教育が荒廃したのは、戦後の民主主義教育によって、個人のことしか考えない人間がたくさん育ったからだという説がある。だから、人権保障は最低限にとどめるべきであり、公共心や国を愛する心を法定してでも教えるべきだという主張である。 しかし、個人のことしか考えなくなるのは、民主主義が原因とは思えない。 近代民主主義は、個人の権利の主張を認める。しかし、これは「自分のことだけを要求していればいい」を意味しない。人権尊重は、他者の人権尊重も求めるからである。民主主義は、「みんなのことを考える社会」をいかに作るかのやり方でもある。民主主義は、公共性に行き着くものである。 利己的な人たちを見ると、たいていは自分の身を守るのに精一杯であるか、目標に取り憑かれているかのどちらかである。 学校で、生徒が身を守るのに精一杯になってしまうのは、教師が独善的か無能であるときである。また、生徒同士のわがまま、無思慮がまか