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体力トレーニング
aplac.hatenablog.jp
~戦争=屈折したコンプレックス=近代日本精神に殺された日本の近代詩 清家雪子 月に吠えらんねえ 異色の作品。 明治以降の日本の近代文学に対する愛情がメガ盛りで、あまりにも詰め込みすぎてパーンと弾けて飛び散ってるような作品です。 特に第一巻は弾けまくってて、本当にただの同人誌というか、オチもテーマもないままの趣味全開!という感じで、僕も二巻目以降を読むかどうか微妙に悩んだりもしました。が!2巻目以降になって、徐々に(夢幻ミステリ仕立てだが)筋やテーマらしきものが見えてきて、巻が進むに連れて堂々たる文学論になっていきます。読ませるし、なるほどねーと思った。 この作品には幾つかの魅力が並行して走っています。 百花繚乱の日本近代文学 改めてみると、やっぱり凄い時代だったんですね。江戸時代まで、物語といえば東海道中膝栗毛とか、俳句や和歌とかそのくらいだった日本文学が(本当はもっと名作があるんだろうけ
なんでこの曲を書いた人がまだ生きてるのか、不思議 と言うのは、この曲を聞いた知人の感想ですが、ほんとそう。真剣にヤバいです、この曲。 曲の前半部分は、自殺念慮の心情描写なのですが、 それは「甘酸っぱい」としか形容のしようのない酸味のある感情。 自我がゆっくりと融解する甘くとろけた心地よさ そして入水自殺の実況中継 人っ子ひとりいない快晴の海 膝から肩へと水位を増し やがて絶命し、腐乱し 最後には「僕のいない世界」まで描写されている こんなことを歌ってもいいんでしょうか? もちろんいいんですけど、普通ビビって歌わないよ。インディーズのライブハウスでやるならまだしも、メジャーのアルバムで堂々とやってるところが凄い。 自殺をモチーフにした曲でも、発表までの過程でなんらかの「自己規制」が入って、「ああ、もう死にたい」的な気分描写で「寸止め」するか、あるいは「でもやっぱり生きようよ」的な「ポジ転」さ
[田辺イエロウ]BIRDMEN ~ド定番要素だけで構成されながら、全く新しいテイストの物語 2013年から少年サンデーで連載開始で、まだ連載中。全然知らなかったんですけど、これも面白いです。 構成要素は超がつくくらい定番ばっかり。 ・背中から翼が生えて空が飛べるようになる ・超人(鳥人)が5人集まるゴレンジャー的な戦隊モノ ・男4人に紅一点というこれまた定番 ・中学生の青春モノと中坊的な心のあれこれ ・マッドサイエンティスト組織が人体実験を繰り返し、人類の上位互換種を作り上げる どれもこれも既視感バリバリなんだけど、これらをミックスジュースのようにしてみたら、あら不思議!まったく新しいテイストのものになって、そこが面白い。 主人公のキャラ造形~屈折少年の肖像 まず主人公がイイです。頭の良さが空回りしてクラスで浮いて(沈んで)いるよくある中二病の重篤患者であるけど、自分がそうだということを理
漫画紹介:[森薫] 乙嫁語り ~異文化だけど懐かしい ~人が生きていく原風景的なぬくもり この漫画はフェバリットなので何回かに分けて書きます。巻によってテーマも変わっていきますし。 10年前の2008年から連載開始し、今も連載中です。 一見すると教養漫画 Wikiによると、知る人ぞ知る名作で、マンガ大賞受賞(他に2位が二回)、書店員が選んだおすすめコミック3年ノミネート。海外でも評価されていて、フランス・アングレーム国際漫画祭2012、世代間賞受賞。アメリカ・全米図書館協会、10代向けグラフィックノベル・ベスト10選出、だそうです。 内容的には、19世紀後半の中央アジアの遊牧民族の文化や人々の暮らしを描いたもの。 19世紀後半というと、日本の明治時代ですね。明治維新(1868)~日露戦争(1904年=20世紀初頭)だから、そのくらいの時代背景です。 中央アジアというのは、なんたら「スタン」
漫画紹介:[中川いさみ] マンガ家再入門 ~巧まずして人生やら全てに通じる創作の悩み 先日の今週の一枚エッセイ第862回:「わからない」恐怖感情と知的劣化スパイラルの冒頭でこのマンガの一部(鴻上尚史さんの部分)を紹介しましたが、今回はこの本まるまる紹介します。 中川いさみさんは、キャリアのあるギャグ漫画家で、代表作の「クマのプー太郎」 はちょうどバブルが弾けた頃の日本(91年~)にビッグコミックスピリッツに連載してました。僕、大ファンで、単行本が出たら買ってました。当時いわれていた不条理マンガで、意味なんか全然わかんないんだけど、でも面白いという。「よくこんなこと思いつくなー」という発想の自由さが楽しくて。 四コマ漫画集なんですけど、こんな感じ(サンプル選びだしたら全部読んでしまって苦労した、、てか選べないからもう無理やり) この「耳伸ばし」とか、「なに食ったらこんな馬鹿なこと思いつくのか
音楽:キース・ジャレット/ケルン・コンサート 音の甘露な雫(しずく) 午前零時のオン・ザ・ロック 今回はJAZZですが、JAZZってジャンル分けしていいのか?ただの「音楽」、あるいは「美しい音のしずく」とでも言うべきか。 この曲は知ったのは、FMの深夜放送です。なんかの番組のテーマ曲になってた時期があって、演奏者も曲名もなにもわからないまま「うわ、なんだ、これ」って思った。 後になって、それがキース・ジャレットのケルンコンサートのパート1の冒頭だとわかりました。なんでわかったんだっけ? たしか視聴者からの問い合わせが殺到して、番組で教えてくれて、全部流してくれたからかな? でも視聴者から殺到するくらい良かったんですよね。 それまで別にジャズやピアノに興味もない僕が、てか15-6歳かそこらで何もわからないクソガキだった僕が、どっちかといえばうるさいロック系に走ってた僕が、それでも、いいと思っ
[鈴木大介・ 肥谷 圭介] ギャングース ~10年の現場取材によって描かれる日本のリアル ~中央政府の問題解決能力がなくなったエリアから、新しい勢力と秩序が生まれてくる 「ギャングース」は、本家のエッセイ822回で紹介したのですが、その際には「キーチVS」という漫画と対比させて書きました。「ギャングース」は、この国のいわゆる貧困児童がアンダーグラウンド世界で生き抜いていく話、「キーチVS」はこの国のヒーローになった若い男が、オーバーグラウンドから真剣に世直しを実行していく話です。キーチの方はまた後で紹介するとして、今回はギャングースのみに焦点を絞ります。 日本のリアル この両者に共通するのは、今の日本の実相がエグいくらいに描かれていることです。人は自分の姿を大体3割増くらいに良い方向に盛って認識するとか言われます。実際よりも美男美女に、カッコよく自分という存在をイメージしている。だから第三
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