ランダムにあげていこう。材料は乏しいんだが。 ▲加藤一×△升田の1970年の順位戦から。 「加藤八段は駒の衝突がはじまると、実力を出してくる。 それも相手のコマに密着する型で、昔でいえばこれは 関西将棋の系統である。密着すると、焦点がはっきりする。 そこへ持ち前の精力的なヨミを集注する。ところが残念な ことに序盤には、その密着がない。焦点が不明である。 ヨム対象は広汎である。これを仮想して、自分の好む方向へ しぼって行くのが、作戦である。だからヨムというよりは構図を どう考えるかの発想を主とする場所である。しかしどちらかと いうとこれは加藤八段の得意とはいいがたい。そういう場合に、 多くの棋士が用いる方法は「見切り」である。が、正統派的な 加藤さんの思想からはそれができない。このへんの心の 処理が今後の課題にのこされているようにおもう」(『近代将棋』 1971年2月号。p.29) これ、そ