家に帰るまでが遠足という校長先生の名言は誰でも知っていると思いますが、売れて読まれて話題になって語られ批評されて議論されるまでが村上作品なのだという気がします。 日本文学ひとり勝ち、といっても過言ではない売れ行きですね。 前日に「海賊と呼ばれた男」で本屋大賞を受賞した百田尚樹さんや、前日にデビュー作「惜日のアリス」を上梓された坂上秋成さんが、こんな大作と発売日がバッティングしたことを嘆いておられましたが、あらすじすら公開されていない作品だというのに発売時点で50万部が発行されているそうです。 そう、発売の時点で、内容はまったく公開されていないのです。 本文一行目で分かる主人公の苗字の読みですら、手にとって読むまでは知らなかったという人がほとんどではないでしょうか。テレビなどでは「たざき」と正確に読まれていましたが、読むまで「たさき」だと思っていた人も多かったでしょう。 本来、小説の読書とは