これは、とても、とても悲しい話。村上春樹の生原稿が古書店などに流出、亡くなった編集者・安原顕氏が流していたらしい。世の多くの村上春樹・読者のなかでどのくらいの人が生前の安原さんのことを知っているのか定かではないけれど、通称「ヤスケン」を愛した読者にとって、また、作家になる以前からの知り合いである村上春樹にとっても、大変につらい、淋しい話に違いない。でも、正直なことを言うと、彼の亡くなる前から「彼が生原稿を流出させている」という噂をわたしは聞いていた。そんなわけで、とにかく真相が知りたくて、村上春樹による告発が載った『文藝春秋』(4月号、10日発売)を急いで買いに行ったんだけど…。 <村上春樹>直筆原稿が古書店に大量流出 編集者が無断売却 まず、村上春樹の文章「ある編集者の生と死」に倣って、わたしの安原顕氏に関する記憶を書いておこうと思う。 わたしが自称・スーパーエディター・安原顕氏のことを