1)定義 同一性保持権とは、著作物やその題号(タイトル)について、著作者の意に反して、これらの改変を受けない権利のことをいいます(20条1項)。 2)趣旨 同一性保持権の趣旨は、著作物が著作者の心情を注いで作成されたものであるため、意に沿わない改変をされた場合に受ける精神的苦痛から、著作者を救済することにあります。これにより、著作者の主観的な利益であるこだわりや愛着などを保護しているものといえます。 また、同一性保持権が題号にまで及ぶのは、題号が著作物と一体をなすものであり、区別すべきではないからです。題号は一般的に著作物として保護されないのですが(2-1-2.2)参照)、他人が著作者に無断でこれを改変すると、同一性保持権の侵害にあたる場合があります。 著作者人格権侵害については、著作財産権が侵害された場合に比して、精神的損害が発生したことによる慰謝料請求が認められやすいため、原告が著作者