(すべての佐藤大輔ファンに捧ぐ) 西暦2035年、 戦艦「津軽」艦長 平賀才人一等海佐は、目の前の光景に困惑していた。 17年前に確認された日本列島上空における時空の穴=ワームホールの出現と、その拡大は、日本列島がこことは別の宇宙に転移するという驚愕の事実を伴って、日本を襲った。 行き先は、不明。内部からわずかに漏れ出した物質からおそらく地球に類似した惑星と推測されたが、それを避ける術はなかった。 破滅を恐れて国外に退避した日本人もいたが、それは少数にとどまり、大半の日本人はその国土と運命を共にした。 転移範囲となった、南は与那国島から北は樺太全土、西は対馬、東は小笠原諸島父島までのうち、樺太および千島列島から住民が退避したこととは好対照であったといえよう。 「転移」に伴う猛烈な磁気嵐と異常気象がおさまってから2年、ようやく日本の安定が成し遂げられつつあった、そんな時期に、