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体力トレーニング
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Web版 化学プロセス集成 北海道人造石油物語 化学工学, 12号, 855-857 (2013) 1. はじめに-石炭液化技術の歴史- 石炭を液体の燃料油に転換する技術はドイツ,イギリスで早くから開発されている。その最も容易な方法は石炭を500~600℃で乾留して燃料油やタールを得る低温乾留法である。しかしこの方法は収率が10%と低く,残ったコークスの処理が問題である。 これに対して高圧下で石炭・重油ペーストに水素を添加して,直接液化する方法がベルギウスにより1913年に開発された。この水素添加法は褐炭原料にも適用できるので1930年代に欧州で広く普及した。1940年のドイツの実績でも水素添加法による人造石油は15万トン/年であり,以下のフィッシャー法の7万トン/年を上回っていた。普通は石炭液化とはこの直接法の略称である。日本においても当時の海軍がこの方式に注力していたが,特許の関係お
化学工学,Vol. 73, No. 2, 98 (2009) 調理のコツとして「煮物は冷めるときに味がしみる」と言われていますが,前回の差分法による非定常伝熱解析を応用して,このことをモデル的に検討します。ダイコンの煮物の場合を考えましょう。 ここでは「味がしみる」とは煮汁中のアミノ酸分子が固体のダイコン内部に浸透(物質の拡散)することとします。 先ず「煮る」とはどういう操作かというと,温度を上げてダイコン全体の細胞壁・細胞膜を破壊し,煮汁中のアミノ酸分子の拡散・浸透を容易にする操作です。ダイコンの細胞壁はセルロースとペクチンで固められ, ナマではアミノ酸分子は内部に拡散・浸透できません。加熱することで細胞壁・細胞膜が破壊され,拡散係数が細胞液つまり水と同程度になります。この際,加熱に関係するダイコンの熱伝導度は最初から水と同じですが,一方の拡散係数は「煮る」ことでやっと味がしみることの出
「水が乾く」という現象は日常のことです。水の蒸発についての理科的な説明は 「水面上には水蒸気の層があり,これが風で吹き飛ばされる。すると再度新しい水蒸気の層ができ,この繰り返しで水は蒸発する。」 というものです。しかしこれでは「机の上のこぼれた水は何時間で乾くか」という具体的な質問には答えられません。 水の蒸発現象はいつも見ている身近なものですが,厳密に科学的にとらえるとかなり複雑な現象です。下図は実際の現象に近いコンピュータシミュレーションですが,水蒸気が水面から空気中に徐々に広がる様子が示されています。蒸発速度は上流から下流へ位置によっても違います。 このように水の蒸発現象は流れと拡散の複合現象で,さらに実際にはこれに蒸発にともなう蒸発潜熱消費により伝熱現象が関わります。空気の流れが速いと渦も影響します。つまり水の蒸発といえども科学的に厳密には流れ・拡散・熱移動が関わる複合現象として考
化学工学,Vol. 73, No. 7, 349 (2009) 寒いとき手にハー」と吹きかける時の息は暖かく,熱いものを冷ますときには「フー」と冷たい息を吹きかけます。口の開け具合でどうして息の温度が違うのでしょう? 実際にサーモグラフィー(熱映像カメラ)で手のひらの温度を測定しました。25°Cの空気中では手の表面温度は32.3°Cでしたが,36°Cの空気(息)をかけると33.6°Cに上がり,「暖かく」感じます。同じ36°Cの空気を今度は細い管で強くあてると逆に手の表面温度は30.8°Cに下がってしまいます。これは息を「フー」と強くあてると,冷たく感じることに相当します。 このことよりフーとハーで「息の温度が違う」のではなく,息の温度は同じ36℃でもフーとハーでてのひらで感じる温度(体感温度)が異なるとのだ,いうことがわかります。 一般に, 静止流体中に噴流があると周辺に渦が発生し,流体
化学工学,Vol. 73, No. 12, 669 (2009) 「ハーは暖かくフーは冷たい-流体の混合のはなし-」で息の流れ(噴流)における渦の話をしました。渦は見えないのですが,流れの問題に常に関係しています。手のひら上の小さな渦を,飛行機はなぜ飛べるかという大きいスケールの話につなげてみましょう。 飛行機はエンジンの推力*)で揚力を得て,空気中に浮く(飛ぶ)のですがそれはどのくらいの力で可能となるのでしょう。ジャンボジェット機の質量は333 tonですので,働く重力は3.3 MNです。これをその翼面積(511 m2)で浮かせるには(重力)÷(翼面積)で,単位面積あたり6.4 kN/m2の力が必要です。この力(揚力)は圧力としては6.4 kPaです。つまり翼の下面の圧力が上面よりΔP = 6.4 kPa大きければ,ジャンボジェット機を浮かすことができます。(図1)この圧力は大気圧(1
化学工学,Vol. 74, No. 1, 42 (2010) お洗濯を化学工学の眼で見てみましょう。先ずは洗濯物の乾燥を考えます。 家政学の本1)によると,衣類の乾燥において,乾燥速度(衣類中の水分率の時間変化)は,繊維の種類によらず図1のようです。これをみると,乾燥過程の大部分は一定の速度で水分が減少し,その後水分減少速度が低下します。このように,衣類の乾燥でも化学工学の教科書に書いてある「定率乾燥期間」と「減率乾燥期間」が明瞭にあらわれています。 したがって衣類の乾燥も主として定率乾燥の問題として取り扱ってよいようです。 定率乾燥の特徴は材料表面に常に水があり,その水の温度が「湿球温度」にあることです。湿球温度の原理と具体的計算法は以前(2009年5号)述べました。 その湿球温度を計算するシート(<pche06.xls>)で計算すると,25℃,湿度60%での洗濯物中の水の温度は19.2
ロケットはガスを吹き出すことで推進力を得る。壁に水流があたると壁に静圧以上の力がかかる。このような流れが物体(流体中の固体)に及ぼす力や物体の運動にともなう流体の動きは,巨視的に運動量の法則で理解される。ベルヌーイ式とならんで運動量法則は流体-物体間の作用に関する基礎的問題を理解するために重要である。 力学で運動量とは物体の質量 m と物体の速度 u の積,mu [kg-m/s]である。これが流体の場合,流体密度ρ [kg/m3],検査面を通る流量をQ [m3/s]とすると,時間Δt [s]間に通過する流体の質量が ρQ Δt [kg]であるから,流体の運動量はとなる。 質量m [kg]の物体がはじめu 1 の速度で運動しており、これがt 秒間に他の物体にF [N]の力をおよぼしたことで速度がu 2 に変化するとき, である。これはニュートンの第2法則と言って,物体の運動量の変化速度が物体
複雑な物理現象をより基本的な無次元数の組み合わせ として解析し、現象のスケールを問わない一般性のある結果を得るための手段が相似則(law of similarity)である。無次元数をもとに解析を進めることで実験を少なくできるし、無次元数により結果を整理することで,その結果を化学工学の主な目的であるスケールアップに利用することができる。 流れの場の代表的長さ(管の径や物体の長さ)代表的速度をそれぞれl, U とする。時間の代表をを、圧力の代表をとする。これらの代表量(スケール)により長さ、速度、距離、圧力を無次元化する。(gは重力加速度) これらより、ナビエ-ストークスの式は次式のように無次元変数で表せる。(x方向のみ示す) この式は無次元だから()内の値もまた次元のない量すなわち「無次元数」であり、次のように定義される。 レイノルズ数: フルード数: 上式は無次元であるから、このR
工場ウォッチング Q&A編 掲載:ワンダージャパン 巨大工場総特集号,三才ブックス (2009) Q1 配管むき出しの外観はなぜ? あのパイプや塔の中は数十気圧という高い圧力、数百度という高温であり、外気の気温変動や風雨よりよほど過酷な条件下にあります。プラントの運転・安全のためにはパイプや塔の内部の状態が肝心であり、仮に屋根をつけてプラントの外側の風雨をしのいでもたいして保守上の効果はありません。また、プラントは常に補修・機器交換をしていますので、その容易さや、万一の可燃性物漏洩の際のことも考えて化学工場の多くはパイプ・機器がむき出しです。(もちろん各パイプや装置の外側は保温材が巻いてあります。)化学プラントは機能優先で外見は考慮の外です ね。 Q2 そもそもあの何本も立っている塔はなに? 多くは「蒸留」をおこなっている塔です。化学工場・化学プロセスは例えばアルコールやプラスチック原料な
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化学工学,Vol. 73, No. 9, 443 (2009) ヘリウム入り風船,二酸化炭素(炭酸ガス, CO2)入り風船,普通の空気(息)入り風船,そして空気入り風船を二酸化炭素入りのビニール袋に入れたもののしぼみ具合を比べてみました。CO2, ヘリウム入りは早くしぼみ,空気入りは非常にゆっくりしぼみます。また,二酸化炭素中の風船は直ぐ膨らみ,破裂してしまいました。 参考リンク>でんじろう先生の「二酸化炭素の性質」 この 「風船はなぜしぼむ」に対する普通の答は 「膨らました風船の中の気圧は外の1気圧より大きいため、中の気体は外へ出ようとします。その際に原子・分子の大きさの違いでしぼみやすさが変わってくる」 です。 風船の内部の圧力は確かに大気圧(101 kPa(絶対圧で考えます))より高く,仮に111 kPaとします。普通の答である「膨らました風船の中の気圧は外の1気圧より大きいため、
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