夏休み、中学校の登校日。 寝ぼけ顔で登校した妹のサエが、顔を紅潮させて学校から帰ってきた。 興奮冷めやらぬって感じで僕に言った。 「お兄ちゃん、水は心を持っているんだよ」 唐突な言葉にとまどって、僕が黙っていると、サエが説明した。 「今日さ、道徳の一斉授業が体育館であったの。先生が水の結晶のスライド写真を見せてくれたの。宝石みたいに綺麗な氷の結晶と、ズブズブの汚いのと。綺麗な結晶は『ありがとう』という言葉を聞かせて、汚い方は『ばかやろう』という言葉を聞かせたんだって」 「ふうん・・・で、先生は何て?」 「水は言葉の波動を受けて変化するんですって。人間の体は70%以上、水分だから、水に影響が出たら、人体にも影響が出る。だから、思いやりのある、優しい言葉を使いましょうって」 「オカルトだな~」 「エー、お兄ちゃん信じないの?ほら、これ。配られたプリント。実際の写真を見てよ。水を入れた瓶に、『平