコシ生産量は主要生産地域での干魃(かんばつ)が影響して前年比13%減と予想を上回る減少となり、4年ぶりの低水準を記録した。米コンサルティング会社マッキンゼーは先月、中国が干魃の影響を抑えるために投資を拡大しなければ、同国の長期的な食糧安全保障や社会の安定は脅かされる可能性があるとの見方を示している。 農業
亀井静香郵政改革・金融担当相は4日の会見で、郵便局が「小口で迅速な融資活動を本格的にやることも考えていく」と述べ、郵便貯金を、中小零細事業者向けの少額短期融資に活用する方向で検討していく考えを示した。来年6月までに完全施行される改正貸金業法による規制強化で、中小零細事業者の資金繰りが行き詰まる、との懸念があるため。今後本格化する郵政事業見直しの過程で検討していく。ただ、郵便局には融資や審査のノウハウがなく、実現するには課題も多い。 中小零細事業の融資受け皿だった貸金業者に代わる仕組みとして亀井金融相は「まず政府系金融機関や銀行がそうした融資に取り組むべき」と話す。金融庁には、信用金庫や信用組合がこうした融資に参入すべきといった意見もあるが、実際には「手間がかかる上にリスクが高くて難しい」(地方銀行幹部)というのが実情だ。 郵貯資金の活用案はこうした背景から浮上してきた。亀井金融相は4日
政府・与党は4日、2009年度第2次補正予算案に盛り込む追加経済対策の大枠を固め、デフレや円高で厳しさを増す景気の下支えに挑む姿勢を示した。政府が与党に提示した案は、雇用や環境、地方支援などを重点項目とし、対策の規模は7兆1000億円にのぼる。ただ内容は目新しさに乏しく「ばらまき型」の予算は財政悪化とも背中合わせだ。さらに国民新党が地方支援で9000億円の増額を求め、政府・与党の調整が難航。司令塔なき連立政権の経済運営に亀裂が走る中、鳩山由紀夫首相は景気刺激と財政規律の両立という難しいかじ取りを迫られている。 ◆亀井氏、上積み強硬 「ちゃんとしたものなら国民は元気が出るが、中身がダメならがっくりくる」。大型予算にこだわる国民新党代表の亀井静香郵政改革・金融相は強硬姿勢を崩さず、基地問題で民主党との溝が深まった社民党と共同戦線を張った。「違いはそんなにない」と楽観的だった民主党・財務省サ
スイスで、ミナレット(イスラム教礼拝所の尖塔)の新規建設禁止を求める国民投票が行われ、賛成多数で可決された。イスラム諸国だけでなく、国連や欧州からも批判の声が上がり、国民に反対を呼びかけていたスイス政府は困惑している。2005年、デンマーク紙がイスラム教預言者、ムハンマドの風刺漫画を掲載し、イスラム諸国でデンマーク製品の不買運動が起きた。スイス食品大手ネスレをはじめ、同国の多国籍企業は事業への影響を懸念している。 ◇ ≪分析≫ スイス国内にミナレットの新設を禁止すべきかどうかを問う国民投票は11月29日に行われ、全体の57.5%が賛成、26州中、22州で賛成が多数を占めた。反対が過半だったのは、国際機関が集中するジュネーブなど、フランス語圏の4州にとどまった。投票率は53%で、スイスの国民投票では高い方だった。 国民投票を呼びかけた、右翼・国民党(SVP)以外のすべての主要政党、実
ローン不安生む国債増発 鳩山政権は4日、デフレや円高に対応した追加経済対策の策定作業を続けた。これが日本経済の回復につながるかどうか、カギを握るのは、企業への融資や住宅ローンの金利などにつながる金融市場の動きだ。市場が鳩山政権の経済運営に向けて発信しているシグナルを検証する。 「どうせ当面は大きく上昇しないだろうから、変動金利タイプに借り換えようかな」。住宅ローンの返済サポートや金融機関との折衝などを行うモーゲージプランナー(MP)、藤野義直は最近、顧客からこんな相談をよく受ける。「ローン利用者の多くが、金利の先行きに関心を持っている」と藤野は言う。 実際、国債市場と長期金利の動きは、家計にさまざまな角度から波及する。住宅ローンはその一例だ。デフレ不況の直撃で賞与が減り、それをきっかけに返済計画見直しの相談に訪れる会社員が増えているのだ。 住宅金融支援機構が2日にまとめた民間住宅ロ
政府債務の対GDP比のランキングで、日本はジンバブエについで世界第2位であるそうだ。日本は160%を超える水準であるが、100%を超えるような国はこれ以外にはレバノン、ジャマイカ、イタリア、スーダンしかない。日本の政府債務はそれだけ異様な大きさであるのだ。多くの経済学者が日本政府の抱える巨額の債務のリスクについて論じてきた。あまりに債務が膨れあがれば、国債を市場で消化することが難しくなる。国債の価格は大きく下がるだろう。それはつまり、国債利回りが高くなることであり、もし国債利回りが上がれば諸々(もろもろ)の金利も上昇して経済は大変なことになる。私自身もこのような議論をしてきた。 こうした財政破綻(はたん)論が出てきてから10年以上がたっている。その間に政府債務はさらに膨れあがっている。それにもかかわらず国債利回りは史上最低というような水準を維持している。経済学者の財政危機説は「オオカミ少
アマゾンの英語表示版の投入で、日本に再登場した形の電子書籍端末は、普及に向けた「ハードル」は低くない。一つは「再販売価格維持制度」だ。書店が書籍の販売価格を自由に決められる米国では、電子書籍の多くは書店より安い価格で購入できるが、日本では出版社が決定した販売価格を書店が維持する仕組みが定着しており、ビジネス環境は大きく違う。 ソニーが2004年に投入した電子書籍端末「リブリエ」は失敗し、07年に撤退。出版ビジネスとの調整でコンテンツの充実が遅れたことも一因にあり、現在も多くの出版社が「まだ研究中」(講談社)という段階だ。 さらに、日本では携帯電話向け電子書籍の普及が進んでいる事情も壁になる。調査会社インプレスR&Dによると、08年度の日本の電子書籍市場は464億円で、大半が携帯電話向けコミックとされる。市場調査会社BCNの森英二アナリストは「電子書籍専用端末の普及にはコンテンツの充実と
米欧を中心に需要が伸びている電子書籍端末が、ヒット商品不足に苦しむソニーの救世主になりつつある。米アマゾン・ドット・コム社の「キンドル」が牽引(けんいん)する形で専用端末が売れ、コンテンツの世界市場も前年比約3倍のペースで拡大。ソニーも新機種を米欧で投入して追い上げ、事実上の「2強」がしのぎを削る。日本国内では2004年発売の専用端末が振るわずソニーは約3年で撤退したが、日本での再挑戦も視野に世界市場での攻勢を強める構えだ。 ◆世界シェア40%へ 「12年度に電子書籍端末の世界シェア40%を目指す」。ソニーの平井一夫EVP(上級副社長)は、先月18日の経営説明会で力強く宣言した。現在のシェアは約35%。著作権が切れた古典作品など約100万冊の提供をグーグルから受けるなどソフトの充実策が功を奏した形だ。 今夏以降、専用端末の品ぞろえも強化。06年に発売した「リーダー」をバージョンアップ
ジュネーブで開いた世界貿易機関(WTO)の公式閣僚会議は2日夜(日本時間3日未明)、2010年3月までに新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)の課題点を抽出する「論点整理」を行うことで一致し、閉幕した。ただ、10年中のドーハ・ラウンド合意に向けた道筋を示すことはできなかった。世界的な景気悪化で、各国に保護貿易主義の誘惑が広がるなか、交渉は難しさを増している。 各国とも、関税引き下げ・撤廃など自由貿易化を進めていくことでは一致しているが、品目や関税率、ルールなど各論に入ると対立は根深い。先進国は工業製品の輸出拡大とともに自国の農業保護を目指し、途上国は自国の産業を海外の輸入品から守ろうとする。その上、加盟153カ国・地域の産業構造はさまざまで対立構図は複雑を極める。 乗り越えるには政治判断が求められるが、その前に既存の規則や法律との整合性をどうとるかなど技術的な問題は少なくない。何を問題と
総務省は2日、放送電波の新たな活用方法を検討するための有識者会合を発足させた。会合では、平成23年7月の地上デジタル放送への移行後に多く生まれると予想される「ホワイトスペース」と呼ばれる電波の空き帯域を使い、新たなサービス提供の可能性について討議する。 同日、総務省内で開催した第1回会合で内藤正光総務副大臣は「米国ではすでにホワイトスペースの活用に向けた検討が進んでいる。国民目線で、活用の課題などを検討してほしい」と述べた。会合では来年春をめどにサービスのイメージなどについて中間とりまとめを行い、夏には最終案をまとめる。それを踏まえ、24年には実際のサービス開始につなげたい考えだ。 会合は、土居範久中央大学理工学部教授が座長を務める。
株式や為替などすべての金融取引に対し、世界各国の政府が足並みをそろえて課税する「トービン税」導入を支持する声が海外の経済専門家や政治家らの間で急速に高まっている。金融危機の再発に一定の効果があるとみられていることに加え、公的支援を受けた金融機関の巨額賞与復活の動きに批判が高まっていることが背景にある。 英経済学者、ジョン・メイナード・ケインズは世界大恐慌のさなか、金融取引への課税を提案。1970年代には米経済学者、ジェームズ・トービンが、通貨市場の投機を抑制する方法として、ケインズのアイデアを再び持ち出した。だが、両者とも大きな賛同は得られなかった。 しかし、ここに来て、株式や債券、通貨やデリバティブ(金融派生商品)といった金融取引に対し、今こそ課税すべきだと主張するエコノミストや政治家の主張が勢いを増している。 ≪英首相、導入前向き≫ ブラウン英首相は11月上旬、金融取引に課税す
米国では感謝祭明けの先週末から11月30日の月曜日にかけて、ネット通販を利用する買い物客が増えたとみられる。ネット通販による売上高は、前年比10〜15%増を記録する見込み。豊富な品ぞろえと割安な価格設定による消費者へのアピールが功を奏した形だが、小売業界全体の収益増には必ずしも結びついていないのが実情だ。 4年ほど前から使われるようになった「サイバーマンデー」。感謝祭明けの月曜日にネット通販の売り上げが急増することからのネーミングだ。今年のサイバーマンデーである11月30日、オンライン・マーケティング会社のコアメトリックスによれば、特売を行ったオンライン店舗の売り上げは、前年比16%の増加となった。 同社が調査対象とした小売業500社のオンライン店舗は、ニューヨーク時間の月曜午後3時の時点で、感謝祭翌日の金曜日(ブラックフライデー)とほぼ同水準の売り上げを達成。実店舗を上回る販売ペース
日銀は1日、臨時の金融政策決定会合を開き、追加的な金融緩和策を決めた。政策金利と同じ年0.1%の低金利で10兆円程度を供給し、金融市場と景気回復を下支えする。ただ、有効性すら心許ない小出しの対策には、病み上がりに過ぎない世界経済の現況と真正面から対峙(たいじ)する緊迫感が伝わってこない。新たな国際的信用不安の「ドバイ・ショック」を背景に広がった混乱の向こうには、米金融機関が抱える商業用不動産ローンの不良債権化という爆弾が連鎖する危険も潜んでおり、場当たり的な日銀の対策は、国内の市場だけでなく世界からも失望を招く恐れもある。 ◆政府と一体強調 新しい資金供給策は、国債や社債などを担保に金融機関に資金を供給する共通担保オペ(公開市場操作)について、入札方式で決めていた貸付利率を0.1%の固定金利でも実施する。貸出期間は3カ月とし、3カ月程度の金利を一段と低下させることを狙うものだ。 白川
■松原聡・東洋大経済学部教授(経済政策) 日本郵政グループの役員体制が一新されたこの時点で、株式売却凍結法案を慌てて提出する必要はなかった。日本郵政の現在の執行部の中で、株売却を急ごうという人はいないからだ。本来なら、来年の通常国会でじっくりと議論をすべき問題だ。 この法案が成立しても、当面の郵政事業に大きな変化があるとは思わない。むしろ、法案は、小泉純一郎内閣時代に決めた郵政民営化路線を見直す方向性を打ち出す宣言のような政治的な意味が大きいのではないか。今後の郵政事業の行方は、郵貯、簡保のユニバーサル(全国一律)サービスの提供義務付けを盛り込んだ10月20日の閣議決定に表れている。義務付けのために完全民営化が実現しなければ、結果的に政府関与が残る。金融資産を公的部門にため込んでしまえば、民間の経済の活性化につながらない。事実上の国債の大口受け皿になる可能性もある。
■菊池英博・日本金融財政研究所長(元文教学院大経営学部教授=日本経済) 郵政株凍結法案は、今国会で最も重要な法案だ。もっと早く、郵政民営化は見直されるべきだった。「官」から「民」へ資金を流して景気をよくするという郵政民営化の発想は、その大前提が間違っていた。金を必要としているのは、むしろ公的部門だ。1990年代半ばから民間の資金は余っている。だから、銀行は株に投資し大損をした。小泉純一郎内閣の郵政民営化は、庶民がためた金を海外に流出させる道だったのではないか。 郵政事業は社会基盤の安全網だ。郵貯、簡保、郵便の一体運営で、庶民に広く資金が還元されるようになるかが重要。郵政の資金は、疲弊している地方自治体の水道や保育所などのインフラ整備、地域金融機関への出資や資金供給に充てるなど、民間金融機関とすみ分けをした使い方に振り向けていくべきだ。庶民の金は庶民のために使われなければならない。
地球環境に優しい電気自動車(EV)を全土に普及させ、世界中で通用するビジネスモデルの確立を目指す事業構想がイスラエルで進んでいる。日本の四国よりやや大きい国土に専用電池の充電・交換ネットワークを張り巡らせ、「ガソリン車より安く便利」な環境を整備するのが目標だ。 事業主体はベンチャー企業のベタープレイスで、日産自動車とフランス大手ルノーのEVを投入し、2011年末から本格的に業務を始める予定。シャイ・アガシ最高経営責任者(CEO)はイスラエル中部テルアビブ近郊の事務所で「EV事業で世界の第一人者になる」と自信を見せた。 温暖化防止に役立つEVだが、充電せずに走行できる距離が短いことが難点。同社は職場や商業施設の駐車場に数万の充電設備を備えるほか、長距離走行向けの電池交換所を数十キロごとに計70カ所設け、利便性を高める計画だ。 販売するEVをガソリン車より安く抑えるため、200万円近くす
かつて欧州随一の雇用拡大を見せたスペインが、ユーロ圏で最悪の失業率に苦しんでいる。政府は雇用対策として公共事業を実施してきたが、2010年には予算を縮小せざるを得ず、さらなる失業率の上昇を招きそうだ。 過去60年で最悪のリセッション(景気後退)に立ち向かうため、サバテロ首相は公共事業に次々と予算をつけて雇用を確保してきた。建設事業は欧州の名所を再現したテーマパーク、スポーツ複合施設、闘牛場など多岐にわたる。 しかしIEビジネス・スクールのフェルナンド・フェルナンデス教授は「政府の対策は、失業者問題の先送りにすぎない。一連の政策は、危機は短期間で収束するとの認識のもとで打ち出されており、これから後始末をしなければならない」と指摘した。 人材派遣の業界団体AGETTアソシエーションによれば、年末に80億ユーロ(約1兆450億円)規模の景気刺激策が終了することなどから、年明けに25万人が職
金融機関に返済猶予などを促す亀井静香金融相肝いりの中小企業等金融円滑化法案(返済猶予法案)が30日、参院本会議で採決され、可決、成立した。中小企業などへの支援が目的だが、借り手である中小・零細企業の反応は歓迎ムード一色ではなく、困惑の声も多い。利用企業は少ない見通しで、景気が再び悪化する「二番底」懸念が現実味を帯びるなか、その効果は限定的となりそうだ。 ◆「一息つける…」 「3000万円借りて3年で返すとなると、毎月の返済額は80万〜90万円にのぼる。利息だけなら月5万円程度。とりあえず一息つける」 東京都大田区の町工場で構成される大田工業連合会の舟久保利明会長(昭和製作所社長)は、そう返済猶予法に期待を寄せる。連合会所属企業の半分以上が従業員3、4人の規模。「ものづくり日本」の基盤を支えてきたのは、そうした零細な町工場だ。しかし、リーマン・ショック以降、受注量が平均で10分の1に落
液化天然ガス(LNG)の供給増加により、市場での天然ガス相場が下落している。リターン(投資収益率)は今年の商品相場で最低を記録。投機家や生産国にとって打撃となる需要の落ち込みは、2010年も回復する見込みがないとみられている。 ≪IEAが警告≫ 米国に11月、カタールから大量の天然ガスが到着した。同国産のガスが米国向けに出荷されたのは08年6月以来。今回到着したガスの量は約900万世帯の1日当たりの消費量に相当する。米エネルギー省(DOE)のデータによると、これだけの規模でガス在庫が増加するのは、この時期としては少なくとも1994年以来だという。 こうした大量輸入が供給過剰を引き起こし、米国天然ガス・ファンドへの投機資金に影響を及ぼす恐れが指摘されている。現在、同基金への投資額は過去最高の42億ドル(約3640億円)に上り、投機家が保有するガスのコール・オプション(購入する権利)の未
■Jリーグと協会、一丸で再生を Jリーグ(リーグ)は、11月17日の理事会で、資金難に陥っていた大分トリニータ(大分)に対して、2005年に創設した公式試合安定開催基金(基金)から3億5000万円の融資を行い、さらに、来年1月末をめどに、2億5000万円の追加融資を行うことを決定。基金残高約10億円の内、約60%を融通する。大分の資金繰りが非常事態だったことをうかがわせる。 ≪チーム決算、吟味せよ≫ リーグによると、大分は、今季に入り成績低迷に伴う入場者減や人件費高騰などで借金が一気に膨らみ、累積赤字が約11億円、債務超過は5億6000万円に達した。2010年1月末の借入金を約12億円と推定している、と言う。 大分が自転車操業的運営手法ゆえに資金難の実情を見抜けなかったとリーグは釈明しているが、リーグの見解には納得できない。なぜなら、リーグが公表しているクラブ情報によれば、06年に
日立製作所が欧州の高速鉄道市場に本格参入する。フランスの高速鉄道車両の製造入札に参加するほか、ドイツの高速鉄道向け新型車両の受注を狙う考えだ。高い技術力を武器にフランス、ドイツのライバル2社に対抗し、世界最大の欧州市場で日の丸新幹線の普及を目指す。 ◆本格展開への布石 日立が英国の高速新線「CTRL」向けに製造した高速鉄道車両「クラス395」(ブルームバーグ) 日立の欧州鉄道部門の営業責任者、マック・モトラギ氏は、フランスの高速列車TGVに代わる高速鉄道車両として、同社の最新型新幹線を売り込む方針を明らかにした。 TGVは仏鉄道車両製造大手アルストムが製造し、国営鉄道会社SNCFが運営している。現在、日立が欧州の高速鉄道で車両を納入しているのは、英仏を結ぶドーバー海峡連絡線の英国側区間だけ。 モトラギ氏はインタビューで非公式の協議を進めていることを明らかにし、「フランス市場は常に
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『FujiSankei Business i./Bloomberg GLOBAL FINANCE』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く