いま中央線のなか。東小金井のジブリで、「かぐや姫の物語」の試写会があって、10月31日、見る機会をいただける。 『かぐや姫と王権神話』で詳しく述べたように、かぐや姫伝説の故地は、大和国西部、いまでも「かぐや姫の里」といわれる広陵町を中心にした広瀬野・馬見丘陵の地域である。彼女のイメージは、そこにある広瀬神社の巫女、「物忌女」にある。『万葉集』の歌から想像できる彼女らの姿は、何重にもなった竹珠の御統(環飾、ネックレース)をかざった少女の姿である。それゆえに、彼女のイメージは、広瀬神社の祭神、女神ワカウカ姫の神話のなかに根付いているに違いない。月の女神としてのかぐや姫の原イメージは倭国神話のなかにすでに存在したはずなのである。 そもそも『竹取物語』の時代に、奈良盆地からみる月で、もっとも印象深いのが、広瀬野から二上山にかかる月である。別にのべたように、このイメージが『日本書紀』『古事記』の神話