菊竹建築設計事務所によって設計され,1966年に竣工した都城市民会館. 変わらない部分と社会の変化や技術の発展によって変わっていく設備などの部分を分け,屋根は部品化された部材を用いて,交換可能なものとして設計されたメタボリズムの思想が取り込まれた建築である. 鉄筋コンクリートの基壇の上に鉄骨屋根架構が載る特徴的な形態を持ち,まるで昆虫のような独特な姿が印象的だ. 旧都城市民会館の「残る部分」 竣工してすぐに掲載された建築専門誌『新建築』の解説で,菊竹氏は「残る部分」について語っている. 建築は「残った部分」こそが「かつての空間を如実に物語る場合」があるという. 建築のもっとも根本的な問題として,共通に人道的空間をどう獲得し確保するかということがある.それは部屋のレベルをこえた建築総体としての問題である.あまり適切でないが〈焼跡の空間〉といういい方をすれば,玉石とか暖炉とかが,まざまざと空間