本稿では主に現行の「現代文」の分野を問題にしたいので、手前味噌で恐縮ですが、わたしが編集のお手伝いをした教科書(筑摩書房版『現代文B 改訂版』=高2・高3生向け)を例に見ていきましょう。「第1部」が主に2年生、「第2部」が3年生の授業で使われることを想定した内容となっています。以下のリンク先から、見てみてください。 【筑摩書房版『現代文B 改訂版』もくじ】 まず一目で分かるのは、教材となる文章の多さです(1部、2部合わせて29本)。これだけの文章を収録するわけですから、どうしても個々の文章は短いものにならざるを得ない。第1部の『こころ』、第2部の『舞姫』の約30ページ(しかも、これらは「2段組」です)を例外として、だいたい6~8ページ、文字数にすると2500~4000字ぐらいの文章が集められています。 もちろん、ここに収められた文章のすべてが、授業で扱われるとは考えにくい。一般的には、現場