は じ め に 軍民・日米あわせ約20万人もの犠牲者を出した沖縄戦。壮絶な地上戦の惨劇はいまなお語り継がれているが、沖縄戦は地上戦のみが戦われたのではない。沖縄洋上の米機動部隊や輸送船を狙い、南九州や台湾から多くの特攻機が出撃し、体当たり攻撃による航空特攻作戦が展開された。また海上特攻作戦として、戦艦大和を旗艦とする第2艦隊(第1遊撃部隊)が出撃し、鹿児島県坊の岬沖にて撃沈されたことはよく知られている。 航行試験中の戦艦大和(昭和20年):アジア歴史資料センターより ところで近年、この「大和」の出撃に関して、海軍が沖縄県民への補給として民生品(歯ブラシ・歯磨き50万人分、美顔クリーム25万人分、女性用生理用品15万人分)を調達し、「大和」がこれを積載して沖縄に出撃したという話がまことしやかにささやかれている。 「鉄の暴風雨」といわれるほどの米軍の攻撃により、何もかもが文字どおり「消滅」した