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災害への備え
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高橋幸宏、ムーンライダーズ、清水靖晃他が参加した伝説のコンサートが40年の時を超えてリリース! 1982年にリリースされたピエール・バルーの『ル・ポレン(花粉)』というアルバムをご存知だろうか? 加藤和彦と高橋幸宏、清水靖晃が書き下ろし曲を提供、高橋、清水、鈴木慶一等が編曲、主にムーンライダーズやマライアが演奏を務めた日本制作盤だ。 その『ル・ポレン(花粉)』のリリースから約一ヶ月後の82年10月15日、アルバムの発売を記念したコンサートが東京芝郵便貯金ホールで行われた。このときのライヴ音源はずっと行方不明とされてきたが、このほどアルバムとコンサート両方のプロデューサーである立川直樹の事務所で奇跡的に発見され、『ル・ポレン~伝説のライヴ1982』として初めて陽の目を見ることになった。 ライヴ音源には、アルバムのレコーディング・メンバーであるムーンライダーズ、清水靖晃(サックス等)、大空はる
2023年8月9日、ザ・バンドのギタリスト/ソングライターとして知られた北米音楽界の重鎮ロビー・ロバートソンが、80歳でこの世を去った。前立腺がんとの闘病を長期間続けていたという。 ロビーの音楽家としての深く豊かな才能は、ザ・バンドで遺した多くの名曲はもちろん、ボブ・ディランとの共演作、ソロワークスや映画音楽の仕事の数々で聴ける。一方でザ・バンドの元メンバーたち、特にリヴォン・ヘルムとの軋轢があったことは知られているとおりで、彼の音楽人生は起伏に富んだものだ。 そんな彼への追悼の意を込めて、ミュージシャンの谷口雄がロビーとザ・バンドの物語を綴った。全3回に分けて掲載するうち、第1回に続く第2回はザ・バンドの伝説的デビュー作『Music From Big Pink』から解散コンサート〈ラスト・ワルツ〉まで。 *Mikiki編集部 デビュー作『Music From Big Pink』と名曲“T
ヒットチャートを見るとき、好きなアーティストの順位を確認するだけでなく、全体の男女比を気にする人はどれくらいいるだろうか。さらにいうと、チャートにおける男女比が常に歪であると知っている人は、そのなかの何%であろうか。 現状のヒットチャートでは、男女比が5:5になることはほとんどない。これが実力や才能に基づいた純粋な評価であれば何の問題もないが、そこに性別による偏見や忖度がないと誰が断言できるのだろう。ギターを弾く女性をあえて〈ギタ女〉と呼んでみたり、女性だけのバンドをわざわざ〈ガールズバンド〉と呼称したり、音楽シーンで女性はいまだに枕詞をつけられる側だ。 そんな音楽業界における男女不平等に、音楽チャートを運営しているBillboard JAPANが切りこんだ。アメリカのBillboardが開催している〈Billboard Women In Music〉というアワードをもとに、女性をエンパワ
五十嵐夢羽さん、宇野友恵さん、横山実郁さんの3⼈による新体制で活動を続けているRYUTist。2023年9月8日(金)にはSHIBUYA PLEASURE PLEASUREで結成12周年記念ライブを開催、今秋にはニューシングルのリリースを予定しています。そんなRYUTistの友恵さんによる、本にまつわる連載がこの〈RYUTist宇野友恵の「好き」よファルセットで届け!〉です。今回は、いつものスタイルから一転、映画「ドキュメント サニーデイ・サービス」と書籍「青春狂走曲」をきっかけに、友恵さんは東京・下北沢への旅を敢行。その記録をお届けする特別編の前編です。 *Mikiki編集部 ★連載〈RYUTist宇野友恵の「好き」よファルセットで届け!〉の記事一覧はこちら 7月末、新潟のシネ・ウインドで映画「ドキュメント サニーデイ・サービス」を観ました。 CDデビューから30年を迎えたロックバンド、
Nao☆「すみません、あのときはお世話になりました! 豪さんと(嶺脇育夫)社長がいれば大丈夫だっていうことで(笑)」 ――結婚もあったりで、Negiccoとしての活動を控えめにしつつ、ソロでそれぞれやっていこうみたいな5年間だったと思うんですけど。これは、どういう流れで決まったんですか? Nao☆「まず〈リーダーから〉ってふたりが後押ししてくれて私が結婚して。ハッキリは言われてないんですけど、ふたりが私を待ってくれてるというか、〈まずNao☆ちゃんからでしょ〉っていう感じを出してくれて……出してはいないんですけど」 ――そういう話はなんとなくメンバー間でしてたんですか? Nao☆「Negiccoの活動もやってたので、いいタイミングというか。そんなにうまくいくものでもないので、どうなるかなっていうところはあったんですけど。 私の子宮内膜症もあって、2年も治ってなくてけっこうたいへんな時期もあ
「相当前ですね!」 ――コロナ以降は全然会ってないし、つまりみなさんが結婚してから会ってなかったわけです。 「そうでしたっけ? 私、豪さんに先に〈結婚します〉ってお伝えしたのは覚えてるんですけど。そうか、ご無沙汰してます。私はSNSで豪さんのこと見てるから、感覚としては久々じゃないんですけど」 ――5年前は、ちょうどぽんちゃ(Megu)の病み期で。〈私はNegiccoを辞めなければいけないのでは〉ってぐらい歌の不調で悩んでましたね。 「インタビューでも泣いたりしてましたよね。それはすごい覚えてます」 ――その後どうなったんですか? 「ウイルス禍でNegiccoも活休(活動休止)になったりして、その期間はほとんど練習してました。先生とかつけないで自分の歌と向き合ってるみたいな感じでひとりで練習してて。乗り越えたというよりも、また新しい形として」 ――この歌い方ならイケるかな、みたいなやり方を
2023年7月20日に結成20周年を迎え、『午前0時のシンパシー』(2020年)以来3年ぶりの新作であるミニアルバム『Perfect Sense』を配信リリースしたNegicco。8月13日(日)にLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で記念公演の開催を控える3人に、プロインタビュアーの吉田豪が5年ぶりの個別ロングインタビューをおこなった。初回はKaede編をお届け。 *Mikiki編集部 ひとりで歌うことが楽しい ――本当にお久しぶりです! 「お久しぶりです。5年も空いてると思わなかったですね」 ――そうなんですよ。このインタビュー企画自体が2012年に始まって、それから2014年、2016年ときて、2018年に『MY COLOR』が出るタイミングで取材したのが最後で。イベントもアイドル対バン的なものにそんなに出なくなって、コロナもあって、まったく会う機会がなくなったという。ソ
山下達郎が76~82年にRCA/AIRからリリースした名盤の数々が新たなリマスターとカッティングのアナログ盤およびカセットテープでリイシューされている〈TATSURO YAMASHITA RCA/AIR YEARS Vinyl Collection〉。同企画にあわせてタワーレコード渋谷店で開催されたのが〈CITY POP UP STORE FOR YOU @ TOWER RECORDS SHIBUYA〉だ。2023年7月12日からは〈CITY POP UP STORE @ TOWER RECORDS UMEDA NU CHAYAMACHI〉として大阪の梅田NU茶屋町店でも開催されている。 渋谷店のポップアップストアではクリス松村と長門芳郎のトークイベントが5月13日に行われた。山下達郎の音楽に造詣の深いクリス松村とシュガー・ベイブでのデビュー以前から山下達郎を知るパイドパイパーハウスの店主
タワーレコード新宿店~渋谷店の洋楽ロック/ポップス担当として、長年にわたり数々の企画やバイイングを行ってきた北爪啓之。彼の音楽嗜好は、50’s~90’sあたりまでのロック、ポップス、ソウル、ジャズなどを手広くフォロー。また邦楽もニッチな歌謡曲からシティポップ、オルタナティブ、ときにはアニメソングまで愛好する音楽の猛者である。マスメディアやweb媒体などにも登場し、その深い知識と独自の目線で語られるアイテムの紹介にファンも多い。退社後も実家稼業のかたわら〈音楽〉に接点のある仕事を続け、時折タワーレコードとも関わる真のミュージックラヴァ―でもある。 つねにリスナー視点を大切にした語り口とユーモラスな発想をもっと多くの人に知ってもらいたい、読んでもらいたい! ということで始まったのが、連載〈パノラマ音楽奇談〉です。第4回は西條八十について綴ってもらいました。 *Mikiki編集部 ★連載〈パノラ
いま、台湾でフリージャズの新しい動向が盛り上がりを見せている。恥ずかしながら、今回このインタビューを実施するまで、わたしはそのことを捉え損ねていた。もちろん、これまでもノイズや実験音楽、サウンドアートなどに関しては、台湾に独自のシーンがあることを認識していた。フリージャズを演奏するミュージシャンが何人か存在することも把握していた。だがジャズのシーンとなると、いわゆるスタンダードで保守的なものしかないと思い込んでいた。 しかしこれは大きな勘違いだった。台湾には約100年前の日本統治時代まで遡ることのできる独自のジャズの歴史があり、21世紀に入ってからは台湾ならではの要素を取り入れた実にユニークなアルバムも多数リリースされてきている。そして2010年代以降、ノイズのシーンとも交差しながら、台湾のジャズの歴史は新たな段階に入っていたのだ。そうした台湾フリージャズの立役者の一人が、サックス奏者・謝
2000年生まれ、元・禁断の多数決のシンガーソングライター、リれん。はましたまさし(禁断の多数決)、三沢洋紀、横沢俊一郎らの協力を得て初めてのアルバム『カマトツチ』を6月にリリースした。音楽活動を始めた中学高校の頃の話からアルバム制作についてまで、本人に訊いた。 旧ソれん時代 ――去年(2022年)まで名乗っていた〈ソれん〉というのは、禁断の多数決に参加した時に付けられた名前だとばかり思っていたら、高校の頃、音楽活動を始めた時に自分で付けたとのことですね。その由来は? 「この名前で活動する気は全く無かったんです。本名で活動するのが嫌だったので、でも、いい名前が思いつかなくて。当時ゲームのプレーヤー名で使っていた〈ソれん〉を仮名として付けて、そのうち変えようと思っていたら定着してしまって、変えるタイミングを見失ってしまったんですよね。思想があるの?とかよく訊かれるのですが、まーったく! 何の
リリース自体がトピックとなる孤高の鬼才が何年かぶりに新作を投下! 自身のモードと時代のムードが絶妙に重なり合った地点から鳴らされる刺激的なサウンドの正体は…… いまなお話題を生む存在感 エレクトロニック・ミュージック・シーンにおいて、異端的な存在感を放ち続けるエイフェックス・ツイン。アイルランド生まれの彼は、80年代後半頃から活動を始めて以降、数々の名盤と珍妙な言動で世間の注目を集めてきた。自身のSoundCloudアカウントuser18081971で突如音源を発表したかと思えば、前触れもなくNFTアートワークをオークションで販売するなど、定期的にメディアを賑わせている。
NewJeansのセカンドEP『Get Up』にも“ASAP”のプロデューサーとして参加することが明らかになっている250。K-Popやヒップホップシーンで活躍する異才は、韓国の大衆音楽ポンチャックを再解釈したアルバム『Ppong』(2022年)で、ここ日本でも注目を集めた。そんな250が、大阪・名古屋・東京・長野を回る〈【250 JAPAN TOUR 2023】“イオゴン - ポン” 日本巡回公演〉を2023年6月に開催。話題を呼んだツアーの初日、6月7日に開催されたCIRCUS OSAKA公演をミュージシャン/著述家の小鉄昇一郎が目撃した(なお、写真は東京公演で撮影されたものです)。 *Mikiki編集部 NewJeansのプロデュースと傑作『Ppong』で話題の才能 留まるところを知らないNewJeansの人気。今月末のカムバックも期待が高まる中、その裏側でこちらもじわじわとその名を
METAFIVEから新天地へ向かうTESTSETという名の電車 砂原良徳、LEO今井が語る1st『1STST』 正式な結成は2022年だが、TESTSETにはプロトタイプが存在する。いうまでもなく前年のフジロックフェスティバル出演時のことで、彼らはまだMETAFIVEと名乗っていた――。高橋幸宏、小山田圭吾、砂原良徳、テイ・トウワ、ゴンドウトモヒコ、LEO今井からなるMETAFIVEの活動は2021年夏、中心となる高橋幸宏の病気療養で暗雲がたれこめ、東京五輪に端を発する小山田圭吾のいじめ問題の再燃で暗礁にのりあげつつあった。そこにコロナ禍が追い打ちをかける。2021年7月にリリースを予定していた2作目『METAATEM』は発売を中止(のちに同年11月の無観客ライヴの特典として発表)し、同月末の自主企画ライヴは中止となった。出演が決まっていたフジロックは特別編成で臨むとの周知もあり、META
2023年6月現在、早くも〈今年を代表する楽曲〉と称して差し支えないであろうYOASOBI“アイドル”。現在放送中のアニメ「【推しの子】」との相乗効果はもちろん、楽曲そのもののインパクトに日本だけでなく世界までもが注目している。6月21日(水)にはCDパッケージとしてリリースされる“アイドル”が、なぜこれほどまでに話題を生み続けるのか。ライターのs.h.i.に紐解いてもらった。 *Mikiki編集部 “アイドル”が内包する音楽的な文脈 YOASOBI“アイドル”が大きな話題を呼んでいる。同曲のMVは4月13日の公開から35日間でYouTube再生数1億回を突破、海外からの反響をうけて5月26日には英語版もリリース。6月10日付のBillboard Global Excl. U.S.(世界200以上の地域のダウンロードとストリーミングデータの集計からアメリカを除いたチャート)では、日本語で歌
元SIMI LABのQNとJAZZ DOMMUNISTERSのN/Kによる電撃的コラボ!! 生演奏によるバンドセットと〈新音楽制作工房〉のビートメーカーによる未来派エレクトロトラックス。コンシャスとアクティヴィスト、ヤンキーとオタク、サブカルとストリートを混血し、ヒップホップのリアルをマジック・リアリズムと濁流させるゲートが開く!! また、〈Q/N/K 1st album release party「21世紀の火星」〉が、ゲストに没 a.k.a NGS(Dos Monos)とHenny Kを迎えて、東京と大阪で開催される。 大阪公演は8月24日(木)に梅田Shangri-Laで、東京公演は8月25日(金)に代官山UNITで開催される。東京公演のみ、オープニングDJとしてD-TAK a.k.a 高橋大地(新音楽制作工房)が出演する。チケットの最速先行受付は、本日12:00から6月25日(日)
追悼 ウェイン・ショーター 一度しかない、永遠に続く人生へのミッション 2005年12月発行intoxicate vol.59〈日本とジャズ〉特集の一部として掲載したものです。 菊地成孔「僕の履歴からおわかりのとおり、僕はあなたの大ファンです。今日、お会いできることをとても光栄に思います」 ウェイン・ショーター「私もこの場にいられることを光栄に思っているよ」 菊地「25年前、音楽を聴き始めた頃から、あなたに聞きたいことがいっぱいあるんですが、しかし同時に聞きたくない、聞くのが怖い、という気持ちも持っています。それはとても不思謙な気分で、あなたの音楽の魅力がマジック、秘密に彩られているからです。今こうしてお会いしているのがとても嬉しいのと同時に、夢を見ているような気分です」 ウェイン「私のアルバム(『Beyond The Sound Barrier』)と一緒。〈バリアを越えて〉話そうよ」 菊
NOBODY、ロックンロールのうたごころ――矢沢永吉や吉川晃司らを支えた相沢行夫&木原敏雄のバンドと80年代の傑作群に迫る NOBODY『NOBODY (2011 REMIX) (+10)』『POP GEAR (2011 REMIX) (+14)』『LIVE ワン! (+6)』『NIGHT WALKER (2011 REMIX) (+14)』『From A Window (+14)』『NOBODY COLLECTIONS 1982~1985 <2023 EDITION>』『Restless Heart (2023 Remix) (+9)』『GOT A FEELING (2023 Remix) (+9)』
アレックス・パターソン率いるオーブの最新アルバムは、長年エレクトロニック・ミュージック・シーンを引っ張ってきた熟練の技が光る快作だ。アンビエント、ハウス、ダブ、ポエトリーリーディングなど、音楽に限らない多くの要素が綿密に絡み合っている。聴き手の耳を一瞬にして蕩けさせるトリッピーな音像も絶品。若さだけでは作れない老練な電子音は必聴だ。
ドラムンベースのビートを取り入れたプロダクション NewJeansの曲は、まずはやはりそのプロダクション、サウンドに毎回驚かされる体験が強烈だ。 “Attention”でのデビューとファーストEP『New Jeans』(2022年)の時点では、私にとっては〈コンセプチュアルで高品質、洗練された中毒性の高いK-Pop〉という印象にまだ留まっていたが、昨年末の“Ditto”と年始の“OMG”、そして今回の“Zero”で、完全に別格のグループになった。これほどフレッシュで驚きに満ちた曲(とビジュアル表現、見事に構築された世界)が立て続けに届けられると、なんだか前人未到の記録を次々に打ち立てていく超人的なアスリートやスポーツチームを見ているような気分になる。 さて。“Zero”の中心になっているのは、“Ditto”にも少々取り入れられていた細かい刻みのブレイクビートだ。あきらかにジャングル/ドラム
THE BEATNIKS『Exitemnetialist A Xie Xie』の頃の取材時に。撮影:村尾泰郎 世界一スマートでビター・スウィートなアーティスト 「高橋幸宏が宇宙に帰ってしまいました」 ラジオ番組「Daisy Holiday!」で、細野晴臣はそんな風にリスナーに語りかけた。その落ち着いた声を聞くと、ああ、そうなのか、と素直に納得した。番組内で細野晴臣は高橋幸宏のことを「世界一スマートなアーティスト」と語ったが、高橋幸宏は人生を通して自分のスタイルを貫き通した。シャープでしなやかなドラムの演奏、ダンディさと甘酸っぱさが入り混じった〈フーマンチュー唱法〉にも美意識を感じさせた。 小学生の頃からドラムを始め、高校生の頃にはスタジオ・ミュージシャンとして活動していた高橋幸宏は、加藤和彦に誘われて72年にサディスティック・ミカ・バンドに加入。イギリスでツアーを行うなど海外でセンスを磨い
またもやの別れに翻弄されながら、バンドはそれでも続いていく。新曲のみの実況録音で作られたライヴ・アルバム『Live At Bush Hall』は新しい道を進む6人の現在地を鮮やかに記録している! 昨年2月のセカンド・アルバム『Ants From Up There』が全英3位を記録したブラック・カントリー・ニュー・ロード(以下BC,NR)。それだけにリリース数日前にフロントマンのアイザック・ウッドが脱退するという報せは衝撃だったが、バンドは高まる期待に応えるという選択をした――それも予想外の形で。国内外のフェス出演も控えるなか、残った6人は短期間でライヴ用の楽曲を新たに仕上げてきたのだ。初来日となる〈フジロック〉でもすべて新曲のみのセットリストで臨み、大きな反響を生んだのも記憶に新しい。期間を定めて楽曲群を仕上げなければならない作業はストレスを生むと同時にエキサイティングでもあり、オープンに
『3 Feet High And Rising』(89年)を筆頭にデ・ラ・ソウルの初期6作がついにストリーミングサービスで配信され、ヴァイナルなどの再発盤もリリースされる。デ・ラ・ソウルは、88年に米アミティヴィルで結成された、ポス(MC)、トゥルーゴイ(MC)、メイス(MC/DJ)からなるトリオ。3人の一連の作品は、いずれもニュースクール時代に刻まれた名盤だ。にもかかわらず、権利や契約の問題で長らく配信されていなかった。その問題がようやく解決され、マジックナンバー〈3〉が3つ並んだ2023年3月3日に解禁された。今回は、これを祝って、ヒップホップに造詣が深い書き手たちによる6作の解説記事をお届けする。この記事を2月12日に死去したプラグ・トゥー=トゥルーゴイ・ザ・ダヴに捧げる。 *Mikiki編集部 『3 Feet High And Rising』(89年) 非マッチョな等身大の表現は多
音楽界において国内外の巨星が立て続けにこの世を去っていく、悲しみに満ちた2023年。そんななか、バート・バカラックが2月8日に94歳で亡くなったことが伝えられた。60年代以降、作詞家ハル・デヴィッドとのコンビで多数のヒット曲を生み、胸を締めつける切ないメロディを書きつづけたバート・バカラック。その影響圏は、世代も国境も超えた広大なものだろう。まさに、大衆音楽史にその名を刻んだ大作曲家だった。今回は、バカラックがもっとも好きな作曲家だという鳥居真道(トリプルファイヤー)に、彼の名曲5曲を選んでその功績を解説してもらった。 *Mikiki編集部 不世出のメロディメーカー バカラックの名前を口にするとき、うっとりする一方で、一抹の照れくささを感じるのはなぜだろうか。それは彼の作った音楽がとびきりロマンティックだからに違いない。バカラックの音楽を聴くという営みは、部屋に花を飾ったり、体に香水をふっ
2023年1月11日、高橋幸宏さんがこの世を去りました。偉大な音楽家の逝去が伝わったのは15日未明。その後、SNSやメディアを介して、日本中から世界へと悲しみが広がっていきました。その事実をまだ受け入れられていない方も多いのではないかと思います。 今回は、ユキヒロさんを愛するタワーレコード各店のスタッフに協力してもらい、ユキヒロさんへの個人的な思いを綴ってもらいました。ドラマーとしてのユキヒロさん、ソロのシンガーソングライターとしてのユキヒロさん、ファッションアイコンとしてのユキヒロさん、〈大人の男〉を体現するユキヒロさん……。それぞれの、各時代のユキヒロさん像から、読者のみなさんの心の中に生きるユキヒロさんにも思いを馳せていただければと思います。 サディスティック・ミカ・バンドからYMO、METAFIVEまで、半世紀にわたって音楽史に残した足跡を振り返った追悼コラムも、ぜひあわせてご覧く
RELEASE INFORMATION リリース日:2023年1月17日(火) ■CD 品番:RZCM-77657 価格:3,410円(税込) TRACKLIST 1. 20210310 2. 20211130 3. 20211201 4. 20220123 5. 20220202 6. 20220207 7. 20220214 8. 20220302 - sarabande 9. 20220302 10. 20220307 11. 20220404 12. 20220304 ■VINYL(初回生産限定盤 2枚組) 品番:RZJM-77655~6 価格:10,780円(税込) 封入:自筆スケッチ/譜面 プリント TRACKLIST SIDE A 1. 20210310 2. 20211130 3. 20211201 SIDE B 1. 20220123 2. 20220202 SIDE C
高橋幸宏が死去したと、本日1月15日に複数のメディアが報じている。70歳だった。その早すぎる死に、そしてこの世を去った音楽家の存在感の大きさに、言葉を失う。 高橋幸宏の死去は、1月14日に判明。亡くなった詳しい原因や実際の日時は伝えられていないが、静養を行っていた長野・軽井沢で年明けに肺炎を患っていたという。 高橋幸宏(以下、ユキヒロと書かせてもらう)は1952年生まれ、東京出身の音楽家だ。高校生だった頃からスタジオミュージシャンやサポートミュージシャンとしてドラムを叩いており、武蔵野美術大学に在学中、サディスティック・ミカ・バンドに誘われてメンバーになった。 ミカ・バンドは、デビューアルバム『サディスティック・ミカ・バンド』(73年)、セカンドアルバム『黒船』(74年)、サードアルバム『HOT! MENU』(75年)などを残して解散。特にクリス・トーマスがプロデュースした『黒船』は日本の
今年を代表するTVアニメとの呼び声高い「ぼっち・ざ・ろっく!」(原作:はまじあき)の劇中バンド〈結束バンド〉のファーストアルバム。メンバー4人の名前がASIAN KUNG-FU GENERATIONの名前に由来していたり(後藤ひとりのあだ名〈ぼっち〉は、そのアジカンのリーダー後藤正文の通称〈Gotch〉から)、下北沢SHELTERや新宿LOFTといった実在のライブハウスが内装も含め精緻に再現されているなど、日本のロックシーンへの深い理解と思い入れが反映された作風が好評を博したが、そこに説得力を与える音楽の出来栄えもアニメ本編と同じくらい素晴らしい。 ゼロ年代のエモやメロディックハードコアを総覧しポップに仕上げたような音楽性は、その系譜にある邦楽ロック(具体的には、アジカン、BUMP OF CHICKEN、ストレイテナー、THE BACK HORN、UNISON SQUARE GARDEN、
ルイス・コール・ビッグバンドの衝撃は本当に大きかった。ルイス本人を含む6人の海外メンバーと、日本人6人によるホーンセクションが織りなす、自由自在な演奏。譜面とフリーフォーム、同期と生音、あるいは笑いとシリアス、相反する要素をアクロバティックに結びつける彼の音楽は、ビッグバンドという概念と遊びながら、未来への風穴を開ける痛快なものだった。 そんな彼が、フェイバリットレコードをTOWER VINYL SHIBUYAでハンティング。「最近、プレイヤーを修理したところだから、またレコードを買おうと思ってるんだよね」と話しながら、どんどん手にとっていった10枚のアルバム。そのチョイスには、単に彼自身を作ってきた音楽の歴史の紹介だけでなく、音楽から時代を超えた可能性を旺盛に摂取し続けている〈今〉が濃厚に表れていた。
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