第2次大戦後に、もの心のついた世代の多くは、歴史は暗黒世界から光明世界へと直進的に前進するのが当たり前だと思い込んでいる。 世界には暗黒と薄明の間を彷徨している国が多くある。軍出身の権力者を打倒したら、その権力の空白を宗教指導者が占め、それを嫌った軍部が指導者を排除して、再び軍を政治の前線に呼び戻す。 4月5日の日曜日、多摩の東京外国語大学・プロメテウスホールへ出かけて「シンポジウム・朝日新聞問題を通して考える――「慰安婦」問題と日本社会・メディア」を拝聴した。500人を収容できる大教室が満員になった。 議論は日本政府の、世界基準から外れてガラパゴス化された人権感覚、戦後例を見ない政治のメディア介入(安倍政権のNHKへのお友達の送り込み、自民党のテレビへの圧力)、秘密保護法、右派マスコミと政権による朝日新聞バッシングなど、予想されるトピックがとりあげられ、予想される観点から論じられた。 そ