本とラジオの暮らしに何の文句もないのだが、ときに演劇とかライブであるとかそういった場所へのあこがれがふつりとわいてくることがある。 大きめの箱の中で空気がそよそよとゆらぐような気持ちを味わいたいときがある、と言ってもいい。 大自然の風に吹かれたいとか人智を圧倒する景色の中に埋もれたいという欲望もないではないが、部屋でひとりでいる孤独と、地球のでこぼこの中にひとりでいる孤独と、どちらか両極端しか楽しめないというのはちょっとつまらない。 その中間の孤独に対する思いがときどき強まる。 人を隠すなら人の中。 人がほどよくいる場所に紛れ込み、まわりのため息が聞こえる場所で自分もほうっと心をなでおろしてみたい。本でもラジオでもなく、グランドキャニオンでもグレートバリアリーフでもなく、劇場とかライブハウスに紛れ込んで静かにうつむいていたい。 よく言われることだが、以上のような欲望を満たそうと思うと東京と