https://note.com/embed/notes/n2abbc42d2ff Ghost Boxのカタログやレーベルの周辺にいるアーティスト(たとえば「ビクトリア朝時代のゲーム・ミュージック」をシミュレートするMoon Wiring Club)が英国以外から生まれることは考えにくい。そこにはマーガレット・サッチャーが推し進めた新自由主義化の過程で失われた古き英国の風景があるからだ。頭の中にあるそれを再生していくデカダンな試みは、市場第一主義に侵されていく現在を逆説的に描き出す点でポストパンク的である(2000年代中頃に登場したこともGhost Boxをポストパンク・リバイバルの一つと呼びたくなる要因だ)。過去をトレンドとして消費するのみの値付けされた懐古主義とは一線を画した批評的かつ個人的な表現は、マーク・フィッシャーが遺した言、「ノスタルジーに政治的な次元を与えること」を思い出す。