昨年、1953年8月28日に日本で最初のテレビCMが放送されたことを記念した「テレビCMの日」が制定された。その53年の歴史の中で、1960年代から70年代にかけて、日本のテレビCMの創成期を切り開いた1人のCMディレクター・・・杉山登志。 資生堂の口紅やサンオイル、「のんびり行こうよ〜俺たちは」の曲とともに知られるモービル石油のCMなど、彼の作り上げるCMはそのどれもが単なる商品広告以上のものとして視聴者の記憶に残り、カンヌ国際広告賞銀賞受賞など、天才の名を欲しいままにした時代の寵児だった。しかし、瑞々しい作品を作り続け、時代を鮮烈に生き抜いた彼は、1973年、37歳の若さで自らの命を絶つ。ある一文を残して・・・。 リッチでないのに リッチな世界などわかりません ハッピーでないのに ハッピーな世界などえがけません 「夢」がないのに 「夢」をうることなどは・・・とても 嘘をついても