映画は一体どのようにして見られてきたのか、ということについての歴史的変遷を追った本。 映画を見る、と一言で言っても、それには様々な様態がある。シネマ・コンプレックスで見るのか、DVDを借りてきてホームシアターで見るのか、ネットで落としてきてPCで見るのか、など。 また、どのように見られるのかに応じて、作品そのものもまた変化しうる。 映画を論じるに当たって、作品内容だけではなく、それがどのように受容され体験されるのかということも検討しなければ、片手落ちになってしまうのではないか、そのような問題提起を促す本でもある。 この本の中で強調されていることは、以下のようなことである。 まず、先行ミディアムと後発ミディアムは、決して断絶するわけではない、ということである。 例えば、演劇と映画である。映画館での映画上映と演劇や歌などのライブ・パフォーマンスは、かなり長きにわたって共存しつづけている。幻灯(
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