バーチャル世界に入り始めた頃、私は初めて会った知らない人物に抱き付かれ、いきなり腰を振られたことがある。言葉も通じないし、アバターもなんだか不気味で大きい。そもそも「知らない人」だ。そんな何の関係性も無い人物が、片言の日本語で「カワイイカワイイ」と言いながら腰を振っている。私のことを何も知らない人間が、私の「人格」を無視して、「見た目」や「性」だけを見て一方的に消費している。人間としての全てを剥奪され、性処理に使われていることに、人生の全てを否定されたかのような悲しさを覚えた。 肉体的に女性である法定パートナーに、この経験を伝えたところ「それは多くの女性が感じたことがある生きづらさ。私もそういう目を(実社会で)向けられたことがあって悲しかった」と言ってくれた。パートナーは身長も小さかった中学生時代に、電車の中でいきなり見ず知らずの男性に腕を捕まれて怖かった記憶があるという。他にも「知らない