拙著『日本社会主義思想史序説―明治国家への対抗構想』(日本評論社、2021年)について、岡崎一氏(元東京都立大学教授)による書評が『初期社会主義研究』(30号、2022年3月)に掲載された、との知らせを受けた。 私は中国にいるので、当該号はしばらく入手できない。が、幸い同誌編集部の方が最終校正刷りのPDFファイルを送ってくださったので、書評を閲読することができた。 拙著を「初期社会主義研究に果敢に挑戦する刺激的好著」とする岡崎氏の評言はありがたく、当該分野における氏の長年の研究に基づく有益な指摘は尊重したい。ただし、氏の見解の中には、首をひねらざるを得ないもの、研究者としてとうてい承服できないものも少なくない。以下、岡崎氏の書評のうち疑問を感じる個所について、私からの応答を記しておきたい(なお『初期社会主義研究』30号の引用ページ数は最終校正刷りによる)。 私は拙著の序章4頁で、城多虎雄「