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集英社新書から拙著『「イスラム国」はテロの元凶ではない グローバル・ジハードという幻想 』が12月16日に発売されました。 ジャーナリストとして<「イスラム国」のリアル>を探ったものです。 巻末の「おわりに」を引用します。 -------------------------------- 私はこれまで新聞社の中東特派員として中東取材をもとに、イラク戦争やエジプト革命、イスラム社会などについて中東に関するルポを出版してきた。本書はルポではないが、中東を歩いてきたジャーナリストとしての視点で、現在、世界を震撼させている「イスラム国」について考察したものである。 「イスラム国」と言えば、その暴力的で残忍な行動や、過激で厳格な思想など異常な側面ばかりが注目される。まるで現実世界から切り離されたカルト集団のような扱いである。しかし、「イスラム国」が単なる過激思想の集団であれば、これほどの問題とはなら
ニューズウィーク日本版のコラムで<映画『オマールの壁』が映すもの>という文章を2回に分けて書いた。人間ドラマとしての読み解きやパレスチナ問題との意味合いの解説である。しかし、映画を見終わって残る謎については、コラムでは書かないことにした。謎とは、なぜ、主人公のオマールはイスラエルの秘密警察のラミ捜査官を銃で撃ったのか、という結末にある。コラムは解説にとどめ、謎解きは私の個人ホームページで書くことにした。この謎解き部分は、ぜひ、映画を見てから読んでいただきたい。その方が映画の深さと面白さをより理解できると思う。 ※ ※ 映画を見た人には分かるだろうが、オマールをだまして、恋人のナディアを奪って結婚したのは、幼馴染のアムジャドである。アムジャドは「ナディアを妊娠させた」と嘘をついた。パレスチナでは未婚の女性に子供ができることがあれば、家の恥として家族に殺されかねな
●シリア出国 内戦のシリアから欧州を目指す難民の流れが止らない。密航者は政権軍の攻撃を受ける反政府勢力支配地域だけでなく、ダマスカスなど政権支配下からも多くの人々が出国し、欧州を目指す。密航には様々な方法やルートがあるが、私は今春、ドイツにたどり着いて難民申請をした30代前半のシリア人のムハンマドさんに密航の経験談を聞いた。「ムハンマド」は本名だが、イスラム教徒のなかでは最も数が多い名前で、特定は困難だ。最初の試みだった2013年春には失敗して、一度はシリアに戻り、その後、同夏に2度目の試みで、5カ月かかってドイツにたどり着いた。トルコからすべて陸路で、国境を超え、途中で警察に逮捕され、刑務所に収監されるなどしたためである。 【写真右】シリアから密航しドイツに到着したムハンマドさん。撮影場所は、ドイツ政府が与えた彼のアパートで=川上撮影 ムハンマドさんはダマスカス南郊で電気関係の仕事をして
イラクの首都バグダッドで7日、ムスタファ・カディミ首相の住宅が爆弾を積んだドローン(無人飛行機)攻撃を受けた。カディミ氏にけがはなく、首相府は「暗殺は失敗に終わった」と発表した。攻撃の犯行声明は出ていないが、攻撃の背景にはカディミ首相と、イランの支援を <初出:WEBRONZA 2017年01月12日付> イスラム世界の映画を集めた「イスラーム映画祭2」が1月14日から20日まで東京・ユーロスペース、21日から27日まで名古屋シネマテーク、3月25日から31日まで神戸・元町映画館で、それぞ 先週末、長崎県佐世保市にある長崎県立大学で新聞会主催「シリア内戦と日本の関わり」という講演をしました。 佐世保は私が高校時代を過ごした町で、私の亡母の故郷でもあります。母は昭和6年生まれで、生前、昭和20年に13歳の時に体験した佐世保空襲の下で逃げ回った シリアの反体制地域で人命救助にあたる市民組織
(2014/10/29 asahi中東マガジン掲載)イラクとシリアにまたがる「イスラム国」に対する米国による空爆が始まって1カ月を過ぎたが、長期化は必至という報道が目立っている。欧州諸国による空爆への支援も、足並みは乱れ、さほどの本気度はない。しかし、欧米の論調をみて不思議に思うのは、オバマ大統領が<「イスラム国」壊滅>と言ったことを、欧米や日本のメディアがまともに取り上げていることだ。 写真:「イスラム国」の若者たちが登場するユーチュブにアップされた動画の一コマ 世界は、その直前の今年6月から8月までの51日間、イスラエルによる激しいガザ攻撃の映像を連日見ていたのではなかったのだろうかと思う。空爆や砲撃でパレスチナ人2200人以上が死に、その8割が民間人だったが、その時にはガザを支配しているイスラム組織ハマスの壊滅など全く話にものぼらなかったし、イスラエルでさえもそのような目標は掲げなか
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