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おそらくは、どの宗教にもそれぞれに讃美や感謝という要素はあるとは思うのだけれど、キリスト教において私がいつも良いなぁと思うところは、讃美歌や讃美が存在しているところである。 日本の神社やお寺にも、御礼参りや感謝のお参りということももちろん存在しており、多くのそうしている人もいるとは知っているが、圧倒的に大半は、感謝や御礼や讃美よりも、まずはそれぞれの御願いごとや祈願のウェイトが高いと思う。 これはもちろん、キリスト教もそうであるかもしれない。 キリスト教においても、各人、それぞれ実に勝手な願いごとを私をはじめとしてしょっちゅう神様にしている人はいるとは思うが、そうだとしても、讃美歌をうたったり讃美や感謝の祈りをささげる比重が、キリスト教の場合は、それなりに多くきちんとビルトインされているように思う。 聖書の内容からして、詩篇には讃美の詩が実に多く、苦難や悲痛のどん底からの救いを求める詩も多
「南無八幡大菩薩」という名号は、中世には盛んに唱えられたものの、神仏分離以後はあまり言われなくなったようである。 『八幡愚童訓乙本』の中に、「名号御事」として「南無八幡大菩薩」と唱える功徳について説明した箇所があり、タイピングしてみた。 中世においては、後生のことは南無阿弥陀仏、現世のことは南無八幡大菩薩と称えて、現当二世の安楽を願う信仰が流行っていたようである。 (原文はカタカナのをひらがなに変え、若干の漢字を読みやすく送り仮名を付けたりひらがなに直している。) 「八幡愚童訓乙本」 名号御事。 右八幡の御名は、人倫の詞よりも出でずして、まさしく御詫宣に、西拘屋(※シルクロード西方の地域、拘弥とも。)に八幡国という国あり。その所に我菩薩にてありしによりて、また母堂とうの君の八人の王子を産みたまいし時、足八ある幡に化して見へ玉へり。それによりていうぞとあり。 次に開成皇子には、「得道来不動法
ザメンホフ通り―エスペラントとホロコースト 作者: ロマンドブジンスキ,ルイ・クリストフザレスキ=ザメンホフ,青山徹,中村正美,小林司出版社/メーカー: 原書房発売日: 2005/01メディア: 単行本 クリック: 8回この商品を含むブログ (4件) を見る この本は、エスペラント語の創始者のザメンホフのお孫さんの回想録である。 祖父のザメンホフについての話もすこし出てきて、それも面白かったのだけれど、何よりもこの方自身の数奇な人生と体験談がとても感銘深く、とても胸打たれ、面白かった。 ザレスキ・ザメンホフは、ザメンホフの孫としてワルシャワに生まれ育ち、幸福な家庭で、幼少時より世界のエスペラント大会などにも出て、とても幸福な幼少時代を過ごしたらしい。 それが、14歳の時に第二次大戦が起こったことにより、一転して筆舌に尽しがたい辛酸をなめることになる。 父や叔母たちはナチスに殺され、自身もゲ
(2009年11月記す) 石川三四郎の「マフノの農民運動」を読んだ。 面白かった。 この本は、主にアルシノフというマフノの同志だった人の本に依拠しているらしいが、短くマフノ主義運動の顛末がまとめてあって、なかなか面白かった。 マフノはウクライナの貧しい百姓の家に生まれ、鍛冶工なったが、少年の時に1905年のロシアの革命運動に触れて革命を志し、1908年に逮捕された。 それから獄中で苦しい生活をしながら自分の思想と意志を鍛錬し、1917年にロシア革命が起こって釈放されると、郷里のウクライナに帰還。 地主や富豪の土地や財産を平等に小作人たちに分配し、自発的な農業共同体や自由区をつくる「マフノ主義運動」を推進して、ウクライナの民衆に絶大な支持を得た。 その後、ウクライナではドイツ・オーストリア軍に後押しされた地主やブルジョワの反動があったが、マフノは百姓たちを集めたパルチザンを結成、数や装備で圧
ある方とのネット上のやりとりから、菅さんのインタビューを見直していたところ、 http://www.cataloghouse.co.jp/2012spring/yomimono/kannaoto/index1.html 菅さんの写真の後ろの軸が気になった。 ちょっと調べたところ、 「膽欲大而心欲小智欲圓而行欲方」 という文字の書らしい。 『旧唐書』の巻百九十一、遜思邈伝の中の文言らしい。 書き下すと、 「胆は大ならんことを欲して、心は小ならんことを欲す。智は円ならんことを欲して、行ないは方ならんことを欲す。」 つまり、 「度胸は大胆で、注意は細心でありたい。智慧は円満で、行動は真っ直ぐでありたい。」 という意味だろう。 善いことばだなぁ。
ETV特集で、「埋もれた声 大逆事件から百年」という番組があっていた。 http://www.nhk.or.jp/etv21c/backnum/index.html 大逆事件で処刑された人々の中の、特に和歌山の人々とその遺族の方について特集してあった。 昨年や今年、たまたま、石川三四郎や堺利彦や坂本清馬の回想録を読んでいたのだけれど、大逆事件は生き残った人々の心にも本当に深い傷と衝撃を与えたものだったと思う。 番組で映った、大石誠之助の顔写真には、本当に胸を打たれた。 なんといえばいいのだろう、聖人のような、清らかなやさしそうな顔で、人間の生き方は顔に現れることを考えれば、本当に立派な人だったのだろう。 大石は、アメリカやインドに留学した経験もある医師で、貧しい人々からは診療代をとらず、地域の医療や貧困問題に取り組んでいたそうである。 いつか、大石誠之助のお墓参りに行きたいと思った。 あと
枝野幸男氏が最近刊行した『枝野ビジョン』(文春新書、2021年)を読んで、政策には違和感がなく共感するところも多いものの、第一章の宗教と歴史についての箇所がなんとも疑問に思わざるを得なかった。 中には、一章は枝葉末節であり、しかも歴史学者が書く著作ではないのだから雑でも良い、文句を言うな、という立場の人もあろう。 しかし、宗教と歴史は、いわば魂であり、根幹である。 今は良い枝や葉も、根や幹が腐っていたり曲がっていれば、いずれ長期的にはゆがみ腐るのではないかと心配するのは当然と思う。 ゆえに、『枝野ビジョン』第一章の宗教と歴史観について、問題と思われるところを指摘したい。 枝野氏が『枝野ビジョン』第一章で主張している主な内容は、日本は多神教文明であり、多神教だから寛容である、ということと、水田稲作を軸とした村落共同体だったために合意が重視され支え合いの精神が強く存在し、この水田稲作村落共同体
今日から、できるだけちょっとずつ、『福翁百話』の現代語訳をしていこうかと思う。 べつに原文も難しくはないのだけれど、いちおう現代人にはちょっと古めかしい明治の言葉づかいの部分もあるので、現代語訳にした方がなじみやすくはなると思われる。 何冊か現代語訳も出版されているようだけれど、ネット上にはなかったようなので、私がちょっとずつ現代語訳をつくってWEB上に公開することも、福沢諭吉の面白さに目覚めるきっかけにもしなるとすれば、無駄ではなくてそれなりにそこそこ意味のある作業にはなりうるかもしれないと思う。 何より、自分自身、あらためて面白い。 現代語私訳『福翁百話』 第一章「宇宙」 第一章 「宇宙」(1) 宇宙は誰かによって造られたものでしょうか。あるいは自然にできたものなのでしょうか。 このことは、さわがしくさまざまな宗教が議論していることです。 その議論はさておき、私は、ただこの今の宇宙をあ
牧場の少女カトリ 作者: アウニ・ヌオリワーラ,森本ヤス子出版社/メーカー: いのちのことば社発売日: 1984/01/01メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (2件) を見る 私が小さい頃、『牧場の少女カトリ』というアニメが世界名作劇場であっていた。 なんとなく覚えているのだが、さっぱりストーリーが思い出せない。 というわけで、その原作のこの本を探して読んでみた。 読み終わった感想は、とても良い作品なのだけれど、この作品をなんと言えばいいのだろう。 最後まで読むと感動するのだが、かといってそのストーリーを、原作を読んでもうまく説明できない。 というのは、児童文学によくあるような波瀾万丈のストーリーがあるというわけでなく、淡々と二十世紀初頭ぐらいのフィンランドの田舎の日常生活が描かれるだけの作品だからである。 『小公子』や『小公女』が模範的な主人公の波瀾万丈のストーリ
内村鑑三全集〈26〉1921 (1982年) 作者: 内村鑑三出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1982/10メディア: ?この商品を含むブログ (1件) を見る この巻には内村鑑三の『ロマ書の研究』が収録されている。 新約聖書の中のロマ書、つまりパウロの『ローマの信徒への手紙』について、内村鑑三が解説している本なのだけれど、本当にすごかった。 ロマ書はもちろん以前何度か読んだことがあったのだけれど、この内村の解説書を読んで、はじめて目からウロコが落ちた気がする。 ロマ書は難解で、聖書を全部読んだ時に最も難しいという印象を私は受けた。 実際そうなのだろうけれど、内村の解説のおかげで、本当に、はじめてその素晴らしさがようやく少しわかってきた気がする。 ロマ書は聖書の肝と言っても良く、これがわかれば、キリスト教のエッセンスがわかるのだろう。 逆に、ロマ書がわからないと、なかなかキリスト教と
ユダヤ教に「アミダーの祈り」(十八祈祷文)というものがある。 ユダヤ人は日々にこれを唱えるそうである。 現在は全部で十九の節があるが、長い間十八節からできていて、あとで第十九節が付け加わったために、十八祈祷文と呼ばれるそうである。 内容は、祈祷文として非常に美しい素晴らしいものだと思う。 よく旧約の神は怒りの神で新約の神は愛の神だとキリスト教の側からは言われるが、アミダーの祈りにおいて描かれる神のイメージはとても優しい慈愛に満ちた神のイメージだと思う。 私ははじめて、ハロルド・クシュナー『ユダヤ人の生き方―ラビが語る「知恵の民」の世界』(松宮克昌訳、創元社)の中に収録されているのを読み、とても感銘を受けた。 ユダヤ人は世界の全人口の0.2%ぐらいだが、ノーベル賞受賞者は二十%以上を占めるという。 あの優秀さの秘訣は、ひょっとしたら、日々に唱えるこういう祈祷文にあるのかもしれない。 善い言葉
箴言を読んでいて、すばらしい言葉があった。 Every word of God is flawless; he is a shield to those who take refuge in him. (Proverbs 30.5) 神の言葉はみな真実である、 神は彼に寄り頼む者の盾である。 (箴言 第三十章 第五節 口語訳) 神の言われることはすべて清い。 身を寄せればそれは盾となる。 (箴言 第三十章 第五節 新共同訳) 神のすべての言葉は試され清らかにされている、 神に身を避ける者にとってその言葉こそは盾である。 (箴言 第三十章 第五節 自分訳) コル・イムラット・エローハ・ツェルファー・マゲン・フー・ラホスィーム・ボー 本当にそのとおりだと思う。 この神の言葉というのは、聖書の言葉のことだろう。 それは、長年の歴史の中で試され、清められてきた、不滅の言葉なのだと思う。 そして、そ
無教会主義キリスト教について語ることができるほどのものは自分には何もないのだけれど、自分自身の思考の整理のために若干いま思っていることを書き綴ってみたい。 無教会主義キリスト教(以下「無教会」と略す)とは、日本独特のキリスト教の形態および活動で、内村鑑三が明治に始めたものである。 無教会の集会というのが日本のあちこちに、小規模ながら今も細々と存在していて、教会ではないとしても集会は大切にするので、単なる個人主義ではない。 つまり、言葉の本来の意味での教会を指す「エクレシア」は大切にしているが、カトリックやプロテスタントなどの教会組織は、他人が信じる分には尊重するしその中に尊いものがあることも認めるが、自分自身の救いには必ずしも必要ではない、ということである。 つまり、カトリックの七つの秘跡やプロテスタントの二つの秘跡を、救いのためには必ずしも必要とはみなさず、聖書の学びを通して出会う生ける
カバラー心理学―ユダヤ教神秘主義入門 作者: エドワードホフマン,村本詔司,今西康子出版社/メーカー: 人文書院発売日: 2006/08/01メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る ユダヤ神秘主義、つまりカバラは、現代の心理学にも有益な内容を多く含む。 という観点から書かれた本。 この本によれば、カバラは、宇宙は意味のある全体であり、相互に影響しあっているものととらえている。 これは、現代のホーリズムなどの、トランスパーソナル心理学の知見と一致している。 さらに、共時性や、人生における意味のある符合を重視するという点で、ユング心理学とも相通じる。 こういったことを考えると、カバラは非常に現代人に役立つ、新鮮な内容に満ちているとのこと。 「上の如く、下も然り」という言葉が、カバラのゾハールに書かれている。 これは、目に見えない広大なネットワークがこの宇宙にはあるということ。
長崎などの九州の地域に、「サバト寄り」(あるいは「さばと寄り」)という風習が残っている。 かつてはもっと広範囲に存在していたそうだ。 http://www.seibonokishi-sha.or.jp/catholicgraph/197103.htm https://sites.google.com/site/tomaozaki/Home/toumei-tusin/tu201009 http://ameblo.jp/33744/entry-11115629331.html サバトとは、土曜日のことで、安息日を意味する。 かくれ切支丹の地域とこの風習が重なることから、戦国時代に伝わったキリスト教の影響とも言われているが、そもそもカトリックにもプロテスタントにも、土曜日を安息日とするような風習はない。 土曜日をシャハットとし、安息日にするのは、ユダヤ教である。 このため、ラビ・トケイヤーの『ユ
昭和天皇独白録 (文春文庫) 作者: 寺崎英成,マリコ・テラサキ・ミラー出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 1995/07/01メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 29回この商品を含むブログ (34件) を見る昭和天皇独白録・寺崎英成御用掛日記 作者: 寺崎英成,マリコ・テラサキミラー出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 1991/03メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (2件) を見る 昭和天皇が敗戦の直後、数人の側近たちの質問に答えて語った、昭和初期から敗戦までの回顧談。 この存在は前から知っていたのだけれど、しっかり読んだのは今回がはじめて。 極めて興味深い、貴重な記録だった。 あの大戦を、天皇という立場から見た時には、こう見えていたのか。 そのことがリアルに伝わってくる不思議な記録である。 全体を通して印象的なのは、あの熱狂の時代の中心にいながら、昭和
塩狩峠 (新潮文庫) 作者: 三浦綾子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1973/05/29メディア: 文庫購入: 41人 クリック: 254回この商品を含むブログ (178件) を見る塩狩峠 作者: 三浦綾子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2012/01/11メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る塩狩峠 作者: 三浦綾子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1968/09/01メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 213回この商品を含むブログ (11件) を見る 三浦綾子の『塩狩峠』は、高校一年の時に課題図書で感想文を書かなくてはいけなくて、クラス全員で読まされた。 今回、とてつもなくひさしぶりに読んだ。 二十年ぶりぐらいである。 ほとんど忘れていたので、とても新鮮に感動した。 前に読んだ時は、ラストの印象ばかりが強かったのだけれど、読み直すと、主人公の心の成長や
「ハティクヴァ」 コーロード・バレーヴァヴ・ペーニーマー ネーフェシ・イェウーディ・ホーミーヤー ファーテー・ミーズラー・カーディーマー アーイン・レツィーヨン・ツォーフィーヤー オードラーヴダー・ティクヴァーテーヌ ハーティクヴァー・バッシノーッ・アルパーイム リーヒオッタム・ホーフシ・ベーアーツェーヌ イェーレッツィーヨン・イェルシャラーイム 心の中に、その中に、 ユダヤの魂が恋い焦がれる限り、 前に、東の果てに、 まなざしはシオンにそそがれる。 私たちの希望は今も失われることはない。 二千年の希望が(今も失われることはない。) 私たちの地において、 シオンの地とエルサレムにおいて、 自由な民となることに。
タルムード入門〈1〉 作者: A.コーヘン,Abraham Cohen,村岡崇光出版社/メーカー: 教文館発売日: 1998/07メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 11回この商品を含むブログ (6件) を見る タルムードはユダヤ教の聖典で、膨大な量がある。 ある方から、そのタルムードの英訳の全巻のデータをいただいたので、読もうと思いつつも、いきなりではなかなか歯が立たないので、本書を読み始めた。 とてもわかりやすくタルムードの全体像を解説してあり、ためになった。 本書はまだ第一巻なので、続きも読みたい。 タルムードとは、トーラーの解説書である。 トーラーとは、聖書の中の創世記・出エジプト記・レビ記・民数記・申命記の五つ、および口伝でユダヤの民にモーゼから伝えられた神の教えである。 タルムードの中には、ハラハーという法解釈とアガダーという説話の部分があり、それぞれを通じて独自の思想
君たちはどう生きるか (岩波文庫) 作者: 吉野源三郎出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1982/11/16メディア: 文庫購入: 54人 クリック: 631回この商品を含むブログ (169件) を見る君たちはどう生きるか (ワイド版 岩波文庫) 作者: 吉野源三郎出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2006/04/14メディア: 単行本 クリック: 9回この商品を含むブログ (12件) を見る 今日、吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』を読み終わった。 この本、私が高校の時にうちの母が買ってきてくれた。 あんまり母が私のために本を選んで買ってくれるということはめったになくて、たいていは私が選んで自分で買うのに任せていたので、今考えれば珍しいことだったと思う。 それで、一応少しは読んだ記憶はあるのだけれど、どうもあんまりしっかり読まず、ずっと忘れていた。 ただ、今回読み直していて、と
怒りについて 他二篇 (岩波文庫) 作者: セネカ,兼利琢也出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2008/12/16メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 22回この商品を含むブログ (14件) を見る 今日、セネカの『怒りについて』を読み終わった。 とても考えさせられる、良い本だった。 セネカが言うには、怒りは何の役にも立たず、大切なのは理性と勇気とのこと。 怒らずに、叱る。 怒らずに、報復する。 怒らずに、正す。 セネカは、そうしたことを説く。 怒りは自らにも他にも害をもたらすだけで、賢者は怒らずに、理性でもってなすべきことをなすだけ。 「処罰は過去でなく未来を見据えたものでなければならない。それは怒りではなく予防である。」(180頁) これらのメッセージには、とても感心させられた。 古代ローマ人の真骨頂だと思う。 その点、とかく日本人は、頭に血が上りやすい、未熟なものかもしれない
フランス・ルネサンスの人々 (岩波文庫) 作者: 渡辺一夫出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1992/01/16メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 11回この商品を含むブログ (6件) を見る なにせ面白いです。 十六世紀ごろのフランスの、有名、ないしあんまりなじみのない人物の評伝ですが、読みやすいし、かつ、人間や歴史に深い興味と味わいを覚えます。 狂信や熱狂を越えて、正気や寛容を保つことが、いかにむずかしいか。 今もって、二十一世紀の人類は、十六世紀以上にはべつに寛容という点では賢くなっていないのではないか。 そんなことを、つくづく考えさせられます。 ユマニスムの、生き生きした、人間の息吹にも触れることができます。 オススメの一冊!
1つぶのおこめ―さんすうのむかしばなし 作者: デミ,Demi,さくまゆみこ出版社/メーカー: 光村教育図書発売日: 2009/10/01メディア: ハードカバー購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (8件) を見る とても良い絵本だった。 あるわがままな王様に、ある小さな女の子が、落ちていたお米を拾って渡したので、願い事をかなえようと言われる。 それで、最初の日に一粒のお米を、それから毎日前の日の二倍のお米を、三十日間ください、と願う。 王様は、なんだそれぐらいならば良い、と約束する。 すると…。 一の三十乗は、五億三千六百八十七万九百十二。 最初の日から合計すると、十億七千三百名十四万一千八百二十三粒。 それまで庶民からお米を巻き上げて一人だけ蔵にしまいこんでいた王様の蔵は、完全に空っぽになるぐらい、たくさんの米を女の子はもらうことになった。 生き生きとわかりやすく、乗数
合衆国憲法のできるまで 作者: ジーンフリッツ,トミーデ・パオラ,Jean Fritz,Tomie DePaola,冨永星,阿川尚之出版社/メーカー: あすなろ書房発売日: 2002/04メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログを見る 子供むけに書かれた本なのだけれど、とても面白かった。 独立戦争後、十三の「邦」(state)をひとつの国にどうまとめるか。 そのために、四か月も夏の暑い盛りを挟んで延々と激しく、深刻な、深い議論をした55人(からだんだん人数は減って42人になったが)の人々の様子が、ユーモラスに、生き生きと描かれていた。 会議が難航すると、議長のワシントンは、独立戦争の時の最も苦しい戦場と同じ厳しい表情でただ黙っていたらしい。 一方、マディソンは、終始しゃべり続け、他の発言のメモを取り続け、憲法制定のために八面六臂の活躍をしたようである。 フランクリンが馬車だ
数奇なる奴隷の半生―フレデリック・ダグラス自伝 (りぶらりあ選書) 作者: フレデリックダグラス,Frederick Douglass,岡田誠一出版社/メーカー: 法政大学出版局発売日: 1993/09/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る フレデリック・ダグラスの自伝「数奇なる奴隷の半生」(原題は”An American Slave”)を読み終わった。 フレデリック・ダグラスは、十九世紀のアメリカに黒人奴隷として生れ、艱難辛苦ののちに独学で文字を身につけ、何度かの失敗のあとについに奴隷州から自由州への逃亡に成功し、そののちはアボリショニスト(黒人奴隷制廃止運動)の中心として活躍した人物。 この自伝では、生い立ちから自由州への逃亡に成功したところまでが描かれている。 南北戦争よりも前の時期の南部における奴隷制のひどさは、正直、想像を絶し
歴史物語 アフリカ系アメリカ人 (朝日選書) 作者: 猿谷要出版社/メーカー: 朝日新聞社発売日: 2000/01メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログを見る アフリカ系アメリカ人、つまりアメリカの黒人の歴史の本。 はじめて知るエピソードがたくさんあった。 あたかも大きな河の流れのような、歴史の大叙事詩を読んだ気がした。 大航海時代の始まりとともに、アフリカからは多くの人が奴隷として連れ去られ、新大陸でタバコや綿花の生産のために働かされた。 世界史の教科書では、大航海時代の先駆者として描かれるポルトガルのエンリケ航海王子は、勝手にアフリカ大陸のかなりの部分をポルトガルの領土だとローマ教皇との間で取り決めて、そのうえ毎年アフリカに出かけては七百人もの黒人奴隷を連れて帰ったという。 その後、こうした奴隷の輸送は、ずっとエスカレートしていった。 十六世紀から十九世紀半ばのリンカ
ユーカリの木の下で (中沢啓治平和マンガシリーズ 3) 作者: 中沢啓治出版社/メーカー: 汐文社発売日: 1986/04/01メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (1件) を見る 中沢啓治平和マンガ作品集 第11巻 ユーカリの木の下で 作者: 中沢啓治出版社/メーカー: ほるぷ出版発売日: 2012/04/01メディア: コミックこの商品を含むブログ (1件) を見る とても良い作品だった。 広島で被爆したことを長く自分の子どもに語らずにいた主人公。 母が亡くなり、二十五年ぶりに広島に戻り、三十二年前の出来事を息子に語る。 当時、軍国少年だった主人公は、学校でもそのように教えられ、ガダルカナルで戦死した父の仇を討とうと思い、無邪気に日本の正義を信じていた。 しかし、中国大陸で二百人以上を殺したという町内の退役軍人の自慢話を聴いたり、同級生の朝鮮人の子どもの話を聴くう
モーゼの十戒は、あまりにも有名で、なんとなく知っているつもりになりがちである。 あまりその内的な構造はわからなく、なんとなく箇条書きに禁止事項がリストアップされているものと思っていた。 最近、ジョナサン・マゴネットさんというユダヤ教のラビの方の本の中に、十戒の解説があって、それを読んで、はじめて目からウロコで、十戒の本当の意味と内的な構造がわかった。 やや不正確かもしれないが、以下にその内容をまとめる。 十戒は、簡単に言えば、前から四番目と五番目の、安息日と父母を敬う規定を中軸にして、前三つが神について、後五つが人間についての規定となっている。 神の世界創造の七日間をそのつど想起する安息日と、自分をこの世に産んでくれた親の恩を思う父母を敬う規定は、「時」と「場所」の恵みを思い出して生きることを示している。 その二つを中軸にして、前三つと後五つの規定で、神と自分以外の人間を自分の道具にしてし
ギリシア教父の神秘主義 キリスト教神秘主義著作集 <1> 作者: 谷隆一郎,熊田陽一郎出版社/メーカー: 教文館発売日: 1992/11メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る もうかれこれ十数年前、たしか二十歳の頃、たまたま読んでいた西欧神秘主義の概説書に、ニュッサのグレゴリオスの『モーセの生涯』という本が紹介されていて、いつか読みたいと思っていた。 その解説によれば、モーセの旅路を霊的に解釈したもの、だとのこと。 最近、今年に入ってから、再び聖書にはまって、出エジプト記や申命記も何度となく読んだ。 関連の解説書なども何冊か読んだ。 それで、ふとそのことを思いだし、いつか読みたいとかねて思っていた。 と、つい先日、何の気なしに図書館の本棚で手にとってぱらっとめくったこの本に、なんとこの『モーセの生涯』が収録されていた。 驚いて読み始めたところ、想像以上に
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