10万点に上る電気事業の歴史的資料を保存、公開する東京電力の「電気の史料館・文書館」(横浜市鶴見区)が、東日本大震災で休館したまま、再開のめどが立たない。原発事故の補償のため東電は大規模なリストラに着手しており、両館の存続自体も白紙状態にある。専門家は貴重な資料の散逸を懸念するとともに、事故の説明責任を果たす場として、むしろ積極的に再生するよう望んでいる。 両館は東電の50周年を記念し、2001年に開館した。展示品の目玉である旧式の鉄塔、発電機などの実物や、前身である「東京電燈」の設立(1883年)以降、現在までの文書を所蔵している。一部は国の近代化産業遺産に認定され、研究者の来館も多い。 しかし、震災のあった3月11日以降、一般公開は中止に。高橋由多加館長は「原発事故を一日も早く収束させることを優先し、節電にも貢献するため」と説明する。 職員の一部は既に他部署へ異動し、現在は学芸員