「ボルティモア事件」について何か書きたいと思う人は、前回のブログに引いたDaniel J Kevles の著書: 『THE BALTIMORE CASE A Trial of Politics, Science, and Character』(1998) をお読み下さい。副題に「政治、科学、登場人物の試練」とあるのは、この科学論文捏造事件の本質を性格づけるのに真に適切です。先ずはポリティクス、次にサイエンス、そしてキャラクター、この順序にも意味が込められています。重要な学問分野であるべき科学知識社会学(SSK, Sociology of Scientific Knowledge)のまことに不幸な迷走については、前回のブログでも取り上げました。「小保方問題」は医療産業用の科学知識の生産にかかわる社会学的あるいは政治経済動力学的な対象として扱われるべき問題であり、「ボルティモア事件」ではっ